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('、`*川魔女の指先のようです

130名無しさん:2017/12/25(月) 22:50:36 ID:ZLy5QeVs0
爆発は夜空を赤く染め上げ、基地中にサイレンが響き渡る。

その爆音にいち早く対応したのは兵舎にいた狙撃手二人と観測手二人だった。
すぐさま二組は銃腔を倉庫に向け、様子を見る。
銃の安全装置を解除し、初弾を薬室に装填した狙撃手達は不審者に照準が合った瞬間に発砲出来るように準備をした。
残る二人の観測手は暗闇に隠れているかもしれない不審者を探し、過激派による襲撃なのか、それとも倉庫に保管されていた爆発物が暴発したのかを観察する。

スコープの向こう側でみるみる内に炎が倉庫を覆い、次々と爆発が発生する。
銃弾が保管されている場所での火災は消火活動が文字通り命がけとなるため、すぐに手出しが出来ないでいた。

「こいつはやばいぞ!」

思わずバールの声が上ずる。
炎によって熱された銃弾が暴発する音が響き始め、いよいよもって手出しが出来ない状態と化した。
暴発した銃弾が民家にでも飛べば、最悪の場合は民間人の死者が出る。
保管されていた武器弾薬の種類を正確に把握していなかった彼らは、
被害がどこまで広がってしまうのかが分からない焦りに集中力が散漫になり、彼らを狙う銃腔に気付くことが出来なかった。

次の瞬間、スコープを覗いていた四人は数十発の銃弾を全身に浴び、最後は脳漿を派手に背後にまき散らして命を落とした。
彼らの命を奪った銃声は爆発音と暴発した銃声に紛れて誰かの耳に届くことはなかった。

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大勢の敵を少数で撃破する時、最も有効とされているのはゲリラ戦(小さな戦争)だ。
数の劣勢を地理や戦術で補い、更には相手の精神に対して打撃を与えるゲリラ戦が今の状況では最も適した作戦であることは、考えるまでもない。
だが今のペニーに味方と呼べる勢力も存在もいないため、通常期待される効果は圧倒的に減る。
特に、少数を多数に攪乱させる作戦に於いては工夫がなければ全く効果が見込めない上に、状況と相手によっては自分を窮地に追い込むだけだ。

ペニーは今の状況に於いては規模を知られず、尚且つ混乱を誘導するように行動する必要が普通以上にある事を理解していた。
必要だったのは、大混乱。
混沌こそが突破点を作る唯一の材料であることを見抜き、作戦を計画した。
その最大の目的は武器と弾薬を確保した上で基地からバイクで脱出することにある。

武器と弾薬だけならば地下通路を使えば達成出来る目標だったが、バイクがある以上、そうはいかなかった。
バイクは音を発生させ、否が応でも兵士に察知されてしまう。
特に、馬力のあるペニーのバイクは低いエンジン音が特徴的で、より一層兵士の注意を惹きつけてしまう事が懸念された。
バイクを放棄すれば、後の作戦に必要な機動力を失ってしまう。

軍から借りたオフローダーでは速度に難があり、考えていることの半分も達成することが出来ない。
それに、二台あれば万が一の時にでも代えが効く。
物資がこれから限られてくるのは必然にして必死の事だ。
少しでも物は揃えておきたい。

それをより現実的に実行可能にする作戦として挙がったのが、倉庫を爆破し、その音に紛れて脱出するという計画だった。
バイクを基地から持ち出すときに最も障害となるのが周囲を囲むフェンスと監視の目だ。
フェンスを断ち切れば警報が鳴るし、入り口から堂々と出て行くことは無理。
ならばいっそ、大きな騒ぎを起こしてその隙に動くのが現実的だろうという判断が下された。


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