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鯨骨生物群集 或いは

30名無しさん:2017/08/26(土) 22:32:34 ID:9prP.Kj60
午前6時のアラームに起こされて一日が始まる。
眠たい目を擦りながら階段を降りると、味噌汁のダシの香りと、食パンの焼ける匂いが漂ってきた。

(;*゚∀゚) 何回も言ってるけど、パンに味噌汁は無いだろー?

J( 'ー`)し 何回も言ってるけど、パンを食べるのはあなただけで、お父さんもお母さんもご飯派なの

J( 'ー`)し 主食に合わせてスープを二種類作る時間なんて無いんだから我慢しなさい

(;*゚∀゚) オニオンスープとかさ、ご飯にも合うだろ? コンソメをぽちゃんとさ……

J( 'ー`)し ほらほら、食べるの? 食べないの?

(;*゚∀゚) 食べるよ! もー……

食卓にはパンと目玉焼きと真っ赤なソーセージが並んでいる。
玉ねぎの入ったコンソメスープが付いてきたなら完璧なのにと肩を落としつつ、フォークを手に取る。

J( 'ー`)し どうしてこの子はこんなに味噌汁が嫌いかね? 美味しく作ってるはずなんだけど

(*゚∀゚) 味は好きだよ。味は

J( 'ー`)し 味が好きなら良いじゃない。何が気に入らないの?

(*゚∀゚) ……見た目が、外の空気みたいじゃん

J( 'ー`)し ……

31名無しさん:2017/08/26(土) 22:34:02 ID:9prP.Kj60
窓の外に目を移すと、茶色く濁った景色の向こうに巨大な工場の影が見えた。
雲にも届きそうな長い長い煙突から、赤茶けた煙が際限なく吐き出されている。
あの忌々しい工場は、今日も絶好調で稼働中だ。

(*゚∀゚) かーちゃん、あの工場はいつになったら爆発するんだ?

J( 'ー`)し 馬鹿なことを言うんじゃないよ。そんなことが起こったらこの国は終わりさ

(*゚∀゚) でも、何十年も前はあんな物が無くたって、皆生活できてたって言うじゃないか

J( 'ー`)し 一日三食ジャガイモだけの生活をしたいのかい?

J( 'ー`)し 豊かな暮らしも、あなたが大好きな柘榴のパイも、全部あの工場のおかげなんだよ

J( 'ー`)し 下らない事を考えてないでさっさと食べちゃいなさい。今日は何かの当番なんでしょ?

はっとして時計を見る。気付くと15分以上も時間を無駄にしていた。
慌てて食事を口に詰め込み、味噌汁で流し込む。
かーちゃん、やっぱりバタートーストと味噌汁は合わないよ。

J( 'ー`)し でもご飯とはすっごく合うのよ

(;*゚∀゚) もー! 行ってきます!

J( 'ー`)し はいはい。マスクのフィルターも替えておいたからね

(*゚∀゚) ありがとっ!

32名無しさん:2017/08/26(土) 22:35:19 ID:9prP.Kj60
(;*゚∀゚) ゴソゴソ……
 つ[◎廿◎]

( [◎廿◎] よしっ!

自分用のガスマスクを装着して玄関を出る。その先にはガラス張りの風除室。
元々は雪国にしか無かった物らしいけど、今はもう、どこの家でもこれが当たり前だ。

(;[◎廿◎] 今日は一段と強烈だあ! 風除室でもう臭い!

(;[◎廿◎] ……っていうかこのフィルター芳香剤入ってないやつじゃん! 勘弁してよかーちゃん!

朝から文句は山ほどあるけど、もう拘っている時間がない。
急いで学校に向かわなくては。

ミセ[田iii田] おはようつーちゃん。今日は随分早いね

声をかけてきたのは向かいの家に住むミセリさん。
確か今日は朝一番から、窓の汚れを掃除すると言っていたっけ。
今日のこの煙の様子だと、掃除してもすぐにまた汚れる気がするけれど……

( [◎廿◎] ミセリさんおはよう! 急いでるからじゃあね!

ミセ[田iii田] いってらっしゃい。風が強いから気をつけてね

( [◎廿◎] うん、行ってきます!

33名無しさん:2017/08/26(土) 22:36:47 ID:9prP.Kj60
学校へと向かう道を走る。
視界の悪さから車に轢かれそうになったりもしたけれど、そんなことはお構い無しだ。
早く学校に着かないと、みんなの登校時間に間に合わない。
私が空気清浄機のスイッチを押さなくちゃ、今日一日みんなマスク装着で授業を受けないといけなくなる。

(;[◎廿◎] 先週寝坊でやらかしたから、今回はちゃんとやらなくちゃ!

学校まであと少し。なんとか間に合いそうだ。
この角を曲がれば、残るは一直線。陸上部員の実力を見せつけて……

その時、曲がり角の向こう側から、人影が飛び出してきた

(;[◎廿◎] えっ……あーっ!?

