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( ・∀・)神様と(#゚;;-゚)生贄のようです
1
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 20:53:23 ID:kYas4tNw0
(;‘_L’)『荒巻殿、どうしましょう……』
/ ,' 3『なんだ、騒々しい』
(;‘_L’)『ここ最近、日照りが続いています。このままでは、作物が全滅してしまいます。
ただでさえ今年の夏は暑いのに、甚大な被害を受けてしまいます』
(;-_L-)『ああ、どうしてこんなことに……』
/ ,' 3『……神様が、モララー様がお怒りなのだ』
(;‘_L’)『な、なんてことだ! 一刻も早くモララー様の怒りを鎮めなくては……。
一体どうすれば……』
/ ,' 3『簡単なことだ』
『モララー様は生贄を欲している。生贄を捧げれば、モララー様は機嫌を直してくださることだろう』
.
49
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:33:37 ID:kYas4tNw0
( ・∀・)「タオルも用意できたし、これで準備は完璧かな」
(*´∀`)「誰からやるモナ?」
(*゚ー゚)「そうね……順番に皆やりたいわよね。初っ端から割れちゃうような事態は避けたいわ」
( ・∀・)「じゃあギコかな」
(,,゚Д゚)「おいおい舐めやがって。見てろ、この俺が華麗に決めてやるから」
( ´∀`)「華麗に決められないフラグ建てたモナね」
(,,゚Д゚)「そんなもの折ってやるわ」
( ・∀・)+「折れるのは心だろ」
(,,゚Д゚)「上手いこと言ったみたいな顔すんじゃねえ」
(*゚ー゚)「あと骨も折れる」
(;,゚Д゚)「なんで? もはや折られるの? しぃに? しぃに?」
50
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:34:20 ID:kYas4tNw0
(,,-Д-)「おーし、目隠しできたしいくぞー」
(( (,,-Д-)「こっちか?」
「ギコ! 右だ右だ!」
「ギコさん、そっちじゃないです! もっと右です!」
「モナモナモナwwwwwww」
(,,-Д-)(こいつら……さては、俺を騙そうとしているな?)
(( (,,-Д-)(その手には乗らないぞ。つまり、スイカの位置はこの方向で合っている……)
(( (,,-Д-)っ[](よし、棒を構えて……)
(( (,,-Д-)っ[] (゚ー゚*)
51
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:35:06 ID:kYas4tNw0
(;・∀・)「おい、ギコ! 本当にそっちじゃねぇ!! 危ない!!(ギコが)」
(;#゚;;-゚)「逃げてください! 危ないです!!(ギコが)」
( ´∀`)「危ないモナよwwwww(ギコが)」
(,,-Д-)「おし、ここだな!?」ブンッ
[]⊂彡
"(゚ー゚*) ベシッ
(*,,-Д-)「お? 手応えがあったぞ! 割れろ割れろ!」ブンッブンッ
[]⊂彡
"(゚ー゚*) ベシッベシッ
( ・∀・)(あ、ギコ死んだな)
52
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:35:45 ID:kYas4tNw0
(*^ー^)「さ、四人でスイカ割り大会をやっていきましょうか!」
( ´∀`)「はーい」
(;#゚;;-゚)(ギコさんがさらりと亡き者に……)
(;・∀・)(ギコがスイカ割りされてしまった……。骨折れるなんてレベルじゃない……)
(*゚ー゚)「どうする? 誰がやる?」
( ´∀`)「とりあえず一番最後はでぃちゃんでどうモナ?」
( ・∀・)「大トリか。でぃ、どう?」
(*#゚;;-゚)「わかった。最後に決める……!」
( ´∀`)「じゃあ、二番手はモナがいくモナ」
(*゚ー゚)「あらやだモナーさんったら。モナーさんは二番手じゃなくて一番手よ?」
( ・∀・)(ギコは完全にいなかった者扱いかぁ……)
(,,゚Д゚)「まったく、しぃは横暴だよなぁ」
( ・∀・)「復活早くない?」
(,,゚Д゚)「タフじゃなきゃしぃの彼氏は務まんねえぞ」
( ・∀・)(そういや付き合ってるんだったこいつら)
53
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:36:21 ID:kYas4tNw0
( ´∀`)「フッフッフッ、モナが大人気なく決めてやるモナ」
( ・∀・)「わぁ嫌なセリフ」
( ´∀`)「なんなら指示いらないモナ。己の勘だけでスイカの位置を当ててみせるモナ」
(,,゚Д゚)「すげえ自分を追いこむなお前」
( ´∀`)「自分で言っちゃうけど、モナってすごい神様だからぁー」
(*゚ー゚)「さっさとやりなさいよ」
( ´∀`)「はい」
54
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:37:00 ID:kYas4tNw0
