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( ^ω^)運命と戦う仮面ライダーのようです part2
853
:
25話
◆7MnOV.oq7w
:2018/07/08(日) 11:46:08 ID:wQXRKlTg0
………日が沈み、辺りは闇に包まれた。
校庭に、ドクオの姿はない。
足蹴にされたグリンクローバーの姿もない。
そこにいたのは、
血を流し、校庭のど真ん中に積み重ねられた白根達だけだった。
.
854
:
25話
◆7MnOV.oq7w
:2018/07/08(日) 11:46:31 ID:wQXRKlTg0
【 第25話 〜血を呼ぶ嘘〜 】 終
.
855
:
25話
◆7MnOV.oq7w
:2018/07/08(日) 11:47:04 ID:wQXRKlTg0
==========
【 次回予告 】
謎に包まれる少女が動き出す。
o川*゚ー゚)o「おともだちが欲しいの」
川 ゚ -゚)「アンデッドと馴れるつもりはない」
o川*゚ー゚)o「どうして?人間と仲良くするのはいいの?わたしたちはアンデッドなのに」
川 ゚ -゚)「何が目的だ?ここの人達に手を出すつもりなら、私はお前を許さない」
o川*゚ー゚)o「そんなことしないよ」
o川*゚ー゚)o「それに……人間に手を出すのは、わたしじゃないよ」
o川*゚ー゚)o「どちらかというと、人間に……いや、あなたが大切にしてる人たちに手を出すのは――」
o川*゚ー゚)o「―――あなただよ」
856
:
25話
◆7MnOV.oq7w
:2018/07/08(日) 11:47:37 ID:wQXRKlTg0
プールサイドでの戦いの際に遭遇した、もう一人の上級アンデッド。
ドクオは単身、アンデッドのもとへと乗り込むことに。
('A`)「あんた、♣のカテゴリーJだよな?」
( ゚∋゚)「だったらなんだ、人間。……いや、臭うな」
('A`)「何?」
( ゚∋゚)「昨日はそこまで気にならなかったが、今のお前からキツイ程臭うぞ」
( ゚∋゚)「――毒蜘蛛の臭いがな」
( ゚∋゚)「だが残念だったな。あいにく俺は戦うのは好きじゃない」
('A`)「だったら――」
( ゚∋゚)「と言えば、こちらから行くぞ。などと言い出すんだろうな。まったく面倒くせぇ……」
('A`)「俺の言うこと全部分かってんだったら、これからすることも分かってんだろ!?」
( ゚∋゚)「……ふん、見えるぞ。お前の背を這う蜘蛛の姿が」
そして、遂にその正体が露になる!
857
:
25話
◆7MnOV.oq7w
:2018/07/08(日) 11:48:03 ID:wQXRKlTg0
бし゚益゚し『ただ試したかっただけなんだが……もしかして、今お前達を潰せるのかもな』
( ; OMO)「くっ……」
бし゚益゚し『俺は得体の知れない奴と真っ向勝負するのは嫌いでな。
相手の力量が知れるまでは戦わない主義なんだ』
бし゚益゚し『ライダーとかいう奴らがアンデッドを次々と封印していると風の便りで知ったから警戒はしていたが…』
бし゚益゚し『さっきのガキといいお前達といい、思ってたより大したことはないのかもしれないな……?』
( ; OMO)「やはり、お前は俺達を試していたのか……!」
858
:
25話
◆7MnOV.oq7w
:2018/07/08(日) 11:48:50 ID:wQXRKlTg0
бし゚益゚し『お前がどれだけのアンデッドを相手にしてきたかは知らんが、他のカテゴリーJと一緒にされると困るなぁ』
бし゚益゚し『特に、昨日の狼野郎のような奴と一緒にされると……腹が立つんだよ!!』
бし゚益゚し『まずはお前達の力を測らせてくれた感謝の気持ちだ、受け取れ!』
驚異的な力を誇るカテゴリーJの前に苦戦するライダー達……。
( #OHO)「ふざけやがってェ……!!」
( ; OwO)「うわああぁッ!!」
( ; OMO)「くうぅ……ッ!!!」
бし゚益゚し『俺の手によって死ね、仮面ライダー共!!』
ブレイド達は、この苦境を乗り切ることができるのか!?
そして、ドクオに何が起きたのか!?
【 次回、第26話 〜完全なる敗北〜 】
――今、その強さが全開する!
==========
859
:
◆7MnOV.oq7w
:2018/07/08(日) 11:52:18 ID:wQXRKlTg0
しおり
>>9
第15話
>>84
第16話
>>152
第17話
>>234
第18話
>>308
第19話
>>372
第20話
>>454
第21話
>>530
第22話
>>605
第23話
>>682
第24話
>>772
第25話
860
:
名無しさん
:2018/07/08(日) 12:20:35 ID:I1PoxkUo0
乙!久しぶりー!
861
:
名無しさん
:2018/07/08(日) 14:10:46 ID:iinRX1lk0
乙!!ずっと待ってたぞー!!
つべのライダー配信もいつの間にか響鬼が終わってカブトになったからか、剣がやたら懐かしく感じる
862
:
名無しさん
:2018/07/08(日) 15:18:26 ID:chiB0Now0
乙
そういやこの作品みて原作に手を出していつの間にか原作見終わってたわ
863
:
名無しさん
:2018/07/08(日) 21:46:58 ID:hzM94CsM0
乙
864
:
名無しさん
:2018/07/25(水) 18:41:04 ID:j4athSg20
今更投下に気づいた
乙
ドクオ…これは闇堕ちやむなしか
865
:
名無しさん
:2018/09/02(日) 17:40:43 ID:BNz/ys.I0
待ってるよ��
866
:
名無しさん
:2018/09/02(日) 17:41:09 ID:BNz/ys.I0
ありゃ文字化け
867
:
名無しさん
:2018/09/09(日) 02:27:14 ID:zR6B7vWM0
待ってる
868
:
名無しさん
:2018/10/13(土) 06:10:45 ID:oNWB5iM20
待ってるよ( OwO)
869
:
名無しさん
:2018/11/28(水) 01:25:05 ID:sHIzfnwM0
待ってるからね
870
:
名無しさん
:2019/01/27(日) 15:18:19 ID:FqIGyy4E0
CSMブレイバックル発売決定したぞ
続きはよ
871
:
名無しさん
:2019/01/27(日) 19:56:09 ID:Lm.mg6sc0
今でも俺は待ってるよ
872
:
名無しさん
:2019/04/05(金) 12:31:28 ID:vE.PkwIU0
今ジオウで剣回やってるぞ!復活せよ!
してください
873
:
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 01:39:50 ID:dVuufZLM0
( ^ω^)
( ^ω^)< 1/9(日) 迄に
874
:
名無しさん
:2022/01/08(土) 01:41:58 ID:EsF4TPA20
うおっえ
875
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:01:46 ID:dVuufZLM0
【 第26話 〜新たなる力〜 】
.
876
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:02:45 ID:dVuufZLM0
川 ゚ -゚)
日差しが心地良い休日の昼下がり。
バーボンハウスの前にあるプランターを手入れするクーの姿。
隣に寄り添う渡辺が、クーに手入れの仕方を指導している。
从'ー'从「寄せ植えするときは、奥と手前で高低差をつけた方がいいんだよ〜」
从'ー'从「これを、こうやって……高いのを奥に植えて、低いのを手前にって感じで」
川 ゚ -゚)「うん」
从'ー'从「はい!やって?」
川 ゚ -゚)「分かった」
見様見真似で、背の高い花をプランターに植えていく。
川 ゚ -゚)「ん……なんか違う気がする」
自分でやりながら、本能で感じた違和感に気が付いた。
高低差に意識を集中し過ぎるあまり、配色に悪いムラが出てしまっていることに。
人間が持つ感性のように研ぎ澄まされてはいないが、色合いが悪いことは、アンデッドである自分でも理解出来たようだ。
从'ー'从「うーん、ちょっと色がね〜……こうしたらどうかな?」
川 ゚ -゚)「……うん、こっちの方が良い。綺麗」
从'ー'从「ふふふ、でしょ〜?」
877
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:03:25 ID:dVuufZLM0
从'ー'从「そういえば、もうすぐクーさんと出逢って一年になるね〜」
川 ゚ -゚)「一年……もうそんなに経つ?」
从'ー'从「うん、あの時は本当驚いたなぁ〜。あんな雷雨の中で人が道路に出てくるんだもん」
川 ゚ -゚)「………」
川 ゚ -゚)(あれから、もう一年か……)
長い年数を経て、自らがこの世に再び解き放たれた時を思い出す。
約一万年前とは、別世界となってしまったこの星。
人間という種族が主となった世界。
アンデッドである自分達が、まるで御伽噺の世界の住人のような扱いを受けている。
そんな現世で、今、人として生きようとしている。
あの頃の自分では、今の自分の有り様などとても想像も出来るものではなかった。
川 ゚ -゚)「"生きる"ということは……何があるか分からないな」
無意識に、小さく声に出して呟く。
从'ー'从「ん?なぁに?」
川 ゚ -゚)「ん……いや、なんでもないよ」
878
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:03:50 ID:dVuufZLM0
(#゚ -゚)「二人ともー、お昼ご飯出来たよ!」
店のドアが開かれ、でぃの小柄な顔が覗いた。
美味しそうな臭いが漂ってきているなと思えば、ショボンが昼飯を作っていたからのようだ。
从'ー'从「はーい!今行く〜!」
川 ゚ -゚)「先行ってていいよ、後は私がやってみるから」
从'ー'从「そう〜?じゃあ……お言葉に甘えちゃおっかなぁ。お腹空いちゃったし……」
川 ゚ー゚)「早く食べておいで」
恥ずかしそうに空腹を訴える渡辺の背中を、土で汚れた手袋を外した両手で軽く押す。
渡辺とでぃが店の中に戻るのを見届け、足元に投げた手袋に手を伸ばす。
川 ゚ -゚)「………?」
手袋を掴んだ瞬間。
それまでいなかったはずの存在の気配に、背中がざわつくのを感じる。
気配の出どころは、背後から。
決して気付かなかっただけ、ではない。
ついさっきまで、其処には誰もいなかったはずなのに。
879
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:04:12 ID:dVuufZLM0
川 ゚ -゚)(何だ、このざわめきは……)
本能が、警戒心に強く呼びかけている。
自分の持つ"何か"に、共鳴しているようにも感じる。
恐る恐る、ゆっくりと、背後へと振り向いた。
川 ゚ -゚)「………」
.