スピードに乗った私はその人影を避けきれず、激突する。
相手の胸板に顔面を打ち付ける形になり、衝撃でガスマスクが何処かに飛んでいってしまった。

(;*゚∀゚) あっ……

(;* Д ) …………っ!?

一呼吸、思わず吸い込んだ茶色い空気が強烈な不快感を引き起こす。
目が痛い。咳が止まらない。胃が引き締まり、内容物が込み上げて来た。

(;* Д ) 助け……マスクを……!

目を閉じたまま手探りで、地面に落ちたはずのマスクを探す。
だけど、手に触れるのは地面だけ。マスクはどこにも見つからない。

34名無しさん:2017/08/26(土) 22:38:51 ID:9prP.Kj60
もう駄目だ、私はここで死んでしまうのだ。
そんな諦めさえ芽生え始めた時、私の頬に大きな手が触れるのを感じた。
次に、顔全体を包み込むマスクの感覚。少しずつ呼吸が楽になり、痛みは消え、吐き気も治まった。

( [ ゚ iiii ゚] ……えっと、これは……?

顔に手を当てて、感触を確かめる。
私が装着しているのは間違いなくガスマスクだったが、つい先程まで身につけていた物とは明らかに形状が異なっている。
そこでようやく、私は眼の前に居る人間に意識を向けることが出来た。

( ´_ゝ`) ……

その人は、ガスマスクも無いのに平然として、私のことを見下ろしていた。

( ´_ゝ`) ごめん、急いでた

( [ ゚ iiii ゚] いえ、こちらこそ……って、マスク! マスク無くて大丈夫?

( ´_ゝ`) うん、そうみたい。みんな着けてるから持ってきたけど……

( ´_ゝ`) ……いや、うん。とにかくごめん。急いでるから行くね

( ´_ゝ`) そのマスクはあげるから。あと君のマスク、あっちの植え込みの方に飛んでいったよ

そう言うと細目の男は、まだ呆然としている私を置いて走り去ってしまった。

しばらくして我に返った私は急いで学校に向かうも、結局当番には間に合わなくて、友人達から顰蹙を買った。
言い訳はしたけれど、マスクを着けずに外を歩ける人間のことなど、誰も信じてはくれなかった。

35名無しさん:2017/08/26(土) 22:40:52 ID:9prP.Kj60
ガスマスクを着けたまま、授業が始まる。
教壇で熱弁を振るうのは、日本史のビコーズ先生だ。

(( ∵) かつて日本は経済的に貧しい国で、国民は日々の食事にさえ困窮する有様でした

(( ∵) 偉大なる政治家ジョルジュはそんな国民の様子を嘆き、日本の工業の発展に努めました

(( ∵) 後に第六次産業革命と呼ばれたこのムーブメントは、僅か十年の間に貧困国家の日本を世界有数の経済大国にまで押し上げます

(( ∵) 今やあの工場で作れない物は無い。家も、衣服も、食料も、宇宙船だって作れます

(( ∵) まあ、八本足の鶏やピンクのスライム肉のように、行き過ぎた効率化が発覚し、倫理的な面で非難されることも多いのですが

日本史の授業は嫌いだ。
特に近代史の授業は、いつも最後にあの結論に辿り着く。

(( ∵) ――――ともかく、今の日本の発展には、窓から見えるあの工場が大きく寄与しているのです

(( ∵) 皆さんの生活はあの工場が支えています。感謝の気持ちを持って日々を過ごしましょう

工場に感謝しなさい。その話を聞くのはもう何回目になるだろう。
ノートの隅に棒人間を書く作業にも飽きて、窓の外に目を向ける。

空気が綺麗だった頃の名残である、無駄に広い校庭。
昔は生徒達が太陽の下で素顔をさらして、あの場所を駆け回ったのだという。
今はもう、わざわざ屋外に出て運動する物好きなど居ないだろう。

36名無しさん:2017/08/26(土) 22:41:51 ID:9prP.Kj60
( [ ゚ iiii ゚] ん……?

しばらく校庭を眺めていた私は、その片隅に小さな人影があることに気が付いた。
小さな人影? いや、あれは体を丸めているだけだ。体を丸めて朝礼台の陰に隠れながら、こちらを観察している。
人影は私の視線に気づくと、手に持った何かを頭上に掲げ、振り回した。
目を凝らす。揺られているのは、見覚えがあるマスク。

(;[ ゚ iiii ゚] (あれ、私のガスマスクじゃん!)

(;[ ゚ iiii ゚] 先生! トイレ!

(( ∵) 女の子ならもうちょっと小声で言いなさい

教室を飛び出して、校庭に向かう。
職員室の前を通らないよう、遠回りしないといけないのがもどかしかった。
校庭に居たのは、案の定と言うべきか、今朝出会った謎の男だった。

( ´_ゝ`) 拾っといたよ

そう言って彼は、手に持っていた物を渡しに差し出した。
やはり、今朝私が落としたガスマスク。土埃で汚れているけれど、壊れているわけではないらしい。

(;[ ゚ iiii ゚] あ、ありがとう……届けに来てくれたんだ!