( ´∀`)っ[]「目隠しオッケー、いくモナよー」
( ・∀・)「はーい」
((( ´∀`)っ[](今聞こえたモララーの声をヒントに方向、距離を計算して……)
( ´∀`)「ここモナ!!」スカッ
[]⊂彡
( ´∀`)
( ´∀`)スカッ
[]⊂彡
( ´∀`)
( ・∀・)「フッフッフッ、モナが大人気なく決めてやるモナ(笑)」
(*゚ー゚)「なんなら指示いらないモナ(笑)」
(,,゚Д゚)「己の勘だけでスイカの位置を当ててみせるモナ(笑)」
( ´∀`)「やめて」
(#゚;;-゚)「自分で言っちゃうけど、モナってすごい神様だからぁー」
( ´∀`)「お願い、せめて笑って。真顔で復唱しないで」
55
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:37:47 ID:kYas4tNw0
(*゚ー゚)「じゃあ次はモララーかしら」
( ・∀・)「僕?」
( ´∀`)「モララーが華麗に!!!なんの指示も無しに!!!!百点満点のスイカ割りを見せてくれるモナよ!!!!!」
(;・∀・)「腹いせにハードル上げるのやめろ!!!」
(,,゚Д゚)「そうだな、モララーならできる!」
(;・∀・)「便乗やめろ!!!」
(*゚ー゚)「楽しみだわ。ねぇ、でぃちゃん?」
(*#゚;;-゚)「はい……!」
(;・∀・)「や、やめろ卑怯な……!」
(*#゚;;-゚) キラキラ
(;・∀・)「やめろ……期待に満ちた眼差しで見るな……!」
56
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:38:32 ID:kYas4tNw0
「モララー、早くするモナ」
「とっとと爆死しろー」
「まあまあ、決めればいいだけの話よ、モララー」
(;-∀-)「うるさいなー……」
「モララー、頑張って!」
(((;-∀-)(ああー、でぃの純粋な期待が一番つらい……見えないけど目がキラキラしてるのが分かる……)
((( -∀-)(……そうだ、しぃの言う通り決めればいいだけの話だ)
((( -∀-)っ[](目隠しする前にスイカまでの距離を見ておいた。おそらく、15歩くらいで辿り着くはず)
( -∀-)「よし、ここだ!」ベシッ
[]⊂彡
(*-∀-)(よっしゃ、手応えがあったぞ!)
(;-∀-)(……いや待て、これは……)
(;・∀・)「じ……地面……!」
(*゚ー゚)「……」
( ´∀`)「……」
(,,゚Д゚)「……」
(#゚;;-゚)「……」
(;・∀・)「ねぇやめてその『普通につまんねぇ』みたいな顔」
(*゚ー゚)「いや、そんなことないわよ? 良かったと思うわ、うん」
(,,゚Д゚)「モララーは頑張ったと思うぞ、うん」
( ´∀`)「ごめんね無理言って」
(#゚;;-゚)「頑張ることに意味があるっていうか……」
(;・∀・)「微妙なフォローやめてよ! いっそ馬鹿にして!!」
(;#゚;;-゚)「……馬鹿に……えーと、ば、ばーかばーか……?」
( ・∀・)「それは可愛いだけ」
57
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:39:09 ID:kYas4tNw0
(,,゚Д゚)「じゃあ次はしぃか」
(*゚ー゚)「任せといて」
( ・∀・)「でもさー、しぃがスイカに当てちゃったら、スイカは木っ端微塵に消し飛ぶよね」
(*゚ー゚)「手加減するから大丈夫よ」
(;・∀・)(手加減しなかったら消し飛ぶの?)
( ´∀`)「外れて地面に当たったとしても、地割れが起こるモナ」
(*゚ー゚)「手加減するから大丈夫だってば」
(;・∀・)(手加減しなかったら地割れが起こるんだ……)
58
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:39:54 ID:kYas4tNw0
(;,゚Д゚)(おい、しぃにやらせるのは危ないんじゃねぇか?)ヒソヒソ
(;・∀・)(僕もそう思う。せめて棒を持たせないとか……)ヒソヒソ
( ´∀`)(いや、しぃは素手で充分って言ってたから棒があろうとなかろうと関係ないモナ)ヒソヒソ
(;#゚;;-゚)(……あの、しぃさんは左手の小指だけでやるとかどうですか?)ヒソヒソ
(;・∀・)σ(それだ!)ヒソヒソ
(*゚ー゚)「ちょっと、何コソコソ話してんのよ」
(;,゚Д゚)「あー……しぃ? あのな、ほら、しぃは強いじゃん?」
(*゚ー゚)「何よ急に」
(;,゚Д゚)「強いからさ、ハンデみたいなのつけた方がいいんじゃないかなーと……」
(*゚ー゚)「えー……」
(;・∀・)「ほら、でぃまで順番を回すためだと思って!」
(*゚ー゚)「はぁ……で、ハンデってどんなの?」
(,,゚Д゚)「左手の小指で割る」
(*゚ー゚)「馬鹿にしてんだろ」
59
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:41:30 ID:kYas4tNw0
( ・∀・)「いやいや、このくらいでようやくバランスが取れるっていうか」
(*゚ー゚)「さすがの私も左手じゃ無理よ。せめて右手の小指なら……」
(;・∀・)(右手の小指なら割れるの!?)