880
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:04:32 ID:dVuufZLM0
o川*゚ー゚)o「ひさしぶり」
881
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:04:58 ID:dVuufZLM0
川 ゚ -゚)「………!!」
川 ゚ -゚)「お前は……」
o川*゚ー゚)o
振り向いた視線の先に、少女の姿はあった。
愛らしいはずの笑顔。しかし、どこか冷たさを帯びていて……。
目だ。目に光がなく、笑っていない。
少女の放つ異様な気配に、クーは警戒心を強める。
o川*゚ー゚)o「ねぇ、そんなに怖い顔しないでよ」
o川*゚ー゚)o「せっかく会えたんだもん、嬉しい顔してよ」
川 ゚ -゚)「何を馬鹿な……」
悪寒すら感じさせる気配。
親しげに接してくる少女とは対照的に、鋭い目付きで睨み続けた。
o川*゚ー゚)o「ねぇ、いまはその子の力を使ってるんだね。カリスの力を」
川 ゚ -゚)「……そうだな、お前はすぐに気付くだろうな」
クーの正体を知っているかのような言葉。
クーもまた、少女の正体を把握しているような、思わせぶりな言葉を返す。
882
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:05:27 ID:dVuufZLM0
o川*゚ー゚)o「ねぇ、人間の子と仲良く暮らしてるの?」
川 ゚ -゚)「………」
o川*゚ー゚)o「ねぇ……わたしとも、仲良くしてほしいな」
作られた笑顔が崩れることなく、ゆっくりと近付く少女。
少しの変化も無い表情が、言い表しがたい不気味さを放っていた。
o川*゚ー゚)o「おともだちが欲しいの」
川 ゚ -゚)「アンデッドと馴れるつもりはない」
o川*゚ー゚)o「どうして?人間と仲良くするのはいいの?」
o川*゚ー゚)o「わたしたちはアンデッドなのに」
川 ゚ -゚)「何が目的だ?ここの人達に手を出すつもりなら、私はお前を許さない」
o川*゚ー゚)o「そんなことしないよ」
o川*゚ー゚)o「それに……人間に手を出すのは、わたしじゃないよ」
o川*゚ー゚)o「どちらかというと、人間に……いや、あなたが大切にしてる人たちに手を出すのは――」
o川*゚ー゚)o「―――あなただよ」
883
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:05:50 ID:dVuufZLM0
川 ゚ -゚)「………」
o川*゚ー゚)o「ふふふ」
「クーさん!ご飯冷めちゃうよ〜!」
二階の窓から顔を覗かせる渡辺の呼ぶ声が木霊する。
川 ゚ -゚)「今行くから!」
「はやく〜!」
鋭くなった目付きを和らげ振り返り、にこやかな表情で答える。
二階より見下ろしているはずの渡辺は、見えているはずの少女に触れようとはしない。
顔が引っ込むと同時に、クーの視線も戻った。
だが、そこに居たはずの少女の姿がない。
思わず咄嗟に周囲に目を配るが、後ろ姿も見当たらなければ、気配も感じない。
渡辺が少女について触れなかったことを考えると、閃光の如く一瞬の出来事だ。
川 ゚ -゚)「………」
兎も角、近くに居ないことだけは分かった。
結局、少女の行動の意図は読めず、何が目的だったのかも分からぬまま。
分かったのは、後味の悪さだけ。
胸の内に明確な不気味さを残したまま、手袋をプランターの上に投げ置き、店の中へと戻った。
884
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:06:29 ID:dVuufZLM0
―――――
.
885
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:06:49 ID:dVuufZLM0
時を同じくして、ブーン宅でも昼食の時間を迎えようとしていた。
_
( ゚∀゚)「おーい腹減ったぜ〜まだかよ〜」
( ^ω^)「もう完成するから後少し我慢しろお」
キッチンに立ちご飯を作っているのは、家主であるブーン。
作っているのは、味には自信があるらしい炒飯と卵スープ。
ソファで横になっているジョルジュの催促を聞き流しながら、強火で熱されているフライパンを器用に振り、パラパラな炒飯を舞わせる。
最後にまわすように入れた醤油の香ばしいかおりが部屋中に広がる。
美味そうなにおいに、口の中には唾液が溢れ出した。
用意しておいた四つの皿に炒飯を均等に分け、ツンがスープを注いでいく。
( ・∀・)「俺持っていくよ」
( ^ω^)「お願いしますお」
出来上がった昼飯をトレーに乗せるモララー。
スープを注ぎ終えたツンは、エプロンを外しながらソファに寝そべるジョルジュのもとへと歩いた。
_
ξ#゚⊿゚)ξ ( ゚∀゚)
u彡 パシンッ!
_
( ; ゚∀゚)「ってー!!」
ξ#゚⊿゚)ξ「手伝え」
886
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:07:30 ID:dVuufZLM0
ξ゚⊿゚)ξ「いっつも何もしないんだから!皿くらい洗わないとあんたの分のご飯作らないから!」
ξ゚⊿゚)ξ「一応居候の身だっていうのに、あんたはくつろぎすぎ!」
_
( ゚∀゚)「チッ……へいへい分かりましたよ」
( ・∀・)「じゃあこれから皿洗いはジョルジュ担当だな」
テーブルの上、4つの椅子の前に料理を配りそれぞれ着席。
スプーンを持ち湯気立つ炒飯を掬い、口に頬張る。
各自自分のペースで食事を進めていると、ブーンが手の動きを止め口を開いた。
( ^ω^)「今日、久しぶりに職場に顔出しに行こうかと思ってるお」
ξ゚⊿゚)ξ「ん…そっか、結構お休みさせてもらってるのよね」
( ^ω^)「うん、もう働いてた感覚すら忘れちゃったくらい。快く休暇を許してくれてるし、せめて挨拶くらいはしないと」
_
( ゚∀゚)「ほんっと律儀な奴だよな。俺なら休めてラッキー!くらいに思って絶対行かないけどな」
ξ゚⊿゚)ξ「アンタがドクズなだけよ」
_
( ゚∀゚)「いやいや、俺はいつだって自分に正直なだけだぜ?」
( ^ω^)「まぁ気持ちは分かるけど、そう思えるような理由で休みもらってるわけじゃないからなぁ…久しぶりにヘリカル達にも直接挨拶したいし」
( ^ω^)「これ食ったらちょこっと行ってくるお。何かついでに買ってきてほしいものあれば買ってくるお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ほんと?そうね…じゃあ牛乳と卵2パックと、あと食器洗剤お願いしようかな」
_
( ゚∀゚)「俺コーラな、でかいやつで」
( ^ω^)「分かったお。モララーさんは何かありますかお?」
( ・∀・)「ん、俺か。そうだな…じゃあ」
887
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:08:30 ID:dVuufZLM0
( ・∀・)「ひまわりの種がいいな」
( ^ω^)「え…種?」
ξ゚⊿゚)ξ「何に使うの?」
( ・∀・)「使うというか…食べてみたいからかな、ハムスターも食べるだろ?
いつ見ても美味しそうなんだよね」
_
(;゚∀゚)「またこの人の天然炸裂かよ」
(;^ω^)「モララーさん、前から薄々感じてたけど…ちょっと変なとこあるお」
888
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:10:39 ID:dVuufZLM0
――――――
――――
――
食事を終えたブーンは早々に家を出て、早速VIPへと辿り着いた。
( ^ω^)「いやぁ、久しぶりだお…VIP」
仮面ライダーとなってから、半年以上振りに来た。
働いていた時は毎日のように、何の意識もなく目に入っていたこの景観。雰囲気。
一度離れてから目にすると、何とも懐かしいような、胸の辺りがそわそわするような感覚を覚える。
メットを外しバイクから降車、VIPに向け足を動かす。
妙な緊張を抱いたまま、入り口の自動ドアを潜り風除室を抜けると、スーパー特有の有線が耳に入り、より懐かしい気持ちを膨らませる。
(゜д゜@「いらっしゃいませ……あらやだ!?」
( ^ω^)「あ、新谷田さん!お久しぶりですお」
(゜д゜@「ブーン君じゃない!あらやだ、久しぶりねぇ!元気してたの??」
( ^ω^)「あ、いや……まぁそこそこですお」
(゜д゜@「あらそう、でも元気そうで何よりだわぁ。今日ヒッキー君やヘリカルちゃんもいるのよ。挨拶はした?」
( ^ω^)「これから挨拶しようと思ってますお」
889
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:11:00 ID:dVuufZLM0
久しぶりの従業員との再会。
新谷田おばさん以外にも、目に入る従業員は皆ブーンを見ては会釈をしたり手を振ったり、近付いてきたりした。
一人一人丁寧に挨拶に回っていると、特に気心知れているヘリカルに遭遇した。
( ^ω^)「ヘリカル!」
*(‘‘)*「ん……え、え!?ブーン!?」
品出し中の手を止め声のする方へと振り向くと、予想外の来客に目を丸くした。
駆け足気味に歩み寄り、久々に見た同僚の姿にヘリカルは笑みを見せる。
*(‘‘)*「もう、今まで何してたの!?LINEしてもろくに返事もしないんだから!」
( ^ω^)「ごめんお、返すようにはしてたんだけど中々そんな時間がなくて…。元気かお?」
*(‘‘)*「私は元気、この職場は相変わらずだけど何とかやれてるわ」
*(‘‘)*「……ほら、ブーンが来たのを嗅ぎ付けてやってきたわよ」
890
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:11:25 ID:dVuufZLM0
( ^ω^)「?」
ヘリカルが顎をくいっとさせ、ブーンの背後を知らせる。
振り向くと、顔馴染みである後輩が近付いてくるのが見えた。
( ^ω^)「おお、お疲れだお」
(-_-)「あれ?ニート満喫中のブーン先輩じゃないっすか。いよいよ辞表持ってきました?」
(;^ω^)「気まずくなる冗談を言うんじゃないお」
*(‘‘)*「えっ…そういうことなの?」
(;^ω^)「いやいや、そんなわけないお!騙されるなお」
半年以上振りの三人でのやりとりは、空白の期間を埋めるかのようにテンポ良く繰り出される。
*(‘‘)*「あ、丁度ウチら休憩入るところなんだけど、ブーンも時間あったらどう?」
( ^ω^)「おっおっ、そしたら先に店長に挨拶してくるお。後から合流するお」
(-_-)「先輩、先に言っときます。今まで本当にお世話になりました…」
(;^ω^)「まだ言う?お前がそんな弄りしてくるから絶対辞めてやらんお」
他愛もない言葉を交わし、ブーンは一人でスーパーのバックヤードへと向かった。
891
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:11:46 ID:dVuufZLM0
店長への挨拶を済ませたブーンは、スーパーの外にあるベンチに座るヘリカルらと合流。
昼食は既に終えていたため、お茶を片手にヘリカルとヒッキーの間に肩を並べて座る。
話題は、ここ最近定期的に各媒体で報道される化け物の件――アンデッドの話になった。
*(‘‘)*「しかし最近物騒よね…見たことがないから本当にいるのかも分からないけど」
*(‘‘)*「仮面ライダーってのも見たことないのよねぇ、VIPの人はみんなないみたいだけど。ブーンはある?」
( ; ^ω^)「え……うーん、いやぁないお」
*(‘‘)*「やっぱないんだ。何か、マスコミに踊らされてる気がしちゃうよね。そんな戦隊ヒーローみたいなことあると思う??」
( ;^ω^)「ははは…本当だお」
(-_-)「いるかもしんないっすよ、意外と近くにね」
*(‘‘)*「え?」
(;^ω^)「おっ、おい!お前何言ってんだお…!」 ボソボソ
(-_-)「分かんないじゃないっすか、てか居たらカッコよくないですか?」
ブーンの焦りの制止を気にすることなく、ヒッキーは真顔で話し続ける。
(-_-)「だってもしそれが本当にあることだとして、俺たちにその活躍を公にすることなく戦ってるんでしょ?