( ´_ゝ`) 君と同じ服を着た人が入っていくのを見たから、多分ここだろうと思って

( ´_ゝ`) 目印があると便利だね。俺も腕に目印ついてるけど

( [ ゚ iiii ゚] 腕に……?

37名無しさん:2017/08/26(土) 22:43:12 ID:9prP.Kj60
彼の腕に目をやると、右腕の肘を挟むようにして、赤と黄色のラインが引かれているのが見えた。

(;[ ゚ iiii ゚] これって、あの工場の……

( ´_ゝ`) あ、バレちゃった?

腕に引かれたラインは、工場で働く職員の証。
その中でも赤と黄色のラインは、最も地位が低い奴隷階級を示すものだ。
あの工場では他に行き場がない浮浪者や孤児が、僅かな食料と引き換えに家畜のような扱いを強いられると聞く。

皆がいい暮らしをするため、仕方のない犠牲だ。だからこそ彼等には感謝しなければいけない。
安全な立場の人間が「自分だって苦しいのだ」と言わんばかりに涙を流し、そんな言葉で工場を賛美する。
彼もまた、この吐気がするような胸糞悪い体制の犠牲者の一人だったのだ。

(;[ ゚ iiii ゚] なんでこんな街中に居るんだ!?

( ´_ゝ`) 逃げてきたんだよ。あそこで働いてたら、いつ死んでもおかしくないからね

( ´_ゝ`) 俺は生まれた時からあの中に居た。奴隷同士の間に生まれた子だという

( ´_ゝ`) でも、外からやって来た奴隷達から「こっち」の話は聞いていた

( ´_ゝ`) こっちは良いな。空気は工場より綺麗だし、何より命の危険が少ない

( ´_ゝ`) でも、もし奴等に捕まったら半殺しか全殺しか……だから、できれば誰にも言わないでほしいな

(;[ ゚ iiii ゚] 言わないけど……それならこんな所に来ないで隠れてれば良かったのに……

( ´_ゝ`) でも、このマスク無いと困るでしょ?

(;[ ゚ iiii ゚] そりゃそうだけどさ

( ´_ゝ`) まあ、確かに危ないからもう逃げるよ。じゃあね

38名無しさん:2017/08/26(土) 22:44:35 ID:9prP.Kj60
( [ ゚ iiii ゚] ……あ、ちょっと待って! すぐ戻ってくるから何処かに隠れてて!

( ´_ゝ`) うん? うん、わかった

そうだ、確か今日の弁当には、あれが入っていたはずだ。
出てきた道をそのまま遡って、誰にも気付かれないようこっそり教室に侵入する。
ビコーズ先生は板書のために背を向けている。生徒はだいたい寝てる。大丈夫だ。

ロッカーから学生鞄を引き抜いて、再び校庭に向かった。

( [ ゚ iiii ゚] ほら、これ!

片手に収まるサイズのタッパーを差し出すと、男はそれを受け取って、怪訝な面持ちで口を開いた。

( ´_ゝ`) これは?

( [ ゚ iiii ゚] お礼だよ。私の好物の柘榴のパイ!

( [ ゚ iiii ゚] 逃げてきたってことは、ロクに物も食べてないんだろ?

( [ ゚ iiii ゚] かーちゃんの手作りだから世界一うまいぜ! 後で食いなよ!

( ´_ゝ`) くれるのか、俺に。こんな美味そうな物を貰うのは生まれて初めてだな

( ´_ゝ`) ありがとう

39名無しさん:2017/08/26(土) 22:45:26 ID:9prP.Kj60
( [ ゚ iiii ゚] それと……
  ∩ ∩

(;*-∀-)
  つ[ ゚ iiii ゚]

(;*-∀-)
  つ[◎廿◎]  [ ゚ iiii ゚]

(;[◎廿◎]
  ∩ ∩

(;[◎廿◎]  ハァ…ハァ…!!
  つ[ ゚ iiii ゚]

(;[◎廿◎]  ……ごれ゙も゙!
  つ[ ゚ iiii ゚]

(;[◎廿◎] マスクも無しに出歩いてたら、流石に怪しまれるだろ……!?

( ;´_ゝ`) あ、ああ……ありがとう

40名無しさん:2017/08/26(土) 22:46:19 ID:9prP.Kj60
( [ ゚ iiii ゚] それじゃあ、俺はもう行くよ。ありがとな

( [◎廿◎] うん、上手いこと逃げろよ。もし捕まったら工場まで出向いて笑い者にしてやるから

( [ ゚ iiii ゚] そいつは困るな……まあ、せいぜい頑張るよ

授業の終わりを告げる鐘の音が鳴る。
私は慌てて教室へと走り、男は手を振ってそれを見送っていた。

(( ∵) トイレに行く途中でマスクのフィルターが駄目になった……それは大変でしたね……

( [◎廿◎] 予備があって助かりました

(( ∵) いくらかガスも吸ってしまっているでしょうし、体調が悪ければ無理せず保健室に行きなさい

( [◎廿◎] はい、ありがとうございます!