(*゚ー゚)「まあいいわ。左手の小指ね?」
(#゚;;-゚)「はい」
(*-ー-)d「目隠しして……っと、じゃあ行くわよ」
( ∩・∀・)∩「しぃー、右右!」
(∩#゚;;-゚)∩「違います、左です!」
( ∩´∀`)∩「そのまままっすぐモナー」
(∩,,゚Д゚)∩「逆走してるぞー!」
(*#゚;;-゚)「なんかすごくスイカ割りっぽい……!」
( ´∀`)「分かるモナ」
( ・∀・)「忘れないで、しぃは左手小指での挑戦だってことを」
60
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:42:16 ID:kYas4tNw0
(;,゚Д゚)「……おい」
( ・∀・)「ん?」
(;,゚Д゚)σ「……俺たちの野次なんか意に介さず余裕でスイカまでたどり着きやがったぞ」
(*-ー-)d ◯
(;・∀・)「マジで!?」
(;,゚Д゚)「さ、さすがにしぃでも左手小指じゃスイカなんて割れねえよな?」
(*-ー-) バキィッ
b彡
(;・∀・)そ「嘘だろ!!!?」
(*゚ー゚)「さすがに真っ二つにはならないわね……。でも、半分くらいは亀裂が入ったわよ」
(;・∀・)「……」
(;#゚;;-゚)「……」
(;´∀`)「……」
(;,゚Д゚)「……俺、今後絶対しぃに逆らわねえわ」
(;・∀・)「……それがいい」
61
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:43:18 ID:kYas4tNw0
(*゚ー゚)「じゃあ最後、でぃちゃん」
(;#゚;;-゚)「は、はい……」
( ・∀・)「目隠しするよー」
(#´;;-`)「うん」
( ・∀・)「はい、棒握ってー」
(#´;;-`)っ[] ギュッ
(,,゚Д゚)「目隠しして棒握るってエロくね?」
(*゚ー゚)「……」
(,,゚Д゚)「軽蔑の視線が痛い」
( ´∀`)「今のは普通にギコが悪いモナ」
(#´;;-`)「……?」
( ・∀・)「ギコの言うことは基本的に気にしなくていいからねー」
(*゚ー゚)「ギコくん喋らないで」
(,,゚Д゚)「はい……」
62
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:43:58 ID:kYas4tNw0
( ・∀・)「よし、準備オッケー。でぃ、いいよー」
(( (;#´;;-`)っ[]「う、うん」
「でぃちゃん、右よ!」
「でぃ、そのまま真っ直ぐだ!」
「ギコの言うことは基本気にしなくていいモナ」
(;#´;;-`)っ[](ど、どうしよう。誰を信じたら……)
「でぃ! 左だ!」
(#´;;-`)っ[]「! モララー……!」
63
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:44:40 ID:kYas4tNw0
(∩,,゚Д゚)∩「でぃ! 真っ直ぐ真っ直ぐ……お?」
( ´∀`)「でぃちゃん、左に進み始めたモナね。迷わずモララーの指示を信じたモナ」
(*゚ー゚)「モララー嘘言ってるのに」
(;∩・∀・)∩「でぃー! ごめん、本当は右!!」
(( (;#´;;-`)っ[]「み、右?」
(( (#´;;-`)っ[]"◯ コツン
( ∩・∀・)∩「お、いいぞー! そこだー!」
(∩*゚ー゚)∩「日頃の恨みを棒に込めて殴るのよー!」
(;・∀・)「おい、変なこと教えんな!」
(;#´;;-`)っ[]「う、恨み?」
(;・∀・)「もー、しぃ! でぃが真に受けちゃうじゃん!」
(*゚ー゚)「大丈夫よ。癒し系でぃちゃんが恨みなんて……」
(#´;;-`) バッキィィィッ
[]⊂彡
( ・∀・)
(*゚ー゚)
( ´∀`)
(,,゚Д゚)
( ・∀・) ゴッシャァァァ >
(;・∀・) ベキィィィィッ >
(;,゚Д゚)「……お、おい、ヤバくないか」
(;´∀`)「でぃ、やめるモナ! スイカが粉々になっちゃうモナ!」
(;*゚-゚)「……闇を垣間見たわね」
(;・∀・)(奴隷時代とか生贄として殺されたことの恨みかな……)
64
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:45:21 ID:kYas4tNw0
(*#゚;;-゚)ゞ「お恥ずかしいところを……」
(;,゚Д゚)「い、いや、気にすんな」
(;・∀・)「ちょっとビックリしたけどね……」
(*´∀`)「もういいから、スイカ食べるモナ!」
(*゚ー゚)「私この種が少ないやつね」
(*#゚;;-゚)「わたしこの大きいの……!」
( ・∀・)「ギコのスイカは種が多くて小さいやつね」
(;,゚Д゚)「おい勝手に決めんな!」
(*´∀`)「いただきまーす!」
(*・∀・)(*#゚;;-゚)「「「「いただきまーす!!」」」」(゚ー゚*)(゚Д゚,,*)
(*・∀・)(*#゚;;-゚) ムシャァ (゚ー゚*)(´∀`*)(゚Д゚,,*)
( ・∀・)「ぬるい」
(#゚;;-゚)「ぬるいね」
(*゚ー゚)「ぬるいわ」
( ´∀`)「ぬるいモナ」
(,,゚Д゚)「木陰でやってたとはいえ、真夏だもんな、今」
65
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:45:59 ID:kYas4tNw0
( ´3`)「タネマシンガンモナ!」ププププ
(;・∀・)「うわっ、僕に種を飛ばすな汚い! あと顔がムカつく!」
( ´∀`)「誰が一番遠くに飛ばせるか勝負モナ」
(#゚;;-゚)「しぃさんの圧勝では……」
(,,゚Д゚)「銃弾くらいの速度出るぞ」
(*゚ー゚)「多分出せるわ。これからは口の中にスイカの種を仕込んでおいて飛び道具にしようかしら」
(,,゚Д゚)「遠距離にまで対応して最強を極めなくていいぞ……」
(#゚;;-゚)「口の中でスイカが育っちゃいそう……」