そんなの滅茶苦茶にカッコいいでしょ。体張って、命懸けて俺らの為に戦ってくれてるんだから」
( ^ω^)「……」
*(‘‘)*「まぁ、本当にあることだとしたらね?本当にいるなら感謝もするし応援もしたいけど…」
(-_-)「ですよね。だから俺は誇りに思いますね、そんな人がいる素晴らしい世界で生きてるってことを」
( ^ω^)「ヒッキーお前…」
ヒッキーの言葉に、思わず胸が熱くなってしまう。
普段おちゃらけている彼の口から出る言葉だからこそ、尚のこと感動してしまった。
892
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:12:10 ID:dVuufZLM0
*(‘‘)*「もう、まるで目の当たりにしたことがあるみたいな口ぶりじゃない?」
(-_-)「いや?ないですよ、あったら写真撮ってSNSに上げてるし」
*(;‘‘)*「さっきまで真剣に語ってた人が取る行動とは思えないわね」
( ^ω^)「ははは…」
胸を撫で下ろし、下手くそな愛想笑いを漏らす。
すると、ヒッキーがヘリカルに思いがけない話を切り出した。
(-_-)「ヘリカルさん、そういえばドクオさんとはどうなんですか?」
( ^ω^)「ドクオ?」
*(‘‘)*「え?……なんで?」
(-_-)「だってほら、年末は一緒に過ごすって言って喜んでたじゃないですか。
あれからその話してこないなぁと思って」
( ^ω^)「え、そうだったのかお?アイツそんなこと一言も…」
ヒッキーが間接的にドクオの現状を探ろうとする。
ドクオが何をしているのか、何故ヘリカルが話をしてこないかの理由は大まかに把握はしていた。
理由はただひとつ――レンゲルの"運命"を背負ってしまったから。
ヒッキーがその話を掘り返すと、ヘリカルの表情はたちまち暗くなった。
*(‘‘)*「………結局行かなかったわ」
(-_-)「そうなんですか…何か連絡とかは?」
*(‘‘)*「ない、結局あとになってLINEが来て、謝ってきたけど…何か、最近様子が変というか…」
(-_-)「変?」
893
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:13:22 ID:dVuufZLM0
*(‘‘)*「ちょっと前までは全然返事来なくて、ある時突然元気になったような感じになったかと思えば…。
また暗くなったりとか、LINEの既読もつかないみたいな感じになったりして」
( ^ω^)「……」
これの理由はブーンも何となく理解している。
レンゲルになってからの苦しみや葛藤と戦った日々の間の事だろう、と予測できる。
*(‘‘)*「それに昨日も、同窓会行って夜には帰ってくるからまた連絡するって言ったっきり返事もないの」
( ^ω^)「え?そういや、確かに今日になっても何の連絡もないお…」
*(‘‘)*「ていうか、今朝のニュース見た?ドクオの出身の学校で、人が山積みになって倒れてたって…」
( ^ω^)「何だおそれ?どういうことだ…?」
同窓会に行くと言っていたドクオ。相手は過去にドクオをいじめていた人達。
今までのパターンでは、ドクオからの連絡がない時は、何かがあった時。
……嫌な予感がする。
悪い予想を頭の中で巡らすブーン。
言葉を発さないヒッキーは、何処か深刻そうな表情。
――そこに、足音が近付く。
( ^ω^)「……!」
何気なく足跡の方へと視線を向けたブーン。
悪い予想は、当たってしまった。
894
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:13:50 ID:dVuufZLM0
( A )
( ^ω^)「ドクオ…!」
*(‘‘)*「え?……ドクオ!」
全員の視線がドクオに向けられる。
ヘリカルは思わず席を立ち、ドクオを見つめた。
*(‘‘)*「ドクオ、何してたの!?すっごい心配したんだから!」
( A )
( ^ω^)「……ドクオ?」
( A )
立ち尽くしたまま、反応がない。
昨日までの活き活きとした様子はなく、頭の重さに逆らわず首をだらんと下げ、どこか一点をボーッと見つめている。
表情がよく見えないドクオの視線を、目で追うブーン。
その先には……表情を合わせようとしない、ヒッキーがいた。
( A )「おい」
(-_-)「……俺ですか?」
( A )「来い、話がある」
*(‘‘)*「え、ちょ…ちょっとドクオ?ヒッキーに何か用があるの?」
895
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:14:16 ID:dVuufZLM0
状況が呑み込めない、ブーンとヘリカル。
ヘリカルがドクオに積極的に言葉をかけるが、ドクオには一切聞こえていないかのよう。
ドクオはヒッキーに近付き、片腕を掴み強引に引っ張り上げる。
( A )「来い」
( ^ω^)「お、おい!ちょっと待てお!」
*(‘‘)*「ちょっと、何やってんの!?」
ドクオの乱暴な姿を見て、止めに入るヘリカル。
ヒッキーを引っ張るドクオの腕を解こうと割って入った。
( A )「――せぇ……」
*(‘‘)*「…?」
(#'A`)「――うるせぇんだよ、クソが…!!」
*(;‘‘)*「……え……、きゃっ!?」
ヘリカルを引きはがし、突き飛ばす。
思わぬ行動に動揺し、突き飛ばされるがまま地面に尻餅を着いてしまう。
( ^ω^)「ヘリカル!?」
(-_-)「ヘリカルさん!?」
倒れたヘリカルの体を咄嗟に支えるブーン。
あまりにも暴力的かつ理不尽なドクオに、ブーンは怒りを見せる。
( #^ω^)「おい…お前何考えてんだお!?」
896
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:14:40 ID:dVuufZLM0
ドクオに問い詰めようとしたブーン。
その前に、ドクオに突っかかられたヒッキーが立ち上がり彼の胸倉を掴んだ。
('A`)「ッ…!?」
(#-_-)「そうかそうか……お前はそうなっちまったんだな?
闇を選んだ…いや、闇を選ばざるを得なかったというべきか」
(#-_-)「自己責任っちゃ自己責任だが、お前を焚きつけるクソ野郎共が居たってことだな…。
こうなっちまったら、もう取り返しがつかないな」
( ^ω^)「ヒッキー…?」
胸倉を離し、ドクオを突き飛ばす。
何の話をしているのか訳が分からず、二人を交互に見つめるブーン。
(-_-)「ヘリカルさん、ちょっと此処で待っててください。
俺、ドクオさんとどうしても大事な話があるの忘れてて…すぐ戻りますから」
*(‘‘)*「へ……ヒッキー……?」
(-_-)「…来いよ」
('A`)「ふん、やっとその気になったか」
( ^ω^)「おっ、おい二人とも!?」
ヒッキーがドクオを連れ、どこかへと向かってしまう。
何が起こったのか、何故暴力を振るわれたのか、何故あんなに豹変していたのか…。
状況が飲み込めず、ただ呆然とするヘリカル。
*(‘‘)*「………」
( ^ω^)「ヘリカル、先に中に入ってるんだお。僕が二人を何も起こらないように見張っとくから!
大丈夫だお、ドクオのことは僕に任せて!」
ヘリカルの両肩を撫でながら、慰めの言葉を掛けるブーン。
起き上がらせてベンチに座らせると、ブーンは二人の後を追った。
897
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:15:12 ID:dVuufZLM0
――――――
――――
――
VIPから少し離れた場所、路地裏に辿り着く二人。
二人は距離を置き、互いを睨み合う。
ドクオの目は、昨日までとは違い――とても、憎しみや怒りを抱いていた。
(-_-)「どうやら、俺が願った通りにはならなかったみたいだな」
('A`)「そうかもしれないな。だが、俺はこれでよかったのかもしれない」
(-_-)「何?」
('A`)「気付いたんだよ。弱さは罪だってな」
ドクオの両の拳が、ギリギリと強く握られている。
怒りからか、強く強く握りしめるせいで、手がプルプルと震えている。
(#'A`)「何が過去との決別だ…何が俺自身が変わるだ?
俺が変わったからって、奴らは変わらない…俺が弱いことも変わってない…!」
(#'A`)「過去の俺に酷い仕打ちをした奴らをな、俺は助けた。
あいつらは自分が死にそうな状況になった途端、この俺に助けを求めたんだ!無様だよなァ!?」
(#'A`)「俺にあんな仕打ちをしておいて…だけどそんな奴らを助けてやったんだ。
そしたらどうだ!?アイツらはその恩も忘れ、また昔と同じことを、喜びながら俺に……ッッ!!」
近くに積まれているビールケースを思い切り蹴り飛ばし、呼吸を乱す。
(#'A`)「フーッ…フーッ……!」
(-_-)「だから、その力を使ったのか?」
(#'A`)「ああ、これか!?」
レンゲルのベルトを取り出し、口端を吊り上げ不敵に笑みを浮かべる。
――そこに、二人の後を追ってきたブーンが到着した。
既に一悶着あったかのような現場の状況、更にはドクオの手に握られるレンゲルのベルトーー。
898
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:15:41 ID:dVuufZLM0
( ^ω^)「おい、お前本当に何しようとしてんだお!?」
(#'A`)「黙れ!!」
( ;^ω^)「うおっ!?」
制止しようとするブーンを振り切り、ベルトを腰に装着するドクオ。
もう一度止めようとドクオを抑え込むが、遠慮のない力がもう一度ブーンを跳ね返した。
(#'A`)「そうだよ、俺はコイツを使ったさ。コイツだけじゃない…カテゴリーAの力も受け入れた」
( ^ω^)「えっ…!?」
(-_-)「……」
(#'A`)「俺に教えてくれたよ。お前はこんな汚い奴を助けたかったのか?ってな。
お前が弱いからこんなことになる…力さえあれば、お前はこんな惨めな思いをしなくていいってな」
(#'A`)「――その通りだな、って思ったぜ…!変身ッ!!」
【 -♣OPEN UP- 】
バックルより射出されたスピリチアルエレメントが、薄暗い辺りを紫光で照らす。
構えも取らずに、ドクオは接近するゲートを潜り抜け、レンゲルの装甲を身に纏った。
( ; ^ω^)「ちょっ…!!おい、お前何を…ッ!?」
( #OHO)「俺に触るなッ!!」
( ; ^ω^)「がふっ…!」
もう一度掴みかかってくるブーンを、壁に向かい投げ飛ばすレンゲル。
人間の姿であるブーンは容易に投げ飛ばされ、背中を壁に強打した。
899
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:16:13 ID:dVuufZLM0
(-_-)「先輩、下がっててください」
( ; ^ω^)「なっ…何言ってんだおっ!ドクオやめるお!」
痛む体で声を出し絞る。
ヒッキーの言葉など届くわけもなく、まだレンゲルを制止しようとする。
――だが、次の光景を見て、ブーンは言葉を失う。
(-_-)「先輩…俺、先輩のこと嫌いじゃなかったですよ。
俺のこの姿を見たら、さっきまでのような仲では居られなくなると思うけど…これが俺なんで」
(-_-)「ちょっとばかり、コイツの為に人肌脱ぎますよ…!」
刹那、ヒッキーの体から別のシルエットが浮かび上がる。
アンデッドとしての、禍々しく歪な姿が。ヒッキーの本来の姿が、ブーンの前で露になった。
( ; ^ω^)「ッッ!?!?ヒッキー……!?」
( #OHO)「そうだよ、その姿を待ってたんだよ…カテゴリーK!!」
。
< \゚皿゚/>『レンゲルーーいや、ドクオ。お前を止めてやる』
後退りをするブーン。
ヒッキーが、アンデッドの姿に――次から次へと襲い掛かる理解不能な状況に、何をしたらいいか分からない。
( ^ω^)ロ[……ツン、今カテゴリーKの反応が出ても、誰にも何も指示しないでほしいお。頼むお]
ブーンの困惑を他所に、レンゲルはレンゲルラウザーを装備し、ヒッキーに襲い掛かる。
900
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:16:39 ID:dVuufZLM0
( #OHO)「ウォラアアァッ!!」
振りかぶるレンゲルラウザー。
身を翻しながら冷静に躱すヒッキーに対し、縦横無尽に、乱暴に振るい続ける。
。
< \゚皿゚/>『どうした、そんなもんか?