(( ∵) ……それと、脱走者と親しくするのはやめておいた方が良い

(( ∵) 後で悲しむのは、あなた自身ですよ

(;[◎廿◎] あっ……気付いて……

(( ∵) 言わないだけで、大人はみんな分かっていますよ。余程問題が無い限りは黙認しますが

「今回だけ、出席ということで付けておきます」
ビコーズ先生はそれ以上何か言うことも無く、職員室へと戻っていった。

41名無しさん:2017/08/26(土) 22:48:18 ID:9prP.Kj60
その後の授業も、家に帰ってからも、私はずっとあの男のことが気がかりだった。
無事に逃げることは出来たのか、捕まって、酷い仕打ちを受けているのではないか。
もしかしたら、この街の何処かに隠れたまま、食料もなく、飢え死にすることになりはしないか。

男の大きな手の感触を、切れ長で細い目を思い出しながら、そんなことばかり考えている。
家族とクラスメイト以外で男の素顔を見たのは、これが初めてではないだろうか。
頬が少し、熱くなるのを感じた。




彼と私が再び出会ったのは、それから一週間後。
そしてその日が恐らく、私が彼を見た最後の日だったと思う。

42名無しさん:2017/08/26(土) 22:49:10 ID:9prP.Kj60
私はその日、例によって空気清浄機の稼働当番だった。
二週連続の失態を取り戻すべく午前5時半のアラームで飛び起きると、
前日から用意していた弁当箱二つを学生鞄に詰め込んで家を出た。

学校まではゆっくり歩いても20分弱。
今日はガスが薄いから清浄化するのも早いだろうし、
のんびりと登校して来る生徒達を教室の窓から眺めつつ、悠々と朝食を摂れるはずだ。

ミセ[田iii田] おはよう、つーちゃん。早起きね!

(;[◎廿◎] おはよう! 多分ミセリさんのほうが早いと思うけど!

ミセ[田iii田] 工場の一部が稼働を止めてるらしくて、ガスが薄いじゃない?

ミセ[田iii田] 空気が良いうちに庭の掃除でもしようと思って!

ミセ[田iii田] ……ところでつーちゃん、これから登校なら気をつけたほうが良いよ?

( [◎廿◎] へ? なんで?

ミセ[田iii田] 向こうの道。通学路の所を、工場の作業着を着た人達が走って行ったの

43名無しさん:2017/08/26(土) 22:50:08 ID:9prP.Kj60
ミセ[田iii田] いたぞー、とか。つかまえろー、とか。そんな声が聞こえてきて……

ミセ[田iii田] 多分あれ、脱走者を追いかけてたんだと思う

ミセ[田iii田] 脱走者に出くわしたら何をされるかわかったもんじゃないし、変な人が居たらすぐに逃げなさいね

( [◎廿◎] そうなんだ……気をつけます……

私は平静を装いながらミセリさんに別れを告げ、学校に向かった。
いや、正確に言うならば、通学路を通ったという脱走者を追いかけた。

私の頭の中は、あの人のことで一杯だった。

彼はこの一週間、何処にいたのだろう。近所の公園や郊外のゴミ集積場、ビルの隙間や路地裏。
ガスマスクのフィルターが切れる心配が無ければ、視界の悪い屋外で、隠れる場所はいくらでもある。
今回の追跡さえ振り切れば、再び彼を発見するのは困難になるだろう。

( [◎廿◎] 今回だけ……今回だけ、あの人を助けよう……!

そう、私の頭の中は、あの人のことで一杯だった。
だから、追われている脱走者があの人ではない可能性など、考えもしなかった。

44名無しさん:2017/08/26(土) 22:50:55 ID:9prP.Kj60
放置された車の陰、テナント募集中の空き家、彼が隠れていた場所を虱潰しに探しながら学校に向かう。
工場の作業員達が彼を見つけるより先に、私と彼は再び出会うだろう。
そんな根拠のない自信が、心の奥深くから湧き上がった。

ブロック塀の曲がり角。ここを曲がれば学校まで一直線だ。
そういえば彼と最初に出会ったのも、この場所だった。
彼との出会いを再現するように、私は全速力で丁字路に突入した。