( ・∀・)「発想が可愛いな」
( ´∀`)「口の中でスイカを育てるしぃとかシュールすぎるモナ」
(,,゚Д゚)「いずれスイカが育ちすぎて顎が外れそう」
( ・∀・)「そうなる前になんとかするだろ」
(*゚ー゚)「そもそも口内でスイカは育たないわよ」
66
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:46:39 ID:kYas4tNw0
(*#゚;;-゚)「……」
( ・∀・)「どしたの、でぃ。ボーッとしちゃって」
(*#゚;;-゚)「……楽しいなって。スイカ割りも、こうして皆でスイカを食べるのも、すっごく楽しい」
(*・∀・)「だね。僕も楽しい」
(*#゚;;-゚)「またやりたい……」
(*・∀・)「またやろうよ。ね、皆」
(*´∀`)「もちろんモナ!」
(,,*゚Д゚)「今度こそ俺が割ってみせるぞ!」
(*゚ー゚)「次はメロンを割りましょう」
( ・∀・)「メロンは普通に切ろうよ」
67
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:47:42 ID:kYas4tNw0
*
( -ω-)人
ξ-⊿-)ξ人
/ ,' 3「……」
この夫婦は今日も相変わらず祈っている。毎日毎日、よくも飽きないものだと思う。
/ ,' 3「……」
ふと、でぃが生きていた頃を思い出した。
68
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:48:35 ID:kYas4tNw0
その日は朝早くから神社へと出かけていた。
荷物が多かったので、そのほとんどをでぃに持たせる。でぃは何も反抗せず黙って荷物を抱えた。
石段を登りきると、拝殿の前に二人の男女が見える。
近づくと、気配を察したようで同時に振り向いた。妙に息の合う夫婦だ。
ξ゚⊿゚)ξ「荒巻村長、おはようございます」
( ^ω^)「おはようございますお」
/ ,' 3「ああ、おはよう」
(#゚;;-゚)「……」
ξ゚⊿゚)ξ「あら、でぃちゃん。荒巻村長のお手伝い?」
( ^ω^)「偉いおね」
村民間でのでぃの認識は「両親が亡くなり孤児になったところを、村長に引き取られた子ども」でしかない。
まさか奴隷として扱われているだなんて、思いもしないだろう。
69
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:49:20 ID:kYas4tNw0
(#゚;;-゚)「……」
( ^ω^)「おっおっおっ、でぃちゃんは大人しいおね」
/ ,' 3「……行くぞ、でぃ」
(#゚;;-゚)「……あの、ここで何をしているんですか?」
ξ゚⊿゚)ξ「え、私たち?」
/ ,' 3「おい、でぃ」
( ^ω^)「お祈りをしているんだお。この神社にはモララー様っていう神様がいるんだお」
ξ゚⊿゚)ξ人「こうやって手のひらを合わせて、お願いをするの」
(#゚;;-゚)人「……こうですか?」
/ ,' 3「でぃ」
( ^ω^)人「上手上手。一緒にお祈りしようお。モララー様ーって」
ξ゚⊿゚)ξ人「村長もどうですか?」
/ ,' 3「……儂はいい」
ξ゚⊿゚)ξ人「あら、残念。じゃあ、村長の分も祈りましょう、でぃちゃん」
(#゚;;-゚)人「……」
(#゚;;-゚)人「……モララー……様……」
/ ,' 3(……馬鹿馬鹿しい)
70
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:50:22 ID:kYas4tNw0
愚かな姿だ。
いもしない神に祈りを捧げて、救いを乞う。
何故、村人たちはなんの疑いも持たずに信仰しているのだろうか。
証明が必要だ。神がいないのだという証明。
そうだ、手始めにでぃを生贄にしてやろう。
信じる者は救われるのなら、優しい優しいモララー様なら、このかわいそうな幼い信者を助けてくれるはずだ。
しかし、この生贄が救われることはない。モララー様などいないのだから。
(#゚;;-゚)人「モララー様……」
/ ,' 3「……」
今のうちに存分に祈るがいい。どうせ、その祈りを聞く者などいないと思い知ることになるのだ。
其の弐 了
71
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/25(金) 21:51:23 ID:kYas4tNw0
退路を断つために投下しました
死ぬ気で続き書きます
72
:
名無しさん
:2017/08/25(金) 21:53:25 ID:eHzBWV4s0
完結を期待乙乙
73
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:32:05 ID:6kA0Vn8k0
(,,゚Д゚)「しぃとさ、そういう雰囲気になるじゃん? で、押し倒そうとするじゃん?」
(,,゚Д゚)「だけどしぃは十二単着てるし筋肉あるし体幹しっかりしてるしで押し倒せないじゃん?」
(,,゚Д゚)「で、察したしぃが自分から寝転がってくれるじゃん?」
(,,゚Д゚)「この時点で男としてのプライド的に悲しいものがあるけど、まあとりあえずそれは置いておくじゃん」
(,,゚Д゚)「しぃを脱がすんだけどさ。十二単じゃん。脱がせても脱がせても着物じゃん」
(,,゚Д゚)「思わず『玉ねぎかよ!』ってツッコむじゃん。殴られるじゃん。萎えるじゃん?」
(,,゚Д゚)「モララー、俺どうしたらいいと思う?」
( ・∀・)「でぃの前でその話するのやめてくれない?」
つ#゚;;-゚)と
74
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 13:32:49 ID:6kA0Vn8k0
( ・∀・)神様と(#゚;;-゚)生贄のようです
其の参
.