――おい、カテゴリーA!聞こえてるんだろ?構ってやるから来いよ!』
( #OHO)「こんの、クソがアアァァッ!!」
横薙ぎに払われた斬撃を、後方にステップし躱す。
突如、レンゲルの額にある宝石が紫に強く光りだす。
すると、力み切っていたレンゲルの体から、フッと力が抜けたのが見て分かった。
ゆらり…と動き始め、ラウザーを握り締めたのち、的確にヒッキーを狙い振るい始める。
。
< \゚皿゚/>『ようやくお出ましか、何で勿体ぶったんだ?コイツに期待してるのか?』
( OHO)『フン、相変わらず口が減らない奴だ。いつまでその余裕が続くかな?』
( ; ^ω^)「この声……カテゴリーA!?何で…!」
レンゲルの声が、ドクオのものではないのが分かる……カテゴリーAに操られたあの時のように。
ヒッキーはレンゲルに向け口から蜘蛛の糸の弾丸を射出。
レンゲルはそのすべてをラウザーで払い落し、カードを2枚引き抜きラウズ。
《-♣2 STAB-》 《-♣4 RUSH-》
( OHO)「ウオオオオッ!!」
"♣2 STAB"の力で武器の攻撃力を上げ、"♣4 RUSH"の力で突進力を強化。
ラウザーの矛先をヒッキーに向けるように構え、地を蹴り突撃。
901
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:17:04 ID:dVuufZLM0
。
< \゚皿゚/>『そんな戦い方じゃ、俺は倒せないぞ』
眼前に右手を翳し、大きな蜘蛛の巣を展開。
盾のように作った蜘蛛の巣はレンゲルの攻撃を防ぎ、且つラウザーに絡み付いて捕らえた。
右手を握り締め拳を翻すと、大きな蜘蛛の巣がレンゲルをガバッ!と覆い出す。
まるで巨大な怪物が獲物を捕食するかの如く、レンゲルのそのまま飲み込んだ。
( ; OHO)「ぐっ!?クソ…ッ!うああぁぁッ!」
捕らえられた蜘蛛の巣の中で、無数の火花が散り始める。
巣の中で、何かがレンゲルを蝕んでいるように見える。レンゲルは痛みに悶え、悲鳴を上げた。
。
< \゚皿゚/>『フンッ!!』
( ; OHO)「ぐはあぁっ!」
体の自由が利かない状態のまま、ヒッキーの異常に発達した左手がレンゲルを殴打。
後方に吹き飛ばされ、ブーンの目の前に転がる。
( ; OHO)「んぐ……クソォ…ッ!カテゴリーK…お前の力を得れば、俺は絶対的な強さを得られるんだ…!」
( ; ^ω^)「カテゴリーK……前に話してた♣スートのカテゴリーKが、ヒッキーだっていうのかお…!」
。
< \゚皿゚/>『俺を倒すだと…?その程度で往なされる程、俺はやわじゃねぇ』
902
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:17:35 ID:dVuufZLM0
( ^ω^)「………ドクオ」
( ; OHO)「クッ……絶対、絶対にお前を封印してやる!覚えておけ…!!」
ブーンを一瞥するレンゲル。
地を乱暴に叩き付け、痛む体を起こす。
これ以上の戦いは無駄だと判断したのか、レンゲルはフラフラとしながらブーン達を残し去っていった。
残された二人の間に、沈黙が流れる。
ブーンは立ち上がり、ヒッキーに怪訝な視線を向ける。
( ^ω^)「ヒッキー……説明しろお。何でお前がアンデッドなんだお!?」
。
< \゚皿゚/>『…ま、そうなっても仕方ない』
人間態に戻り、ヒッキーは事の顛末を話す。
自分がカテゴリーKであること。再び生を受け、再開されたアンデッド同士の戦いから逃れる為に人間に化けていたこと。
争う気は更々ないことなど、全て。
始めはヒッキーを警戒していたが、話に耳を傾けている内に自然とヒッキーの存在を受け入れられていた。
( ^ω^)「そうかお……信じていいんだな?お前を」
(-_-)「信じてもらえるなら」
( ^ω^)「なら信じるお。アンデッドの中にも戦いを望まない者もいる、僕はそれを知ってるお」
(-_-)「……いいんですか?俺はカテゴリーKですよ」
( ^ω^)「だから何だお、お前が人を襲うような奴だったらとっくに襲ってるだろ?
それに…まだ期間は短いけど、VIPで一生懸命働いてるお前を知ってるから」
(-_-)「……はは、流石ですね。やっぱ人間はすごいわ」
ブーンの言葉に安堵したのか、ヒッキーは自然と笑みがこぼれた。
903
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:18:00 ID:dVuufZLM0
(-_-)「それはそうと、ドクオのことです。あいつについて話しておきたいことがあります」
( ^ω^)「ああ、そうだお…ドクオについて何か知ってるのかお?」
(-_-)「実は――」
ヒッキーは、ドクオに何があったかの一部始終を話した。
白根達に裏切られたこと。♣スートのカテゴリーKから見た、カテゴリーAの影響力。
ドクオとカテゴリーAは互いに適合出来ている為にジョルジュのような洗脳を受けないが、かつてのギコのように
心の闇に漬け込み、凶暴さを増幅させていることを。
( ^ω^)「ドクオ、そんなことが……確かに、そうしたくなる気持ちも分かるけど……」
(-_-)「思ってる以上に状況は悪い。ゆくゆくはカテゴリーAによって人格を形成され、それがドクオを蝕んでしまうかもしれない」
( ^ω^)「そんな……!何か手はないのかお!?」
ヒッキーの表情がより真剣さを帯び、険しさを増した。
そして、真っ直ぐな眼差しでブーンを見つめる。
(-_-)「……先輩、ドクオをどうしたいですか?助けたいですか?」
( ^ω^)「当たり前だお!あいつは僕の親友だお、こんなことになって…何とか救ってやりたいお!」
(-_-)「ですよね。なら、ドクオを救い切るまで、諦めないことを誓えますか?」
( ^ω^)「ああ、誓うお。僕はあいつを、本当のあいつを取り戻すまで何があっても諦めないお!」
(-_-)「……分かりました。取り敢えず――ッ!」
( ^ω^)「どうしたお!?」
ヒッキーが何かを察知する。
路地裏を吹き抜ける風が、彼に遠くで起きている事を伝えている。
904
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:18:28 ID:dVuufZLM0
(-_-)「先輩、♣のカテゴリーJ…ドクオがそいつのもとに向かってます。
ガタイの良い、屈強な大男に擬態してます」
( ^ω^)「ガタイの良い大男…?まさか、あの時の…!」
ヒッキーが紡ぐヒントには心当たりがある。
ミセリとタカラ達と対峙した、あのプールにいたもう一人の男。
(-_-)「コイツはかなりの暴れん坊です、勝てるかどうか…」
( ^ω^)「僕が助けに行くお!反応出ればきっと知らせてくれるから…!」
急いでブルースペイダーのあるVIPに戻ろうとするブーン。
路地裏から出て姿の見えなくなったブーンが、まだヒッキーのいる路地裏を再度覗き込む。
( ^ω^)「ヒッキー、ありがとうだお!これからも頼むお!」
(-_-)「うっす」
ぶっきらぼうな返事を見届けると、ブーンは今度こそVIPに向けて駆け出した。
(-_-)「……やっぱ、人間は守らなきゃいけないな。こんな俺を受け入れてくれたんだから」
(-_-)「――さて、腹括るか」
905
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:18:52 ID:dVuufZLM0
―――――
.
906
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:19:50 ID:dVuufZLM0
ブーン達の騒動の裏では、別のアンデッドが"また"動き始めていた。
そのアンデッドは今、人になりすまし、お昼に営業中の飲み屋の前に立っている。
ミセ* ー )リ「フフフ……」
そう、バーボンハウスの前に――。
ドアが開き、カランカランと鈴が鳴り響く。
普段であれば、誰かが来客を迎え入れようとするところ。
だが、そうはいかなかった。
川 ゚ -゚)「出ろ、貴様如きが踏み入っていい場所じゃない」
ミセ*゚ー゚)リ「あら、やっぱりいたのね」
ドアを開けてすぐ。そこには、クーが既に立ちミセリの来訪を待ち構えていた。
後退るミセリ、クーはじりじりとミセリとの距離を詰めていく。
川 ゚ -゚)「死に損ないが、今度こそ貴様を封印してやる」
ミセ*゚ー゚)リ「それはどうかしら?フフフ」
突如、アンデッド態へと姿を変えるミセリ。
右手に伸びるツタを振るい、クーへと襲い掛かった。
咄嗟に頭を下げ躱すクーだが、ミセリの先制攻撃によって完全に火が付いた。
*∧Λ*
∠* ゚`-´)ゝ『さぁ、私の後を追ってきなさい!』
川#゚ -゚)「ふざけた真似を…!」
【 -♥CHANGE- 】
カリスへと変身し、シャドーチェイサーを呼び寄せミセリを追跡。
分かりやすい挑発、誘導行為ではあるが、散々機会を逃してきたミセリにケリをつけたい思いも強くあった。
907
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:20:17 ID:dVuufZLM0
ミセリを追跡した果てに辿り着いたのは、例のプール。
ここまで連れてこられた時点で、カリスは何となく察しが着いた。
――敵は、一人ではない。と。
「いやいや、全く…またお前か」
麦わら帽子を顔面に乗せ、顔を隠す大男が一人。
離れのプールサイドにて横になりながら、カリスの来訪に溜息を吐いた。
( <::V::>)『貴様か、私を此処に呼び寄せたのは』
「何の話だ?」
大きな片手で麦わら帽子を取り、上体を起こす。
ゆっくりと気怠そうに立ち上がり、カリスを見た。
( ゚∋゚)「俺は戦う気はないぞ」
( <::V::>)『馬鹿を言うな、こんな所までおびき寄せておいて…。
隠れているんだろう?繭女。2対1でも構わないぞ?』
( ゚∋゚)「ほう……なるほど、そういうことか」
大男――クックルに、若干の苛立ちが見えた。
そこに、カリスを此処まで誘引したミセリが背後より現れる。
*∧Λ*
∠* ゚`-´)ゝ『――フッ!』
ツタを伸ばし、カリスの体を拘束しようとした。
カリスはシャドーチェイサーから跳躍して回避。
ミセリの背後に着地し背を取ると、カリスアローで一太刀浴びせる。
908
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:20:43 ID:dVuufZLM0
*∧Λ*
∠* ゚`-´)ゝ『ぐうっ…!?すばしっこい奴…!』
( <::V::>)『一人では戦えないか、まぁいい…同時に相手をしてやる。来い』
二体の上級アンデッドを目の前にし、構えを取る。
臆しないカリスの姿勢を見て、ミセリは高らかに笑った。
*∧Λ*
∠* ゚`-´)ゝ『アハハハハ!この状況で随分と威勢が良いわねぇ』
*∧Λ*
∠* ゚`-´)ゝ『彼を前にして、本当に私を倒せる余裕があるのかしら?』
*∧Λ*
∠* ゚`-´)ゝ『ねえ?カテゴリーJ――』
*∧Λ*
∠*;゚`-´)ゝ『ッッ!?』
背後のクックルを振り向いた瞬間、ミセリの胸部に被爆する爆弾。
硝煙がミセリの胸元から沸き立ち、爆発の威力で転倒。
そこには、大男の姿はない。
立っていたのは、とても巨大なーー。
бし゚益゚し
黒い装甲に覆われる緑色の地肌。3本指の手足。
右腕の装備にはモーニングスターが数本吊るされており、その手にはハンマーが握られている。
右肩から背中を伝い、左脚にまで垂れ下がる長いホース状のものは、まるで"象"の鼻にも似ている。
909