曲がり角の向こう側から、図ったようなタイミングで人影が飛び出してきた。

(*[◎廿◎] あっ、久しぶりだ――――

大きな手が私の喉首を鷲掴みにして、ブロック塀に叩きつけた。

(´<_` ) ……

あの人に似ていた。でも、あの人ではなかった。

(´<_` ) マスクを貰う。暴れたら殺す

45名無しさん:2017/08/26(土) 22:53:48 ID:9prP.Kj60
返事を待たずに、男の手が私の顔に掴みかかる。
マスクが顔から取り外され、体内に大量のガスが入り込む。
苦しみから地面をのたうち回り、自身の吐瀉物に塗れながら、ようやく私は、私が置かれている状況を理解した。

(´<_` ) なんだ、マスクを外したら死ぬのか。そりゃ悪かったな

(´<_` ) 外の人間は弱い奴等だ。こんなののために、俺達は……

(ill*;∀;) がえ゙っ……マスク……

[◎廿◎] ) 騒ぐなよ見つかるだろうが……いや、こっちの方が都合が良いか……

[◎廿◎] ) じゃあな。でかい声で助けを呼べば助かる可能性もあるだろう。それが出来ればの話だが

[◎廿◎] ) 俺はその騒ぎに紛れて逃げさせてもらうぜ

(ill*;∀;) いや……助げて……だっ……

(ill*;∀;) ……

(ill*;∀;) 死に゙たくない

[◎廿◎] ) ……

[◎廿◎]#) お前達が! 俺にそれを言うか!!

私に背を向けて歩き出していた男は、突然振り返って私を罵倒した。
目は涙で何も見えないけれど、こちらに走り寄ってくるダン、ダンという足音は聞こえる。
何をされるのかな。もう息もできなくなってきた。

頭の真横で足音がして、大きな手が私の顔を包んだ。

46名無しさん:2017/08/26(土) 22:55:10 ID:9prP.Kj60
( ´_ゝ`) 悪かったな、勇気が出なくて……もう大丈夫だから安心しろ……

大きな手はゲロまみれの私の顔を拭って、少し汗臭いガスマスクを押し付けた。
吐き気も、目の痛みもすぐには止まらないけれど、フィルターから送られる清浄な空気が、気分を少し楽にしてくれた。

(ill[ ゚ iiii ゚] へへ……臭いよ、これ

( ´_ゝ`) マスクなんか着けずに生きてきたもんだから、邪魔くさくてな。結局使わず、こう、シャツの中に突っ込んで……

(ill[ ゚ iiii ゚] 馬鹿じゃん。でも、ありがと……あいつは?

( ´_ゝ`) あいつ? ああ、君を襲った奴なら向こうで伸びてるよ

( ´_ゝ`) まだ目は見えないだろうけど、あいつを追ってた工場の人達も居る

(ill[ ゚ iiii ゚] 工場の人達って……馬鹿! お前も捕まっちゃうじゃん!

( ´_ゝ`) まあ、仕方ないよなあ。そうしなきゃ君、死んでたもの……

(ill[ ゚ iiii ゚] でも……!

( ´_ゝ`) 俺のことは気にしないで良いよ。俺がやりたいから、そうしたんだし

( ´_ゝ`) 救急車も呼んだ。納得出来ないことも有るだろうが、今はとにかく休みな……

(ill[ ゚ iiii ゚] ……

(ill[ ゚ iiii ゚] うん

47名無しさん:2017/08/26(土) 22:55:52 ID:9prP.Kj60
( [ ゚ iiii ゚] スー…スー…

( ´_ゝ`) 顔色も良くなったし、もう心配無い。そうだろう?

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 そうだな。しかしお前は、馬鹿なことを……

(;'A`) 工場じゃもう、お前は死んだものとして扱われていたんだ

(;'A`) コストの無駄だと捜索も打ち切られていた。だが、目の前に出てこられたら、捕まえなきゃいけないじゃないか

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 すまんが、逃げないでくれよ。逃げられると俺の首が飛ぶ

( ´_ゝ`) 逃げないよ。もう気は済んだし、工場に帰るとしよう。だが……

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 だが?

( ´_ゝ`) 最後にもう少しだけ時間をくれよ

48名無しさん:2017/08/26(土) 22:56:44 ID:9prP.Kj60
( ´_ゝ`) なあ君、まだ起きてるんだろ?

私の方に顔を向けて、彼が言う。
出来ることなら眠っていたかった。寝て、起きて、その間に別れを済ませておきたかった。

( [ ゚ iiii ゚] ……うん

( ´_ゝ`) 色々迷惑かけてごめん。思えば最初の出会いも、今の状況とあんまり変わんないね

( [ ゚ iiii ゚] ふふ、そうだなあ

( ´_ゝ`) 実を言うと女の子の素顔見たの、人生で初めてだったからドキドキしたよ

( ´_ゝ`) 君みたいな可愛い子でよかった。あそこに居る般若面野郎みたいな顔だったらトラウマだ

少し離れた所から、「おい」という野太い声が聞こえてくる。
それと同時に、声の後ろで何人かが吹き出して笑っていた。

( ´_ゝ`) 柘榴のパイも、うまかったよ。今まで食ったものの中で一番

( [ ゚ iiii ゚] そうかあ、そりゃあよかった

49名無しさん:2017/08/26(土) 22:57:36 ID:9prP.Kj60
( ´_ゝ`) えっとさ、もう時間だし、お別れだ。般若面が手招きしてる

( [ ゚ iiii ゚] うん……あのさ……

( ´_ゝ`) なんだ?