75
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:34:32 ID:6kA0Vn8k0
( ・∀・)神様と(#゚;;-゚)生贄のようです
其の参
.
76
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:35:32 ID:6kA0Vn8k0
(#゚;;-゚)「……なんのお話だったの?」
( ・∀・)「ギコがクッッッソ情けないって話だよ」
(#゚;;-゚)「じゃあどうでもいいや」
(,,゚Д゚)「でぃが俺の扱いを着々と心得ている」
壁|´∀`)"「なになに、恋バナしてるモナ?」ニュッ
(,,゚Д゚)「女子高生の嗅覚かよ」
( ´∀`)「少女漫画とか大好きモナよ」
(;・∀・)「お前はまーた人間の文化を……」
( ´∀`)「モララーは考えがお堅いモナ。人間無しでモナたちは存在できないモナよ」
(;・∀・)「それはそうだけどさぁ……」
(,,゚Д゚)「その談義はよそでやってくれよ」
(,,゚Д゚)「……そう言ったからって本当によそに行ってやることなくない?」ポツン
(,,゚Д゚)「でぃまで着いて行ったし……」
77
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:36:24 ID:6kA0Vn8k0
壁|*゚ー゚)"「モララー……あら、ギコくんしかいない」ニュッ
(,,゚Д゚)「おう、しぃ。モララーなら外でモナーと口論してるぞ」
(*゚ー゚)「じゃあここで待つわ」
(,,゚Д゚)「しぃは何の用で来たんだ?」
(*゚ー゚)「今日、ここの神社の敷地内でお祭りがあるじゃない」
(,,゚Д゚)「そういえば、屋台の準備してるの見かけたわ」
(*゚ー゚)「皆で行きたいと思って誘いに来たのよ」
(,,゚Д゚)「お、それいいな」
壁|;#゚;;-゚);´∀`);・∀・):「ただいまー……」ググググ
(,,゚Д゚)「同じところから一斉に入ろうとするなよ」
78
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:37:28 ID:6kA0Vn8k0
(,,゚Д゚)「で、議論はどっちが勝ったんだ?」
( ・∀・)「意見はそれぞれ違うよね☆って結論で終わった」
(,,゚Д゚)「平和的に終わってた」
( ・∀・)「……あれ、しぃがいる。どうしたの?」
(*゚ー゚)「皆で今日のお祭り行きましょうよ」
(;・∀・)「えー……」
(*´∀`)「お祭り!!!」
(*#゚;;-゚)「お祭り……!」
(,,゚Д゚)「モララー、四対一だぞ」
(;・∀・)「でも、祭りって人間に干渉せざるを得ないじゃん……」
(*゚ー゚)「まあ、嫌なら無理には誘わないわ。アンタだけ留守番すればいい話だし」
(;・∀・)「えっ」
(*゚ー゚)「でぃちゃん、お祭りで何食べたい?」
(*#゚;;-゚)「色々食べたい……」
(,,*゚Д゚)「たくさんの屋台が出るからな、片っ端から食べるのもアリだぞ」
(*´∀`)「金魚すくいやヨーヨー釣りも忘れちゃダメモナ」
( ・∀・) ワイワイ >
:( ・∀・):
(*゚ー゚)「……さっさと素直になりなさいよ」
(;・∀・)「ぐっ……」
79
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:38:12 ID:6kA0Vn8k0
(;・∀・)「僕も行く……けど、人間干渉モードは使わない」
(*゚ー゚)「どうやって食べ物とか買うのよ」
(;・∀・)「僕の分も一緒に買っていただけませんかね……。お金は出すんで……」
(*゚ー゚)「えー」
(#゚;;-゚)「……神様の使うお金って人が使うお金と同じなの?」
( ・∀・)「同じだよ」
( ´∀`)「おかげで、神の間でも福沢諭吉は大人気モナ」
(,,゚Д゚)「ギザ十も大人気だ」
(#゚;;-゚)(やっぱり神様ってなんか俗っぽいなぁ……)
80
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:38:55 ID:6kA0Vn8k0
(*゚ー゚)「よーし、可愛い浴衣着るわ。でぃちゃんも浴衣着ましょう。普通の丈の」
(*#゚;;-゚)「はい!」
(,,゚Д゚)「そういえば、でぃはなんでそんなに短い丈の浴衣を着てるんだ?」
(*゚ー゚)「モララーの趣味」
(,,゚Д゚)「うわぁ……」
( ´∀`)「モナァ……」
(;・∀・)「待って待って誤解!!!」
81
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:39:39 ID:6kA0Vn8k0