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:21:10 ID:dVuufZLM0
бし゚益゚し『貴様か、この俺を無駄に争いに巻き込もうとした大馬鹿者は』
*∧Λ*
∠*;゚`-´)ゝ『クッ…何を…!?共にコイツを潰せる良い機会でしょ!?』
бし゚益゚し『そうやって貴様は、他の連中を焚き付けて利用してきたんだろう。
あいにく俺は、貴様の思い通りにはならない…フンッ!』
*∧Λ*
∠*;゚`-´)ゝ『うあッ……!!』
右腕のモーニングスターを飛翔させ、ミセリに追撃。
鉄球がミセリの頭部に直撃すると、その重さからミセリは吸い込まれるように地に倒れ、転がりながらカリスの足元へ。
一部始終を静観していたカリスだが、足元に転がってきたミセリの首を雑に掴み、強引に立ち上がらせる。
そして、容赦のない斬撃を見舞った。
( <::V::>)『ふっ、予定外…といったような顔をしているな?』
*∧Λ*
∠*;゚`-´)ゝ『ううッ…、こんなはずじゃ…!』
( <::V::>)『残念だったな、恨むなら己の所業を恨むことだ!』
《-♥6 TORNADE-》 《-♥7 BIO-》
二枚のカードをラウズ。
突き出した右手から伸びる触手がミセリを捕らえ、動きを封じる。
右手を引きミセリを強引に引き寄せると、風の力を纏ったカリスアローの両刃で斬り付けた。
*∧Λ*
∠*;゚`-´)ゝ『うあぁァッ!!…ッ、ガハッ……』
бし゚益゚し『ふん』
全身を風の刃で刻まれ、至る所から緑の血を流す。
血反吐を吐きながら、ふらふらと立ち上がるミセリ。
クックルはその様子を眺めながら、自業自得の末路を鼻で笑ってみせた。
910
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:21:30 ID:dVuufZLM0
*∧Λ*
∠*;゚`-´)ゝ『まだよ…まだ、終われないの…ッ!』
顔面の表裏が入れ替わり、周囲に大量の花吹雪を撒き散らす。
全身の力を振り絞って、ミセリはこの窮地からの離脱を図った。
カリスとクックルが顔面を覆い、視界を眩まされる。その隙にミセリは逃走。
フッ、と花弁が消失した時には、ミセリの姿がなかった。
( <::V::>)『この機は逃さない…確実に奴を仕留める。
貴様の相手は後だ、それまで此処で余生を楽しめ』
бし゚益゚し『そうか、ならお言葉に甘えよう』
カリスは、ミセリの消え切らない気配を辿りその場を後にした。
人間態になり、一息吐くクックル。
邪魔者がいなくなり、再び休息に入ろうとした……その時だった。
( ゚∋゚)「…今度は別の奴か」
911
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:21:53 ID:dVuufZLM0
近付いてくる気配を感じる。
人間?アンデッド?どちらも感じ取れる気配。
それは、プールと外を遮る塀を超えてすぐに現れた。
緑と黄金に輝くバイクーーグリンクローバー。
それを器用に乗りこなす、ドクオの姿が。
バイクから降車し、足取りが覚束ないままクックルを鋭い目で睨みつける。
('A`)「あんた、♣のカテゴリーJだよな?」
( ゚∋゚)「だったらなんだ人間……いや、臭うな」
('A`)「何?」
( ゚∋゚)「昨日はそこまで気にならなかったが、今のお前からキツイ程臭うぞ――毒蜘蛛の臭いがな」
( ゚∋゚)「だが残念だったな、あいにく俺は戦うのは好きじゃない」
('A`)「だったら――」
( ゚∋゚)「と言えば、こちらから行くぞ。などと言い出すんだろうな…全く面倒くせぇなぁ…」
(#'A`)「俺の言うこと全部分かってんだったら、これからすることも分かってんだろ!?」
( ゚∋゚)「……ふん、見えるぞ。お前の背を這う蜘蛛の姿が」
息を乱しながら、レンゲルバックルを装着する。
先刻のヒッキーとの対峙で、体力・肉体的にかなり消耗しているが…今のドクオには関係ない。
力が欲しい。上級アンデッドを倒し、強くなりたい。
ただ、それだけ。
ーーそう思い込むように、カテゴリーAがドクオに内側から呼び掛けていることにも気付かず。
912
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:22:14 ID:dVuufZLM0
(#'A`)「変身…ッ!」
【 -♣OPEN UP- 】
レンゲルへの変身を果たした直後、クックルに向け駆け出す。
ひと飛びで離れたプールサイドを飛び越えると、勢いそのままに右手で握り締めた拳をクックルに突き出した。
( #OHO)「オラアアァッ!!」
胸部に確かにヒットしたが、クックルは微動だにせず。
一瞬、レンゲルに怯んだ様子が垣間見えたが、何度も胸に向かい拳を叩き込む。
だが、
( ゚∋゚)「お前、昨日より力が落ちているな。体が限界なんじゃないか?」
( #OHO)「クッ、黙れ!俺はお前を封印する!」
( ゚∋゚)「おお、そうか…。大人しく言うことも聞いてくれないみたいだなぁ。なら――」
бし゚益゚し『少し灸を据えてやろう』
( ; OHO)「!?ぐふっっ……!!」
拳を掌で受け止めるクックル。
左足の重たい一撃が、レンゲルの腹部に見舞われる。
何かが吐き出そうな程の衝撃がレンゲルを襲い、思わず蹲る。
クックルは追撃を止めない。
右手のハンマーを高々と振り上げ、蹲るレンゲルの背中に勢いよく振り下ろした。
913
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:22:41 ID:dVuufZLM0
( ; OHO)「がはぁっ!!」
背中にとてつもない重力と衝撃が圧し掛かる。
逆らえない重力に、レンゲルはそのまま地に伏せられた。
бし゚益゚し『他愛もない…フン!』
( ; OHO)「うああぁっ…!!うぐっ…!」
脇腹を蹴り上げ、レンゲルの重たい体を蹴り飛ばす。
まるでボールを蹴り飛ばすかのように。
プールサイドには届かず、体を打ち付けプールに落下。大きな水飛沫が吹き上がり、辺りを水で濡らした。
бし゚益゚し『何だ、大したことないな…こんなものなのか?』
бし゚益゚し『しかし、ここの場所も大分知られてしまったな…そろそろ住処を変えるとするか』
プールの中で沈むレンゲルなど気にも掛けず、この場を去ろうとする。
戦い続きで、辺りの崩壊が目立って来た。狙われていては落ち着いて過ごすことも出来ない。
しかし、それすらも遮ろうとする存在が、再び接近している事に気付く。
бし゚益゚し『ああ、面倒くせぇ…!』
914
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:23:11 ID:dVuufZLM0
次に現れたのは、ブレイドとギャレンだった。
ヒッキーからの情報を得た通りにカテゴリーJの反応をキャッチ。
この場所は覚えていたため、比較的早く到着できた。
( OwO)「やっぱりお前だったかお…!」
( OMO)「こいつ、この間の大男か?」
бし゚益゚し『何だって今日はこんなに客が多いんだ?』
( OwO)「ドクオ!」
プールの底で沈むレンゲルを発見する。
ブレイドが急いでプールに飛び込み、水圧に苦戦しながらもレンゲルを救い上げた。
бし゚益゚し『そろそろ静かにさせてもらおうか。
俺は得体の知れない奴と真っ向勝負するのは嫌いでな。
相手の力量が知れるまでは戦わない主義なんだ』
( OMO)「何だと?逃がさないぞ、アンデッド!」
ギャレンラウザーを引き抜き、クックルに向け銃撃を見舞う。
クックルの体に被弾し火花が散るが、効いている様子はない。
бし゚益゚し『全く、馬鹿な連中だ…!』
915
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:23:35 ID:dVuufZLM0
クックルが動いた。
重そうな体から繰り出したとは思えない跳躍。
ブレイドらがいる対岸に着地すると、両足が着いた部分から地響きが起き、周囲に地割れが伝染。
左手にハンマーを持ち替え、右腕の鉄球を振るいギャレンを雑にぶん殴る。
( ; OMO)「ぐあっ!…何て力だ…!?」
( OwO)「モララーさん!うおおおお!」
ブレイラウザーを抜き、クックルに立ち向かう。
接近し胴体を斜めに斬り付けるが、これもまた効いていない。
бし゚益゚し『んん?どうした、こんなものなのか?ライダーってのは』
( ; OwO)「何!?うわあぁっ!!」
左手に持ち替えたハンマーで、下から打ち上げるように脇腹を殴打。
更に振り上げ、ブレイドの顔面めがけ振り下ろした。
бし゚益゚し『フンッ!!』
( ; OwO)「ッ…!」
( ; OMO)「剣藤!!」
916
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:23:58 ID:dVuufZLM0
ハンマーがブレイドの顔面に直撃。
その瞬間……ブレイドの顔面を覆う仮面が砕かれ、辺りに破片が飛散。
中身が露呈されたブーンの顔には、頭部から出血した血が流れていた。
( ;|^/wO)「くっ……」
( ; OMO)「オリハルコンブレストが、破壊されただと…!?」
120tの衝撃をも吸収するライダーの装甲。
アンデッドの攻撃をも防ぎ切ってきたこの完全無欠の装甲が……遂に破壊された。
この事実は、クックルがとてつもない力を誇るアンデッドであることを知らしめた。
攻撃も通じず、一発一発の重みが桁違い。更にはアーマーを突き破る程の力。
( ;|^/wO)「ッ、まだまだだお…!」
( ; OMO)「よせ剣藤!このアンデッドは…今までの奴らとは違う!」
顔面を割られても尚、立ち向かおうとするブレイドを阻止した。
ギャレンは本能的に察した。
こいつは、やばい。
бし゚益゚し『ライダーとかいう奴らがアンデッドを次々と封印していると風の便りで知ったから警戒はしていたが…。
さっきのガキといいお前達といい、思ってたより大したことはないのかもしれないな…?』
( ; OMO)「やはり、お前は俺達を試していたのか……!」
これ程の実力があっても自ら進んで戦おうとしない、その矛盾に違和感を抱いていた。
先程の発言からしても、まだ本腰を入れて戦ってはないとも解釈できる。
考えただけでも、自然と恐ろしさが沸き上がってしまった。
917
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:24:19 ID:dVuufZLM0
( OMO)「クッ…剣藤、ここは撤退しよう。これ以上は危険だ!」
( ;|^/wO)「でも…!」
( OMO)「命を無駄にするな!今の俺たちでは…勝てない!」
( ;|^/wO)「……クソッ!」
ギャレンの言葉を否定したいが、認めざるを得ない。
現に、力の差を見せつけられてる。クックルに対抗できる手段が思いつかない。
悔しさを滲ませながら、ブレイドは変身を解いたドクオを抱え、クックルの前から退散…。
ギャレンは銃口を向けながら、撤退の殿を務める。
しかし、クックルは追おうとはせず逃げる様を見ている。
бし゚益゚し『腰抜けめ、自分から仕掛けておいて逃げるか』
自身の手を見つめ、クックルは感触を掴んだ。
ライダーとの邂逅。実戦を交えたことで、明確になった。
бし゚益゚し『……これなら、奴らに勝てる!』
不動を貫いてきた象が、己が名を上げる為に重い腰を上げ始めた。
918
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:24:42 ID:dVuufZLM0
―――――
.