( [ ゚ iiii ゚] ゲロまみれの顔でいいなら、最後にもう一回、見ておく?

( ´_ゝ`) ……

彼はゆっくりと私の顔に手を伸ばした。
呼吸を止めて視線を送ると、静かにマスクが取り外された。

(*゚∀゚)

( ´_ゝ`) ……良い?

(* ∀ ) コクリ







( [ ゚ iiii ゚] いつか絶対、会いに行くから

( ´_ゝ`) ああ、楽しみにしてるよ

('A`) ……

50名無しさん:2017/08/26(土) 22:58:04 ID:9prP.Kj60
             .




                    .

51名無しさん:2017/08/26(土) 22:58:55 ID:9prP.Kj60
午前6時のアラームに起こされて一日が始まる。
眠たい目を擦りながら階段を降りると、コンソメスープの香りと、食パンの焼ける匂いが漂ってきた。

J( 'ー`)し おはよう。調子はどう?

(*う∀゚) 眠い……退院後最初の登校が空気清浄機当番って、気遣いは無いのか……

J( 'ー`)し あなたがやるって言ったんじゃない。ビコーズ先生は休んでも良いって言ってたんでしょ?

(;*゚∀゚) そうだけどおー

J( 'ー`)し 内申点稼いで良い大学に行って、工場に勤めるんだって言い出したのは誰?

(;*゚∀゚) もー!

J( 'ー`)し あんなに工場を嫌ってたのに、どういう風の吹き回しかしら

(*゚∀゚) ……工場は今でも嫌いだよ。でも、やりたいことがあるんだ

退院の翌日、私は家族に隠れてこっそり工場を訪ねた。
工場の敷地はフェンスで囲われていたけれど、その近くで働いていた作業員に、彼の所在を聞いてみた。

        ( ´ー`) 知らないねえ、この工場には細目の奴なんていくらでもいる

        (*゚∀゚) その顔見りゃ分かる

        ( ´ー`) 言うねえ……まあ、ここで人探ししたいなら、ここに勤めて、偉くなるのが一番速いよ

        ( ´ー`) 部署は多いし、戸籍が無い奴だって沢山働いてるからね

だから決めたんだ。お目出度い考えかもしれないけど、それが近道だって言うんなら。

52名無しさん:2017/08/26(土) 23:00:24 ID:9prP.Kj60
J( 'ー`)し そう、頑張りなさいな。かーちゃんも応援して、優しいかーちゃんになってあげるよ

J( 'ー`)し 優しさの証のコンソメスープ! あなたの大好物の柘榴のパイ!

(*゚∀゚) 柘榴のパイ!? 朝から食べていいの!?

J( 'ー`)し 昨日、工場の偉い人が来てね。迷惑をかけたお詫びにって特級の柘榴を置いていったの

J( 'ー`)し 見舞いの電話が来る度に、柘榴大好きアピールをした甲斐が有った!

(*゚∀゚) えらい!

J( 'ー`)し 食パンは買い忘れて1枚しか無いから、パイでお腹を満たしなさい!

(*゚∀゚) やっほー!

熱々のパイ生地にナイフを立てると、さくり、さくりという小気味良い感触が伝わってくる。
柘榴のパイは、俯いた心への特効薬。

そして、初めてのキスの味だ。

53名無しさん:2017/08/26(土) 23:01:08 ID:9prP.Kj60
           .

鯨骨生物群集 或いは 『瓶詰柘榴と東京ガスマスク・ラブ・ストーリー』

                                         了

54名無しさん:2017/08/26(土) 23:02:15 ID:9prP.Kj60
小森ヒッキーとそういった関係になったのは、私が大学に合格した日の夜のことだった。
私が大学の有る県外に引っ越すまでの一ヶ月半ほどの期間、その関係は続いた。
泣いていたような気がする。小森も、私も。

小森は寝物語に鯨がどうとか、海がどうとか、相変わらずそんな話を繰り返した。
私はそれを聞いてあれこれ空想しては、下らない作り話を披露して、毎度小森を呆れさせていた。
思えば、話を作るとか、文章を書くとかいう趣味は、これが発端だったのだろう。

恋人ではなかった。ただお互いに、相手を手放したくないと思っていた。
その欲望を伝える方法を、他に知らなかっただけなのだ。

私達はそれが新幹線の距離の引っ越しで途切れてしまうような弱い繋がりであることを理解していたし、
一方で、その繋がりを絶たれることが、何よりも耐え難い苦痛だと思っていた。