(*゚ー゚)「せっかくなんだし、男どもも浴衣なり甚平なり着なさいよ」
(,,゚Д゚)「俺、甚平の上に軽装の甲冑着てるから甲冑脱ぐだけでいいな」
(*゚ー゚)「無い防御力が更に無くなるのね」
(,,゚Д゚)「酷え言いようだ」
( ´∀`)「モナは浴衣の上から革ジャン着るモナね」
( ・∀・)「お前の革ジャンへのその執着なんなの」
82
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:40:28 ID:6kA0Vn8k0
(;#゚;;-゚)「……」
( ・∀・)「ん? でぃ、どうかした?」
(;#゚;;-゚)「……そういえば、村の人たちにわたしの姿って見えるの?」
( ・∀・)「でぃは幽霊だから村人に姿が見えることはないと思うよ」
(;#゚;;-゚)「……本当?」
( ´∀`)「……」
( ・∀・)「いわゆる霊感がある人に見えることはあるかもしれないけど、そういう人は少ないからね」
(,,゚Д゚)「ま、そんなに心配するこたないってわけだ」
(*゚ー゚)「そうね」
( ´∀`)「……一応、顔は隠した方がいいと思うモナ。お面買ってくるモナ」
(*゚ー゚)「えー、せっかく可愛い浴衣着るのに顔を隠すことないじゃない」
( ´∀`)「ダメモナ」
(*゚ー゚)「……」
( ´∀`)「……万が一、でぃのことを知ってる村人に見えたら厄介モナ。お面買ってくるから待ってて」
(;・∀・)「……」
(;,゚Д゚)「……モナー、一体どうしたんだ?」
(*゚ー゚)「万が一って言うわりには、村人に姿が見える確信があるみたいな感じじゃなかった?」
(;・∀・)(なんだ……? モナーは何かを知っているのか?)
83
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:41:14 ID:6kA0Vn8k0
( ´∀`)「お待たせー。買ってきたモナよ」
(*゚ー゚)「どんなのにしたの?」
( ´∀`)っィ'ト―-イ、
以`゚益゚以
( ・∀・)「お面のチョイスおかしいだろお前」
( ´∀`)「え、超かっこよくない?」
(*゚ー゚)「モナーさんの趣味で選ばないでよ。もっとでぃちゃんが好きそうなのあったでしょう?」
(,,゚Д゚)「つーかそのお面デカくね?」
( ´∀`)(かっこいいのに……)
84
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:41:58 ID:6kA0Vn8k0
(*゚ー゚)っ( ∵)「新しく買ってきたわ。どう?」
( ´∀`)「地味じゃない?」
(*゚ー゚)「モナーさんのチョイスが派手すぎるのよ」
( ・∀・)「でぃ、どう?」
(*#゚( ∵)「これがいい……」
(,,゚Д゚)「AAが斬新だな」
( ´∀`)「……」
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以 スッ
∩ ∩
( ・∀・)「僕はツッコまないからね?」
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「モララー、ツメタイ。モナー、カナシイ」
( ・∀・)「なんで急に片言になったの……あ、ツッコんじゃった」
85
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:42:43 ID:6kA0Vn8k0
(*゚ー゚)「じゃあ、夜にまた集合でいいかしら」
( ・∀・)「おっけー」
(,,*゚Д゚)「楽しみだな」
(*´∀`)「諭吉たくさん連れていこーっと」
(,,゚Д゚)「え? モナーが奢ってくれるって?」
( ´∀`)「やっぱ諭吉はお留守番モナ」
(,,゚Д゚)「ケチだなー」
( ´∀`)「でぃになら奢ってあげるモナ。ギコは自分でお金出して」
(,,゚Д゚)「モナー、ツメタイ。ギコ、カナシイ」
( ´∀`)「真似しないで」
(*゚ー゚)「でぃちゃんの浴衣は私が用意してもいいかしら」
(*#゚;;-゚)「はい」
( ・∀・)「十二単を用意しないでよ?」
(*゚ー゚)「浴衣っつってんだろ」
86
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:43:33 ID:6kA0Vn8k0
夜
壁|´∀`)"「夜モナよー!! 起きてー!!」ニュッ
( ・∀・)「寝てねえよ」
(*゚ー゚)「モナーさん以外もう集まってるわよ」
(,,゚Д゚)「遅刻だぞモナー」
(#゚( ∵)「遅刻です」
( ´∀`)「うそーん……あっ、でぃとしぃの浴衣、色違いモナね」
(*゚ー゚)「えへへ、いいでしょ?」
(#゚( ∵)「しぃさんが十二単を着てないのが新鮮……」