919
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:27:27 ID:dVuufZLM0
_
( ゚∀゚)「ふふふ〜ん」
車道を一人、車で走るジョルジュ。
ブーン宅で昼食を済ませた後、ジョルジュも単身外に出ていた。気分転換のドライブも兼ねて。
車の窓を開けて、風を感じながら鼻歌を歌う。
_
( ゚∀゚)「最近嫌なことばっかだったし、たまにはこういう気晴らしも必要だよな」
賑やかな街並みを避け、自然溢れる静かな車道を走る。
ドライブをする自分に言い聞かせるように、独り言を呟く。
_
( ゚∀゚)「……しかし、どうやってアンデッドに向き合ったらいいか分かんなくなってきたな…」
ぼそっ、と呟く。普段であれば口にしないであろう本音が漏れた。
アンデッドは敵――それが当たり前だと思っていた。その概念を持って今までやってきた。
だが、クーのような、モスのような例外もあるアンデッドの存在を知った。
知ったことで、ジョルジュの中で複雑になっていた。
しばらく車を走らせていると、前方に何かを確認。
_
( ゚∀゚)「ん?何だあれ」
減速し、ゆっくりとその前を通り過ぎようとする。
徐々にはっきりとしてくる。そこにあるのは……うつ伏せに倒れている人だった。
_
( ゚∀゚)「おっ、おい!大丈夫ですか!?」
路肩に車を止め、倒れている人に近付く。
よく見ると、倒れている人は女性だった。
肩を揺さぶってみても反応がない。
ジョルジュは、半ば無理矢理に体勢を仰向けに入れ替える。
_
( ;゚∀゚)「ッーー!!」
920
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:27:50 ID:dVuufZLM0
顔がハッキリとした途端、ジョルジュがパッと手を放しその場から立ち上がる。
ジョルジュが助けようとした女性、それは――
ミセ* ー )リ
_
( ;゚∀゚)「義永…ミセリ…」
アンデッドであるミセリだった。
先の戦いで深くダメージを追い、ここで意識が途切れてしまった様子。
ジョルジュはスマホを急いで手に取り、ブーン達に連絡しようとした。
……が、その手は止まった。
_
( ;゚∀゚)「………」
人間にしか見えない、綺麗な横顔。
アンデッドであること、危険な目に合わされたことを覚えている。
覚えているはずなのに…何故か、躊躇いを感じている。
_
( ;゚∀゚)「……どうしたら……」
迷いが生まれている。
スマホとミセリを何度も何度も交互に見つめる。
しかし、次の瞬間――急に体が勝手に動いた。
_
( ゚∀゚)「ああもう…!知らねぇ!なるようになれだ!」
スマホをしまい、ミセリを抱え上げるジョルジュ。
車の中に乗せると、ジョルジュは人気のない場所へと車を走らせた。
921
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:28:12 ID:dVuufZLM0
――――――
――――
――
人気のない場所に車を止め、ジョルジュはハンドルに蹲る。
_
( ゚∀゚)「ハァァ……、何やってんだ俺……」
仮にもアンデッドを助けてしまった行動を今になって後悔。
それと同時に、衝動的な自分を制御出来ない事に情けなく感じている。
_
( ゚∀゚)「そりゃレンゲルにだってなれねぇし、ライダーには向いてないよな…」
自虐に浸る。
だが同時に、この行動を取ってしまったことを悔いていない自分もいる。
どこか、不思議な感覚だ。
ミセ*゚ -゚)リ「何故私を助けた?」
_
( ;゚∀゚)「うわああああっ!?」
何の気配も音もなく、ミセリが突然口を開いた。
驚いたジョルジュは跳ね上がり、ミセリから距離を取った。
ミセ*゚ -゚)リ「何のつもりだ、お前」
_
( ;゚∀゚)「い、いや……それは、その……」
922
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:28:38 ID:dVuufZLM0
ミセ*゚ -゚)リ「私はアンデッドだぞ?お前のことも殺めようとした」
_
( ;゚∀゚)「そ……そんなことは分かってる!」
ミセリの冷たい表情。繰り返し詰め寄られるジョルジュが、半ば自棄気味に返事をする。
_
( ゚∀゚)「分かってるよ、そんなことくらい…あんたが俺に何したかなんてことくらい。
アンデッドだってことも分かってんだよ!」
_
( ゚∀゚)「でも……あんた、倒れてただろ?そんな姿見たら、何か…体が勝手に動いてたんだ!」
ミセ*゚ -゚)リ「今この瞬間、殺されると分かっていても?」
_
( ゚∀゚)「ッ……ああ、そうだよ。分かってても動いちまったもんはしょうがねぇだろ!?」
ミセリの言葉に身構え、恐怖を覚えるジョルジュ。
しかし、強気な姿勢は崩さない。
_
( ゚∀゚)「あんたは目的があって俺らに手を出したんだろ?
もちろん許せることじゃねぇよ、でも…目的がなけりゃ人のことも襲わないってことだろ?」
ミセ*゚ -゚)リ「……何が言いたい?」
_
( ゚∀゚)「アンデッドってのは自分の目的の為に戦ってるんだろ?中でもあんたらみたいな上級の連中はさ。
要するに、身を削ってるってことだろ?」
ミセ*゚ -゚)リ「……」
_
( ゚∀゚)「ずっと考えてたんだよ、俺…あんたらアンデッドは許せねぇよ、そんな戦いに俺たちを巻き込みやがってさ。
でも、戦いを強いられて苦しんでるんじゃないかって…どっかでそう思うようになってた」
_
( ゚∀゚)「アンデッドでも、人と暮らしてる奴がいるからな…」
923
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:29:00 ID:dVuufZLM0
ミセ*゚ -゚)リ「フッ…まさか人間如きに憐れまれるとはな。
だからと言って何故それが私を助ける理由になる?」
_
( ゚∀゚)「分かんねぇよ、分かんねぇ!ただ…そう思ったら、あんたを助けたくなった!それだけだ!」
逆ギレのように言葉を返す。
ジョルジュに向けていた目線を、ミセリは逸らした。
_
( ゚∀゚)「殺すなら殺せよ、あんたを助けた時点で分かってた展開だよ。
こんな密室で、逃げられる訳がねぇ…」
ミセ*゚ -゚)リ「いいのか?そんなことを言って」
_
( ゚∀゚)「ああ、いいよ!しょうがねぇだろ、自業自得だ…」
ミセ*゚ -゚)リ「…そうか。恨むなら自分を恨め」
正面を見つめるジョルジュ。
ミセリは両手を、ゆっくりとジョルジュの首元に向け伸ばす。
きつく締め上げようとしたミセリだったが……。
_
( ;゚∀゚)「ッ……」
ミセ*゚ -゚)リ「………」
_
( ;゚∀゚)「へ……?」
ミセリの手が止まった。
呆然とするジョルジュを他所に、ミセリは車を降りる。
924
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:29:33 ID:dVuufZLM0
そして――自分を追ってきたであろう、狩人を見つける。
ミセ*゚ -゚)リ
( <::V::>)
言葉を発さない両者。
バックミラー越しにカリスの姿を視認すると、ジョルジュも急いで車を降りた。
_
( ゚∀゚)「ク、クーさん……!」
( <::V::>)『この女を介抱したのか』
_
( ;゚∀゚)「ま、待ってくれ。これには訳があるんだ…」
( <::V::>)『散々な目に合わされたくせに、よくも助けたな。
やはり貴様とは分かり合えない』
_
( #゚∀゚)「ッ……何が分かるんだよ、あんたに!!」
カリスの言葉に、ジョルジュが声を荒げる。
いつもはクーに対してどこか怯えて劣等感を感じていたが、そんなことを忘れさせるくらい、大きな声で。
_
( #゚∀゚)「分かったような口ぶりで好き勝手に…そもそもあんたのせいだろ!?」
( <::V::>)『私が何かしたとでも言うのか』
_
( #゚∀゚)「ああ、してるね。あんたはアンデッドなのにショボンさん達と仲睦まじく暮らしてるじゃねぇか!
アンデッドなんて好きでも何でもねぇよ、でも……あんたみたいな奴もいるんだってことを知っちまった!」
_
( #゚∀゚)「だから俺は、アンデッドはただの殺戮マシーンじゃないかもしれないって可能性を考えるようになっちまったんだよ!
そんな俺の気持ちがあんたには分かるか!?分かんねぇだろうな!いつも人のこと浅く見て好き勝手言いやがって!」
( <::V::>)『………』
ジョルジュの言葉が何故か、嫌というほど刺さる。
いつもなら適当に躱す言葉を返せるが、この時ばかりは返す言葉が見つからなかった。
925
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:30:18 ID:dVuufZLM0
_
( #゚∀゚)「そんなわけでな、義永ミセリも本当は好きでこんなことやってるんじゃないって思っちまうんだよ。
だから介抱した、これで殺されても自業自得だ。俺は誰も攻めやしねぇよ!文句あんのか!?」
( <::V::>)『……その覚悟があるなら好きにしろ。私はその女を封印しに来ただけだ』
ミセ*゚ -゚)リ「………」
ミセリを指差すカリス。
そのミセリは、隣でジョルジュの言葉を聞きながら…自然と、ジョルジュのことを見てしまっていた。
感じたことのない感情が芽生える。
これまで、戦いの中でしか生きてこなかったアンデッド達。ミセリも然りだ。
己に課せられた"運命"、宿命であり、勝つことが全てだった世界。
どんな卑怯な手でも使って、生き残ってやる。どんな手段を用いてでも、勝ち抜いてやる。
そんな世界の中では、決して芽生えることのない感情。
ミセ* - )リ(ああ……これが……)
ミセリの中で、何かが動いていた――。
ミセ*゚ -゚)リ「ジョルジュさん」
_
( ゚∀゚)「……え?」
ミセ*゚ -゚)リ
ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう」
926
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:30:40 ID:dVuufZLM0
ジョルジュの首に向けツタを伸ばし、首を絞める。
ふっ、と口から吹いた花弁がジョルジュを包み
_
( ゚∀゚)「へっ…!?……ミセ……リ……」
_
( ∀ )「さ―――」
その意識を、遠ざけた。
首に巻くツタを緩めると、力なく、だらんと地面に倒れるジョルジュ。
( <::V::>)
ミセ*゚ -゚)リ「……さぁカリス」
自分を迎えに来た、目の前の死神を見つめる。
ミセリは両手を広げ、その姿を歪なものへと変化させる。
*∧Λ*
∠* ゚`-´)ゝ『これで終わりにしましょう…!』
カリスは言葉を発さない。
カリスアローにラウザーを装着し、カードを引き抜く。
ミセリは、横目で倒れているジョルジュを見る。
最期に、自分のことを初めて分かってくれようとした存在を目に焼き付ける為に――。
927
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:31:09 ID:dVuufZLM0
《-♥4 FLOAT-》 《-♥5 DRILL-》 《-♥6 TORNADO-》
*∧Λ*
∠*#゚`-´)ゝ『……ウアアアアアアアアアアッッ!!』
《-♥SPINING DANCE-》
カリスの体が、宙に浮遊を始める。
足先から発生する竜巻の威力はみるみると増幅し、やがて周囲の枯葉を巻き込みながら暴風へと変化。
幾重にも回転する体を、カリスは足先からミセリに向かって突進。
ダッシュでカリスに挑むミセリ。
カリスは容赦なくその体に足を突き刺し、ミセリの体を貫通させるかのようにドリル状の攻撃を浴びせ続ける。
やがてカリスは、ミセリの体を突き破り、そして――。
.
928
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:31:40 ID:dVuufZLM0
―――――
.