比翼の鳥でも、連理の枝でもない。
かまってちゃんが二人が悲劇の主人公をやっていただけ。
誰かにそう言われても、反論は出来ないかもしれない。

別れの日に贈った水槽は、今も小森の部屋に有るのだろうか。

55名無しさん:2017/08/26(土) 23:03:44 ID:9prP.Kj60
内藤の葬式から一週間。
私は実に六年ぶりに、小森家のドアを叩いた。

爪'ー`) いらっしゃい、待ってたよ

そう言って私を迎え入れたのは小森の兄。名前は昔一度だけ聞いたような気がするが、思い出せない。
「どうも、お兄さん」と無難に挨拶したつもりが、「フォックスだよ」と返された。
見抜かれていたか、と思わず表情をこわばらせると、彼は苦笑しながら言葉を続けた。

爪'ー`) いや、ヒッキーもそうやって誤魔化すところがあったから

爪'ー`) 似てるなあって思ってさ

从 ゚∀从 はあ……

爪'ー`) 案内するよ。仏間に入るのは初めてでしょ?

从 ゚∀从 あ、その前にこれを……

鞄から熨斗袋を取り出すと、彼はそれを一瞥して、両手で大きなバツを作った。

爪'ー`) そういう堅苦しいのはいいよ。別にジャージで来ても構わなかったんだから

从;゚∀从 流石にそれは問題が有るのでは?

爪'ー`) まあまあ、とにかく。上がってよ

爪'ー`) ……それと、鞄の中の焼き菓子はお供え物? そっちは好物だから貰っていいかな?

从;゚∀从 は、はあ……

56名無しさん:2017/08/26(土) 23:04:37 ID:9prP.Kj60
異常な程にフランクな案内で、畳張りの仏間に通される。
壁にはヒッキーの祖父母や曾祖父母の遺影が飾られていて……
その中にはやはり、私の記憶の中よりも少しだけ成長したヒッキーの姿もあった。

从 ゚∀从 ヒゲ生えてら

爪'ー`) 高校の頃はつるっつるだったもんね

爪'ー`) ……ほら、蝋燭にも火を着けたから、線香あげてやって

从 ゚∀从 ありがとうございます。では、失礼して……

線香を一本手にとって、蝋燭の火に当ててやる。
香炉の灰は丁寧に均されているが、蝋燭は既に半分ほどの長さになっていた。

从 -∀从 

从 ゚∀从 ……ありがとうございました。わざわざ準備してくださってたみたいで

爪'ー`) 一応毎日あげてるからね。習慣だよ、習慣

爪'ー`) ちょっと待ってて。今お茶出すからさ。焼き菓子ならコーヒーのほうが良いかな?

从 ゚∀从 えっと、それじゃあお言葉に甘えて

57名無しさん:2017/08/26(土) 23:05:56 ID:9prP.Kj60
数分後、コーヒーカップをトレイに乗せたフォックスさんが戻ってきた。
それから、私の持ち込んだ焼き菓子の箱を開封して、小分けされたパックを幾つか卓上に並べた。

爪'ー`) ヒッキーはマドレーヌが好きだったね

从 ゚∀从 そうなんですか?

爪'ー`) マドレーヌがと言うより、貝の形がね

从 ゚∀从 ああ、成程そういう

爪'ー`) 海好きだったからね

从 ゚∀从 ええ、特に鯨が

爪'ー`) 言ってたねえ、そんなこと。鯨骨生物群集だっけ?

从 ゚∀从 そうですね、鯨みたいな人間に憧れるって……

爪'ー`) お、それは初耳だ。聞かせて貰っていいかな?

思いの外、話が弾む。
小森ヒッキーという一人の人間の存在が、私とフォックスさんの感情を繋いでいる。
きっと今の私は、内藤の葬式に参列していた他の者達と、似たような目をしているのだろう。
私は目の前の人間を通して、小森ヒッキーを見ているのだ。

从 ゚∀从 そういえば、あの水槽ってまだ有りますか?