(*゚ー゚)つ≡つ「体が軽すぎて違和感がすごいわ。今なら誰でも瞬殺できる気がする」シュッシュッ
(;,゚Д゚)「シャドーボクシングやめろ」
87
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:44:14 ID:6kA0Vn8k0
( ´∀`)「じゃあ、お祭り行くモナ!」
( ・∀・)「遅刻した奴が仕切るのか」
( ´∀`)「いいじゃん別に……仕切りたかったもん……」
(,,゚Д゚)「モララーは本当に人間干渉モードを使わないのか?」
( ・∀・)「使わないよ」
(,,゚Д゚)「じゃあ、人間に見える状態なのは、俺、しぃ、モナーか」
( ・∀・)「そうだね」
(,,゚Д゚)「つまりお前は浴衣のチャンネーをジロジロ見放題なのか」
( ・∀・)「チャンネーて」
(,,゚Д゚)「俺も人間干渉モード使うのやめようかな……」
( ・∀・)「ギコ、あんまり迂闊なこと言うと身軽になったしぃに殺されるぞ」
(*゚ー゚)「殺しはしないわよ。死んだ方がマシだと思えるような苦痛を与え続けるだけで」
(;,゚Д゚)「しぃ、冗談だって! 冗談冗談! ダンジョー!!」
( ・∀・)「ダンジョーて」
88
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:45:03 ID:6kA0Vn8k0
(*´∀`)「うっひょー! お祭りモナ!」
( ・∀・)『はしゃぎ過ぎ』
( ´∀`)「あれ、モララーのカギカッコが間違ってるモナ」
( ・∀・)『僕とでぃの声は人間に聞こえないからこういう表現にしようかと』
( ´∀`)「わぁメタい」
(*#゚( ∵)『すごい……屋台がいっぱい……!』
(*゚ー゚)「でぃちゃんはお祭りは初めて?」
(*#゚( ∵)『小さい頃に一度っきりです』
(*゚ー゚)「一度だけ?」
(#゚( ∵)『……お母さんとお父さんがまだ生きてた頃……』
(;*゚-゚)(あっヤバい地雷踏んだ)
(;・∀・)『で、でぃ! 何食べたい?』
(;´∀`)「モナが奢るモナよ!」
(;,゚Д゚)「皆でなんか食べよう! な!」
(*#゚( ∵)『じゃあ……チョコバナナ』
(;´∀`)「よし、じゃあモナが全員分買ってくるモナ!」
(,,゚Д゚)「お、ラッキー」
( ´∀`)「モララーとギコとしぃは後でお金払って」
(,,゚Д゚)「シビアな世界だ」
89
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:45:57 ID:6kA0Vn8k0
(*#゚( ∵)『チョコバナナ美味しい……』モグモグ
( ´∀`)「今からチョコバナナをエロく食べるから見てて」
( ・∀・)『マジでやめて』モグモグ
(,,゚Д゚)「無差別テロ」モグモグ
(*゚ー゚)「モナーさんは今、村人たちにも見える状態なんだから、私たち以外にも迷惑かかるわよ」モグモグ
( ´∀`)「じゃあ人間干渉モード解くから」
( ・∀・)『なぜそうまでして見せたがる?』モグモグ
(,,゚Д゚)「俺たちだけに見せようとすんな」モグモグ
(*゚ー゚)「食べ物で遊ばないで」モグモグ
( ´∀`)「ミンナ、ツメタイ。モナー、カナシイ」
(;#゚( ∵)『モナーさん、よく分からないけど、私が見ますから元気出してください』
( ´∀`)
( ´∀`)「モナが悪かったモナ」
( ・∀・)『分かればよろしい』モグモグ
90
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:46:35 ID:6kA0Vn8k0
(*゚ー゚)「次なに食べる?」
( ´∀`)「待って皆食べるの早いモナ。まだチョコバナナ食べてるから」モグモグ
( ・∀・)『お前がふざけてるから遅いんだろ』
(*#゚( ∵)『かき氷食べたい……』
(,,゚Д゚)「かき氷だって、モナー」
(*゚ー゚)「モナーさん買ってきてー」
( ´∀`)「年寄り使いが荒いモナ……。五人分とか持ち切れないし一緒に来て……」
91
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:47:38 ID:6kA0Vn8k0
( ^ω^)「いらっしゃいだおー。あ、モナーさんこんばんはだお!」
( ´∀`)「あ、内藤くんモナ。かき氷五つお願いモナ」
( ^ω^)「五つですおね? ちょっと待っててくださいおー」
(;・∀・)『お前なんでうちの村人と知り合いなんだよ』
( ´∀`)「モナの人脈舐めんなよ」
(,,゚Д゚)「モナーって神にも人間にも知り合い多いよな」
( ´∀`)「モナはすごい神様だもーん」
(*゚ー゚)「たまに人間に混じってバイトとかしてるしね」