929
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:32:01 ID:dVuufZLM0
命辛々逃げることに成功したブーン達は、自宅へと戻っていた。
クックルに負わされた怪我を、ツンによって手当されている。
頭部を狙われたブーンは頭に包帯を巻いていた。
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンとモララーさんが二人掛かりでも勝てないアンデッドだなんて…」
( ・∀・)「アイツは今までのアンデッドとは違う。
同じカテゴリーJの府坂やタカラとはタイプが違うにしても…元々のパワーが桁違いすぎる」
( ^ω^)「まさか、ライダースーツが破壊されるだなんて思いもしませんでしたお…」
ξ゚⊿゚)ξ「これからどうやって戦うつもりなの?」
( ・∀・)「そうだな…真っ向勝負では歯が立たないのは一目瞭然だ。
何か、奴の弱点を得られれば――」
「そんなもんは奴にはない」
( ・∀・)「?」
ξ゚⊿゚)ξ「誰!?」
突如、廊下の方からいないはずの誰かの声がした。
声のする方へ視線を向ける3人。モララーとツンは、その声に警戒する。
しかし、家主であるブーンだけはこの声に驚きはしなかった。
声の主が、廊下からリビングに現れる。
そこには、ブーンの後輩…カテゴリーKでもある、ヒッキーがいた。
930
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:32:21 ID:dVuufZLM0
(-_-)「あの象の野郎に弱点なんかない。あの力、あの図体…そのまんまの力を持ったのが奴だ」
( ・∀・)「君は…」
( ^ω^)「ヒッキー?お前…勝手に入ってくんなお」
(-_-)「ああ、すんません。でも一大事だと思って駆けつけましたよ」
( ^ω^)「そうか…助かるお」
ξ゚⊿゚)ξ「え…ちょっと待って、どういうこと?」
ブーンとモララーは、ヒッキーがアンデッドであることを既に認知済みである。
此処にいる中で、唯一ツンだけがヒッキーの存在を詳しく知らない。
(-_-)「ああ、俺実は――」
。
< \゚皿゚/>『これなんすわ』
ξ;゚⊿゚)ξ「ッッーー!?!?」
驚き、息をのむツン。
これ程至近距離で突然アンデッドを見たのは初めてで、思わず腰が抜けてしまった。
( ^ω^)「心配しなくていいお、ツン。コイツは僕らの味方だお」
( ・∀・)「剣藤、お前知ってたのか?彼がアンデッドだって…」
( ^ω^)「今日知ったばっかですお。モララーさん…知ってたんですかお?」
( ・∀・)「…ああ、実は…」
ξ゚⊿゚)ξ「……知らなかったの、私だけ?」
931
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:32:42 ID:dVuufZLM0
(-_-)「とにかく、どんな力を持ってしても並大抵のものではアイツは倒せない」
( ^ω^)「かもしれない…だからお願いがあるお。お前の力を貸してくれないかお?」
( ・∀・)「そうだ、君はカテゴリーKだろう?レンゲル相手に一切臆しなかった」
(-_-)「うーん……そうじゃねぇんだよなぁ」
二人の協力要請を、腕を組み首を傾げ拒むヒッキー。
(-_-)「並大抵の力では勝てないとは言ったけど…一つ、大事なことをしっかり持てば勝てるかもしれない」
( ^ω^)「もう、勿体ぶんなお!それってなんだお!?」
(-_-)「それは――」
焦れる様子のブーン。
ヒッキーが答えようとした矢先、インターホンが鳴り響く。
( ^ω^)「こんな時に誰だお…!」
ξ゚⊿゚)ξ「私が出るわ」
苛立ちを見せるブーンを抑え、ツンは一人玄関へと向かう。
玄関のドアを開けると、そこには
ξ゚⊿゚)ξ「所長…!」
932
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:33:06 ID:dVuufZLM0
そこに立っていたのは、ブーンの実父であり元BOARD所長・ロマネスク。
その手には、一つ箱が。
( ФωФ)「廣瀬、ついに完成したのである」
ξ゚⊿゚)ξ「完成?とにかく、上がってください」
ツンに招き入れられ、家の中へと入るロマネスク。
リビングには既に役者は揃っていた。
また、来客がまさかのロマネスクであったことを受け、ブーンは突如反抗的な態度を示し始める。
( ^ω^)「お前…!何しに来たお」
( ФωФ)「廣瀬、菱谷、ホライゾン。遂に完成したのである。
ライダーの力を更に増強させる、新たなシステムーー」
( ФωФ)「"ラウズアブゾーバー"が…!」
テーブルに置いた箱から取り出した装着型の機械のようなもの、
"ラウズアブゾーバー"……そう呼ばれるものを、ロマネスクは手に取った。
ξ゚⊿゚)ξ「これって、この前言ってた上級アンデッドの力を引き出せるシステムですよね?」
( ・∀・)「それが、遂に完成したんですか…!」
( ФωФ)「うむ。これを用いることで上級アンデッドの力を引き出し、更に強力な戦闘力を有すことが出来る」
ロマネスクが以前、提唱していた新たなシステム。ラウズアブゾーバー。
カテゴリーJからの上級アンデッドのカードに秘められた強大な力を、最大限に引き出すというもの。
ブーン達が封印してきた上級アンデッド達の力を、このシステムを使えば引き出せるということだ。
933
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:33:26 ID:dVuufZLM0
( ^ω^)「てことは…これを使えば、あのカテゴリーJも倒せるんじゃ…!」
( ФωФ)「恐らく。他のカードのようにラウズして力を得るのではなく、このラウズアブゾーバーは
使用者自身に強力な力を付与されるように作られている。
更なる強敵にも叶うように開発されたのが、このシステムである」
( ^ω^)「これ、早速使わせてくれお!どうしても倒したいアンデッドがいるんだお!」
大きな可能性を秘めた物を前にして、希望を見出すブーン達。
ロマネスクに懇願するブーンだったが…。
ソファに腰掛け、一部始終を黙認して聞いていたヒッキーが、鼻で笑った。
(-_-)「フッ……新しいシステムねぇ、上級アンデッドの力を引き出すだって?」
(-_-)「要するに、それは誰の力なんだい??」
ソファから立ち、ブーン達の輪に入る。
そして、彼ら人間の顔を一人一人見渡した。
( ^ω^)「ヒッキー、どういうことだお?」
(-_-)「上級アンデッドの力を引き出して戦おうってんでしょ。だから、それって結果的に誰の力なのかって聞いてるんです」
( ^ω^)「それは……上級アンデッドの力だお」
(-_-)「でしょ?てことは、先輩達の力じゃないってことじゃないですか」
謎にブーン達に突っかかるヒッキー。
何を言っているんだ?と、ヒッキーを見る一同の目はそう物語っている。
934
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:33:47 ID:dVuufZLM0
( ^ω^)「そうだお。僕達の力では及ばなかった、だからこの力を使って――」
(-_-)「――それって、ドクオとやってることはどう違うんですかね??」
( ^ω^)「……!」
ヒッキーの核心をついたかのような言葉に、思わず言葉を詰まらせる。
アンデッドの力を欲し、人間を捨てたかのように暴れ回っているドクオ。
強くなりたい一心のそんなドクオを、ブーン達は心配していた。
ξ゚⊿゚)ξ「でも、ドクオさんとブーンは意味が違うわ!
ブーンは、ただアンデッドを倒すという目的の為に――」
(-_-)「そうなんですか?先輩。先輩は何で仮面ライダーやってるんですか?」
( ^ω^)「それは…アンデッドを倒すため、人間を守るのが僕のライダーとしての使命だからだお!」
(-_-)「本当にそれだけですか?他に、先輩を動かすもっと大事なことは?」
( ^ω^)「ヒッキー、こんな間違い探しみたいなことしてる場合じゃないんだお!
僕達はあのカテゴリーJを倒さないといけないんだお!」
(-_-)「先輩……俺も遊びでこんなこと言ってるわけじゃあない。腹括った上で首突っ込んでるんだよ」
これ以上何と答えたらいいか分からない。
ヒッキーの真剣な表情と声色に、ブーンは一瞬、言葉を失った。
(-_-)「今のところ残念っすね…先輩。見損ないましたよ。
先輩達はアンデッドを倒すことに意識が行き過ぎて、もっと根本的なことを忘れてるんじゃないですか?」
(-_-)「とりあえず…コイツは俺がもらっとく」
テーブルの上に置かれたラウズアブゾーバーを、ヒッキーは奪い取る。
935
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:34:09 ID:dVuufZLM0
( ФωФ)「おい、君!何をしているのだ!?」
( ^ω^)「おっ、おいヒッキー!何してんだお、それを渡せお!」
(-_-)「こんなもの持ってても、次また倒せなくなったアンデッドが出た時におんなじこと言い出すだろ?
新しい力を引き出してー、ってな。だから持ってたって何の為にもならないさ」
( #^ω^)「ヒッキー、お前いい加減に…!」
苛立ちを覚え始めるブーン。
何かと因縁づけるような口ぶりのヒッキーに対し、少々威圧的な態度になった。
――すると、そんな険悪な空気を切り裂くように鳴り響くアンデッドサーチャー。
ツンが咄嗟にパソコンの前に立ち反応をキャッチ。アンデッドの正体を確認した。
ξ゚⊿゚)ξ「アンデッド出現!♣のカテゴリーJ、他の反応はない…街中で暴れているわ!」
(-_-)「ほら、暴れてますよあのアンデッドが。行かなくていいんですか?」
( ^ω^)「…言われなくても、僕はアンデッドを倒しに行くお!」
( ・∀・)「待て剣藤、俺も行く!」
( ФωФ)「ホライゾン、菱谷。気を付けるのである」
( ^ω^)「言われなくても分かってるお」
(-_-)「……じゃ、行きますか」
ブーン達は、反応をキャッチした場所に向かい始める。
ヒッキーの言葉に払拭しきれない何かを抱きながら、カテゴリーJの元へと急いだ。
936
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:34:34 ID:dVuufZLM0
同じ時、ブーンに助け出され一人家に戻っていたドクオにも、その知らせが入る。
カテゴリーAを通して。
『―――奴だ、奴が現れた』
('A`)「…そうか」
『今度こそ奴を倒せ!でなければ、お前はこの地獄から抜け出せはしないぞ…!』
('A`)「うるせぇ…黙って俺に力を貸せ!」
クックルの気配を感じる。
彼に徹底的に打ちのめされたことを、もう覚えていないのか。
ドクオは起き上がると、カテゴリーAが知らせてくる場所に向かうため、家を出た。
.
937
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:35:04 ID:dVuufZLM0
―――――
.
938
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:35:28 ID:dVuufZLM0
――ここは、したらばスタジアム。
今日はサッカーの試合がこのスタジアムで開催され、席には両サポーター達がユニフォームを着て観戦に来ていた…はずだった。
しかし、スタジアムの中でサッカーをしている者は誰一人としていない。
中に響く声は、熱の籠った応援の声ではなく……阿鼻叫喚の声。
「きゃあああああっ!」
「うわあああぁぁっっ!?!?」
бし゚益゚し『オオオオオォォォッ!』
クックルが、観客席で椅子や壁を破壊し尽している。
巨大な怪物が暴れているのを目の当たりにし、人々はパニックになりながら逃げ惑う。
бし゚益゚し『さぁ来い、仮面ライダー共…!』
「うわああっ!!!………」
後方に振りかぶったハンマーが、背後のコンクリートを粉々に粉砕。
コンクリートの壁にひっそり隠れていた男の姿が露わになる。
悲鳴を上げる男だが、次の瞬間――失禁をしながら、気を失い倒れた。
そこに、接近する気配を感じ取り始めるクックル。
待ち詫びた存在の到着に、胸を躍らせる。
бし゚益゚し『ふう…やっとお出ましか、待ちくたびれたぞ』
939
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:36:06 ID:dVuufZLM0
まず到着したのは、ブーンとモララー。
その後すぐにドクオが合流。三人はそれぞれバイクを降り、クックルを睨んだ。
( ^ω^)「ドクオ!」
('A`)「アイツは俺の獲物だ、邪魔するな!」
( ・∀・)「ドクオお前…またカテゴリーAに操られてるのか!?」
бし゚益゚し『何をブツブツと喋ってる?とっとと俺と戦え!』
三人はベルトを装着し、クックルに向かい合う。
【 -♠TURN UP- 】 【 -♦TURN UP- 】 【 -♣OPEN UP- 】
それぞれバックルを展開させゲートを射出すると、ライダーへと変身。
まずはギャレンとレンゲルがクックルに勝負を挑む。
( OHO)「うおおおおおっ!」
( OMO)「今度こそ貴様を封印する!」
ギャレンラウザーの銃撃を受けながら、接近し距離を詰めてきたレンゲルのレンゲルラウザーをも胴体で受け止める。
だが、やはりどちらも効果が無い。
ギャレン、レンゲルは交互に肉弾戦を挑む。
クックルは一人、二人のライダーからの攻撃を受け切りつつも、しっかりと防御もしている。
ここまではクックルのイメージ通りだった。
ライダーとの戦いを元に、"仮面ライダーの倒し方"をイメージしていたクックル。
そして次の行動に移ることも、イメージ通りだ。
бし゚益゚し『やはり、弱い…!』
940
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:36:32 ID:dVuufZLM0
レンゲルの攻撃を片腕で払い除け、右腕を振りかぶり鉄球でレンゲルの顔面を殴打。
( ; OHO)「ぐうっ!?」
更にギャレンを右足で押し込むような蹴りを腹部に与え、左手に構えたハンマーを横薙ぎに振るい打ち飛ばした。
( ; OMO)「ぐはっ!!……ッ、クソ、やはりこいつ…!」
胸を押さえながら徐々に立ち上がろうとするも、蓄積ダメージが大きくすぐに立ち上がれないギャレン。
レンゲルもまた然りだった。
顔面を殴打されたことで、脳震盪のような感覚が頭を襲い、しっかりと体勢を保つことができない。
( #OwO)「貴様アァァッ!!」
бし゚益゚し『何度来ても同じだ、お前達では俺には到底敵わない!』
ブレイドがラウザー片手に突進。
"♠6 THUNDER"と"♠8 MAGNET"のカードをラウズし力を放出。
クックルを磁力の力で押さえつけ、雷の力を纏った剣で攻撃しようという算段だ。
――だが、
бし゚益゚し『ほう、俺を止めれるとでも思ったのか……フゥ"ン"ッ!!』
( ; OwO)「なっ…!?」
クックルは、カードの力を強引に振り解き拘束を抜け出した。
そして、向かい来るブレイドに向かって右手を翳すと、ぶら下がる鉄球から光弾を発射。
( ; OwO)「うああああッ!!」
ブレイドに被弾した途端、多数の爆発を引き起こす。
941
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:36:59 ID:dVuufZLM0
シュウウ…と、音を立てながら装甲から吹き上がる煙幕。
爆撃を受けてブレイドはその場に背中から倒れこんでしまう。
( ; OMO)「剣藤…ッ!」
( ; OwO)「こいつ、やっぱり他のカテゴリーJよりレベルが違うお…」
ブレイドの言葉を耳にした途端、クックルの様子が変わった。
今までは静かに闘う意志を燃やし、冷静にライダー達と戦っていたが…。
クックルの鼻息が、どことなく荒くなった。
бし゚益゚し『お前がどれだけのアンデッドを相手にしてきたかは知らんが、他のカテゴリーJと一緒にされると困るなぁ。
特に……昨日の狼野郎のような奴と一緒にされると……腹が立つんだよ!!』
ハンマーを高々と振り上げ、全身の力を込めて、そのまま一直線に地に向かって振り下ろす。
振り下ろされた地面からコンクリートで出来た辺り一面に、バキバキッ!と地割れが起きる。
ゴゴゴゴゴ…と地鳴りのような不穏な音が響き渡ると、突然――、
( ; OwO)「おわぁあっ!!」
( ; OMO)「なっ…!!」
地面は砕かれ、割れた部分からブレイド達は下の階へと落下する。
叩き付けられ、更にクックルの追撃を受けスタジアム中央の広場へと放り投げ出される。
( ; OHO)「んぐっ…!このでかい会場を、崩落させただと…!?」
ハンマーの一振りで、スタジアムの一部を崩壊して見せたクックル。
とてつもなく強大な力を前にし、レンゲルは自然と心が恐怖に染まってしまっていた。
942
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:37:20 ID:dVuufZLM0
一方、この戦いを傍らで観戦している者がいる。
(-_-)
ヒッキーだ。
崩壊を免れた客席にて、椅子に腰掛け足を組みながらライダー達の戦いを見ている。
その隣の席には、ロマネスク達が開発したラウズアブゾーバーが。
(-_-)「ん…?」
戦いを見ていたはずのヒッキーだが、いち早く何かに気付いた。
遠くからぼんやりと見える。物陰に隠れ、動けないでいる何かが。
よく見ると……そこには、まだ10歳にも満たないであろう女の子が、恐怖で震えていたのだ。
ヒッキーはこれに気付いたが、動こうとはしない。
あくまで、傍観を決め込んでいる。
(-_-)「さて、どうなるかな…」
.