何気なく口にした一言に、フォックスさんの動きが止まった。

爪'ー`) ……あれは、割れちゃってね

从 ゚∀从 割れた……

爪'ー`) ちょっと、来てもらって良いかな? ヒッキーの部屋だよ。

58名無しさん:2017/08/26(土) 23:07:36 ID:9prP.Kj60
小森の部屋の中は、一見、六年前と何も変わらない様子だった。

五畳半ほどの細長い室内にベッドが一つ。
そこから手を伸ばせる位置に本棚が二つあって、それでおしまい。

ただ一点違ったのは、部屋の中央に置かれた教卓ほどのサイズの机だった。

爪'ー`) ヒッキーはこの机に水槽を乗っけて、海水を入れて眺めてたんだ

爪'ー`) やっぱりこれが海だったって、満足そうに笑ってたよ

从;゚∀从 本当にやったんだ……

爪'ー`) 正直、僕にもよく分からなかったけどね。喜んでるならそれでいいやって思った

爪'ー`) ヒッキーはよく、自分が死んだらこの水槽を頼むって言ってたっけ

爪'ー`) でもね……

フォックスさんは急に屈み込んで、机の脚元の床を指差した。
木製の床板の一部が、三角形に凹んでいる。

爪'ー`) 去年の……そうだね、春先のことだったと思う。内蔵の方に新しい病気が見つかってね

爪'ー`) 一気に体力落としちゃったんだけど、それでもヒッキーは水槽の手入れを自力でやってたんだ

爪'ー`) 勿論僕が代わるって言ったんだけど、これだけは自分がやらないとって聞かなくてね

爪'ー`) それである日とうとう、水を替えているタイミングで腕から滑り落ちて……

59名無しさん:2017/08/26(土) 23:08:28 ID:9prP.Kj60
「海が消える」

その時、小森はそう叫んだらしい。
ガラスの破片を掻き集めて、手を傷だらけにしながら、水槽を修復しようとした。
でも、どれだけ探しても、最後の一欠片が見つからなかった。

小森の容態はそれから急激に悪化して、間もなく……

爪'ー`) ヒッキーはこの机の下で、うつ伏せになって死んでいた

爪'ー`) 頭はあっち、足は大きく開いてこの辺だったかな?

爪'ー`) あの日も水槽の破片を探していて、その途中で発作が起きたんだろうって医者は言ってたよ

从 ゚∀从 私の……

爪'ー`) 君のせいじゃない

爪'ー`) 僕はむしろ、ヒッキーがこれだけ長生きしてくれたのは、君の水槽のお陰だったと思ってるよ

爪'ー`) だって、あんなに喜ぶ姿も、あんなに悲しむ姿も、初めて見たからね

从 ゚∀从 ……しばらく、ここに居ていいですか?

爪'ー`) ……どうぞ

60名無しさん:2017/08/26(土) 23:11:46 ID:9prP.Kj60
私達の関係は、私が彼のもとを離れたあの日で終わったのではなかったのか。
相手の死すら知ることが出来ないような状態でも、私達は互いに影響しあっていたのか。

答えはきっと、どちらも是である。

从 ゚∀从 鯨骨生物群集、だよな

鯨の死、人間の死と同様に、私と小森の関係も、その後に何かを残したのだろう。

小森は海を眺め、私は物語を空想する。
物語が浮かばないことへの焦り。それは、小森との日々が否定されることへの焦りだった。
小森が水槽の破片を探し続けていたように、私もまた、空想への足掛かりを探し続ける。
短い時間の、浅い縁。私達はその死骸に集る生物群集だ。

从 ゚∀从 なあ小森、お前は強情な奴だったから、ご馳走を残して死んだりはしないだろう?

小森が死んでいたという机の下に、うつ伏せになって倒れ込む。
フォックスさんの話だと、頭はあっち、足はこっち。
顔はどちらを向いていたのだろう。顎を床に付けて真正面か、それとも右か、左か。

一人にしてもらって良かった。こんな姿、遺族に見せるもんじゃ――――

从 ゚∀从 ほーら、やっぱり見つかった

61名無しさん:2017/08/26(土) 23:12:43 ID:9prP.Kj60
                 .

ベッドの横に並んだ本棚の下。


底板と床との僅かな隙間の中で、海の欠片がちらりときらめいた。

     .

62名無しさん:2017/08/26(土) 23:13:19 ID:9prP.Kj60
鯨骨生物群集 或いは 『小森ヒッキーの訃報に寄せて』

                                 了

63名無しさん:2017/08/26(土) 23:14:41 ID:9prP.Kj60
おわり

64 ◆TflJu3mvXc:2017/08/27(日) 01:38:18 ID:6pUd7ojA0
【業務連絡】

主催より業務連絡です。
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65名無しさん:2017/08/27(日) 10:10:16 ID:qmh23bOU0
乙 ガスマスクの話が切なくて好き

66名無しさん:2017/08/27(日) 16:18:02 ID:VGaEpZiA0
不思議な話だった

67名無しさん:2017/08/29(火) 18:55:55 ID:PEzZcdLI0


68名無しさん:2017/08/30(水) 10:13:30 ID:dDc55eb60

ハインの語る話は全部、誰かがいなくなるものなんだな
なんだか切ない

69名無しさん:2017/09/01(金) 00:11:19 ID:2CvC3m4A0
うまく言葉にできなくて申し訳ないんだけど、すごく、すごく良かった……

70名無しさん:2017/09/03(日) 20:03:47 ID:Jg2EnTHU0
これ一番だ

71名無しさん:2017/09/04(月) 15:42:24 ID:lNqRXKF20
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2430.jpg
投票はまとめてするのでまずはこっちに。
切ないけれど綺麗な余韻の残る素敵な話でした!

72名無しさん:2017/09/05(火) 12:42:33 ID:AKRp9iuk0
流れも終わりかたもとてもよい



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