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('、`*川魔女の指先のようです

141名無しさん:2017/12/25(月) 23:01:41 ID:ZLy5QeVs0
「お前が……」

('、`*川

女性は人差し指を唇に当てて、沈黙を要求した。

その仕草はとても女性的で、人を二人殺したばかりとは思えないほどの優雅さがあった。
軍人とは少し違う、妖艶な雰囲気。
これから殺されるのだと分かっていても、心が恐怖に怯え竦む気配がない。
自分のことながらバルトロメイは自分が分からなかった。

恐ろしいはずなのだ。
憎いはずなのだ。
それなのに、心に生まれたのは死と向き合う穏やかな心だった。

殺されるのであれば潔く。
死ぬのであれば騒がずに。
この女性が慈悲深くもその機会を与えてくれたのであれば、諦める他ない。
無意味な抵抗をして殺されるぐらいなら、静かに死なせてもらおう。

ゆっくりと瞼を降ろす。

広がるのは暗闇。
血と硝煙の香りが鼻孔を刺激する。

だがそれも、次の瞬間にはただの暗闇へと変わり、彼がそれ以上何かを感じることはなかった。

______________________∧,、___
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V`´ ̄ ̄

考え得る限り最悪の成果だった。

敵を探すはずが新たに四つの死体が増えただけで、更には橋を封鎖したにもかかわらず何も成果を挙げることはなく、島民を長い間拘束できないこともあり、封鎖は解除された。
その封鎖が生んだ成果は島民の不満だけだった。

使用された銃弾は九ミリ口径の物で、イルトリア軍が正式採用しているグロックであろうと推測された。
だが意味のない結果だ。
凶器の種類はさほど大きな意味を持たない。
使った人間がどこにいるのか、それが大切なのである。
それ以外の情報は、今は何の気休めにもならない。

この最低の成果を聞いた瞬間、陸軍大将は捜索隊を組み、改めてバンブー島を虱潰しにして探すという結論に至った。
検問で見つけられなかったという事は、まだ島に残っているはずなのである。
橋で不審者に対する検問は継続し、森や廃屋に逃げ込んだと考えられる敵を探さなければならなかった。

唯一、進展があったことがある。


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