943
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:37:42 ID:dVuufZLM0
( ; OwO)「くっ……こんなとこで、倒れるわけにいかないんだお…!」
бし゚益゚し『そうか。だが残念だったな、お前達は此処で終わりだ』
拳を突き立て、立ち上がろうとするブレイド。
クックルは見せしめにと言わんばかりに、片手でギャレンとレンゲルの首を掴み、軽々と持ち上げた。
( ; OMO)「ぐう…」
бし゚益゚し『これはお前達の力を測らせてくれた感謝の気持ちだ、受け取れ!』
( ; OHO)「ふざけやがってェ…!」
鉄球から光弾を発生させ、吊り上げたギャレンとレンゲルに至近距離で発射。
無数の火花が激しく散り、爆発が二人を巻き込んだ。
( ; OwO)「モララーさん!ドクオ!!」
立ち込める煙幕の中から、二人の体が投げ出される。
地面に落下した後、二人の変身はダメージを受けすぎたが故に強制的に変身を解除される。
( ; ・∀・)「かはっ…!」
(;'A`)「ううぅ…」
( ; OwO)「こんのォ……!!」
痛む体を叩き起こし、二人を庇うようにクックルに立ち向かう。
しかし、クックルのハンマーによる殴打によりいとも容易く吹き飛ばされてしまう。
944
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:38:18 ID:dVuufZLM0
( ; OwO)「うぐ…っ!」
「きゃあああっ!!」
壁にぶつかり崩れ落ちるブレイド。
その壁の向こう側で、何か悲鳴のような声が聞こえた。
( ; OwO)「え…?」
「ぐすっ…!うううぅぅ…!」
女の子の泣き声。
ブレイドは壁に手を掛けながらゆっくり起き上がり、向こう側を覗いた。
そこには、うずくまって震えている女の子が一人で隠れていた。
( ; OwO)「まだ、逃げきれてない人がいたのかお…」
бし゚益゚し『何だ、別の人間の声がするな。まだいたのか』
クックルが、背を向けるブレイドの方へとゆっくり歩み寄る。
すると、女の子がいると分かりながら、鉄球から光弾を発射。
( ; OwO)「ッ!?危ない!!」
それに気付いたブレイドは、咄嗟に庇うように立ち上がり背中で光弾を受け止めた。
( ; OwO)「ッッぐぅっ…!!」
945
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:39:20 ID:dVuufZLM0
背中を襲う痛みに、歯が欠けそうな程に食いしばって踏ん張る。
既に体はボロボロ、両脚もおぼつくが、ブレイドは倒れない。
むしろ…涙を流す女の子に向けて、サムズアップしてみせた。
( ; OwO)「ッ……大丈夫、安心するんだお…!お兄ちゃんが守るから!
今のうちにほら、お母さんのとこに逃げるんだお…!行けるね?」
「……うん」
( ; OwO)「よしよし、偉いお。さぁ、走って行くんだお!」
女の子は、ブレイドの顔を見つめながら問いかけに頷いた。
彼の言葉に安心したのか、女の子は立ち上がってすぐに出口の方へと駆けていく。
その姿を見届けたブレイドは、ふと……気が付いたことがあった。
いや、正確には…忘れていたこと。かもしれない。
( ; OwO)「そうか……」
ヒッキーに言われたことが、頭を過る。
――先輩は何で仮面ライダーやってるんですか?
――先輩を動かすもっと大事なことは?
――先輩達はアンデッドを倒すことに意識が行き過ぎて、もっと根本的なことを忘れてるんじゃないですか?
( OwO)「……そうだ、分かったおヒッキー」
(-_-)「……」
遠くから見守っていたヒッキーは、ブレイドの変化に気付き、僅かに身を乗り出す。
946
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:40:15 ID:dVuufZLM0
( OwO)「僕の体を動かすのは、義務とか使命なんかじゃない…。
そこにいる人を守りたいという思い、助けたいという思いが、僕の体を動かしているんだ…!」
( OwO)「アンデッドを倒す事だけじゃない、人を守るために戦う……僕は人間を愛しているから戦っているんだお!」
(-_-)「そうだよ…それが聞きたかったんだよ、先輩…!」
柵に足を掛け、高々と跳躍するヒッキー。
蜘蛛の糸をブレイドの元へ伸ばし、糸を伝い瞬時に移動。
бし゚益゚し『ん?お前は…』
(-_-)「やっと気付いてくれましたね、先輩」
( OwO)「ヒッキー、お前の言う通り…僕はアンデッドと戦うことばかりに意識が集中してたお。
大事なことを忘れかけてた」
(-_-)「そう、その想いが力になる。アンデッドの力だけでは本当の強さは手に入らない。
それは、先輩が今までの戦いを通してみんなに教えてくれたことじゃないですか」
(-_-)「俺も、先輩からの教えを先輩に叩き入れ直しただけですよ」
( OwO)「ヒッキー……」
бし゚益゚し『何をゴチャゴチャと喋っているんだ…カテゴリーK、お前も人間とつるむようになったのか?』
(-_-)「黙れ、デカブツ。残念だがお前の計画はここで終わりだ」
бし゚益゚し『ほう、それはどういうことかな?』
947
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:40:38 ID:dVuufZLM0
ヒッキーが、ラウズアブゾーバーをブレイドに差し出す。
ブレイドがそれを受け取ると、ヒッキーは後退りしてその場を離れる。
( OwO)「これが、ラウズアブゾーバー……よし!」
( ФωФ)[ 聞こえるか、ホライゾン ]
( OwO)「ああ、聞こえるお」
( ФωФ) [ そいつを左腕に装着するのである。そしてカテゴリーQのカードを装填させ、カテゴリーJをラウズするのである! ]
ロマネスクの指示通り、ブレイドはラウズアブゾーバーを左腕に装着。
ブレイラウザーを引き抜き、オープントレイを展開させ、♠Jと♠Qのカードを選択。
そして、ラウズアブゾーバーの中央部に、♠Qのカードを装填。
〘-♠ ABSORB QUEEN-〙
神々しい待機音が鳴り響く。
そして、もう一枚の♠Jのカードを、ラウズアブゾーバーにラウズした。
〖 -♠ FUSION JACK- 〗
( OwO)「!?」
948
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:41:04 ID:dVuufZLM0
♪rebirth -
https://www.youtube.com/watch?v=SgXC5Z4R3-c
突如、♠Qのカードが黄金の光を放ち始め、辺りから羽根がひらひらと舞い落ちる。
翼を広げた黄金の鷲が現れ、ブレイドの銀色の装甲を覆うように吸収。
鷲を纏ったブレイド。黄金の光が消えた後に現した姿は――、
( ; ・∀・)「はっ……!」
(;'A`)「あ、あれは……?」
∧
( OwO)
仮面のスペードシールド、胴体の装甲のオリハルコンブレストが、黄金に輝いている。
胸部のスペードマークの中には、イーグル――鷲が紋章として浮かび上がり、背中には銀と紅の翼がマント状に装着されている。
更に、ブレイラウザーの剣先には新たな刃が形成され、刃の長さが伸長。
光り輝くその姿は、上級アンデッドの力を引き出した新たな力――ジャックフォーム。
бし゚益゚し『何だ、その力は…!?』
無敵と言わんばかりにライダーを圧倒してきたクックル。
ジャックフォームと化したブレイド、その姿から感じる力の脈動に…どこか困惑を隠せない様子。
( ; ・∀・)「あれが、新しい力なのか…!?」
949
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:41:27 ID:dVuufZLM0
∧
( OwO)「何だこの力…感じるお、奥底から湧き上がる力を…」
先程までボロボロになっていたのに、今はその苦痛も薄い。
呼吸を整え、ブレイラウザーを構える。
最大の敵であるクックルを前に、冷静さを取り戻した。
бし;゚益゚し『何なんだ、こいつは…!!』
∧
( OwO)「覚悟するお、カテゴリーJ…!」
クックルに向かって駆け出すブレイド。
翼を靡かせながら、瞬く間に距離を詰める。
∧
( OwO)「貴様を、倒す!!」
そして、ブレイラウザーを――勇気の剣を、振り下ろした。
新たなる力を得たブレイドの反撃が、今、始まる。
950
:
26話
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:41:48 ID:dVuufZLM0
【 第26話 〜新たなる力〜 】 終
.
951
:
◆7MnOV.oq7w
:2022/01/08(土) 12:49:52 ID:dVuufZLM0
しおり
>>9
第15話
>>84
第16話
>>152
第17話
>>234
第18話
>>308
第19話
>>372
第20話
>>454
第21話
>>530
第22話
>>605
第23話
>>682
第24話
>>772
第25話
>>875
第26話
( ^ω^)< またそのうち
( ^ω^)< 中途半端だから多分次スレかも
952
:
名無しさん
:2022/01/08(土) 17:10:27 ID:GlcYoc5A0
乙ッッッ
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