(;#゚( ∵)『すごい神様なのにバイトするんですか!?』
( ´∀`)「ニンテンドースイッチとかPS4とかお賽銭だけじゃ足りないもん……」
(;#゚( ∵)『神様ってゲームするんだ……』
( ´∀`)「発売日の翌日に、十月の出雲大社かってくらいにモナのところに神が集まるからマジでクソ」
(*゚ー゚)「いつも遊ばせてもらってまーす」
(,,゚Д゚)「今度皆でモナーの神社に押しかけようぜ」
( ´∀`)「来んな」
(;・∀・)『どいつもこいつも人間の文化を……』
(*#゚( ∵)(皆でゲーム……楽しそう……)
( ^ω^)(神がどうとか聞こえたけどなんの話だろう……)
( ^ω^)(あとモナーさんたまに虚空に向かって話しかけてるんだけどなんなんだお……怖い……)
92
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:48:23 ID:6kA0Vn8k0
( ^ω^)「シロップは何にしますかお?」
(*#゚( ∵)『わたしコーラ……』
( ・∀・)『僕はレモンね』
( ´∀`)「コーラとレモン。ギコとしぃは?」
(,,゚Д゚)「俺はブルーハワイ」
(*゚ー゚)「イチゴ」
( ^ω^)「コーラ、レモン、ブルーハワイ、イチゴですおね? あと一つは何にしますかお?」
( ´∀`)「シロップ全種類かけて」
(;^ω^)「ぜ、全種類ですかお?」
(,,゚Д゚)「うわー、ガキかよ」
( ´∀`)「純粋な気持ちを忘れないんだモナ」
93
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:49:17 ID:6kA0Vn8k0
(*#゚( ∵)『美味しい……』シャクシャク
(*・∀・)『冷たくていいよねー』シャクシャク
(*#゚( ∵)っー『モララー、一口あげる。あーん』
(*・∀・)『あーん』
(,,゚Д゚)「イチャつきおって」
( ´∀`)っー「モララー、モナもあげるモナ。あーん」
( ・∀・)『押し付けようとしてるだろお前』
( ´∀`)「シロップ全種類かけるんじゃなかった……不味い……」
(,,゚Д゚)「……」ジッ
(*゚ー゚)「そんなに見たってあーんなんかしてあげないわよ?」
(,,゚Д゚)「照れんなって」
(*゚ー゚)「……照れてないし」
( ´∀`)っー スッ
(,,゚Д゚)「お前のあーんは求めてねえよ」
94
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:50:01 ID:6kA0Vn8k0
( ・∀・)『次はどうしようか』
(;´∀`)「待って……モナまだ食べ終わってない……待って……」シャクシャク
( ・∀・)『シロップ全種類かけたりなんかするから……』
(*゚ー゚)「ヨーヨー釣り行かない?」
(*#゚( ∵)『行きたいです』
(,,゚Д゚)「俺らは人間干渉モード使ってるからいいけど、モララーとでぃはどうするんだ?」
(*゚ー゚)「あー、人間からしたらヨーヨーが勝手に浮いてるみたいに見えちゃうわね」
( ´∀`)「誤魔化せばいけるモナ」シャクシャク
(;・∀・)『いけるか?』
( ´∀`)「モナに任せとけ」シャクシャク
( ・∀・)『早く食えよ』
(;´∀`)「待って……」シャクシャク
95
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:50:57 ID:6kA0Vn8k0
<_プー゚)フ「へいらっしゃーい! 一回三百円だぞー!」
( ´∀`)「五回分お願いするモナ」
<_プー゚)フ「へーい! 千五百円な!」
( ・∀・)『で、僕とでぃはどうすりゃいい?』
( ´∀`)(モナのすぐ近くでやるモナ。ヨーヨーが取れたらモナが誤魔化すから)ヒソヒソ
(;・∀・)『本当に誤魔化せんのか?』
( ´∀`)(任せとけモナ)ヒソヒソ
( ・∀・)っし『じゃあ早速……』
( ・∀・)っ『あっ』ポトッ
( ´∀`)
( ・∀・)っ
( ´∀`)(普通に失敗したからわざわざ誤魔化す必要はないモナね)ヒソヒソ
(;・∀・)『クソッ……』
96
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:51:38 ID:6kA0Vn8k0
(*#゚( ∵)っし『よーし、わたし頑張る……!』
( ・∀・)『何色狙うの?』
(*#゚( ∵)っし『黄色!』
(*゚ー゚)(モララーカラー……)
( ・∀・)『そーっと、そーっと……』
(*#゚( ∵)っし ソーッ
|
○"
(;・∀・)『取れた!』
<_プー゚)フ「……ん? なんかヨーヨーが宙に浮いて……」
(;・∀・)『おい、モナー誤魔化し!』
(;´∀`)づ|「モナが取ったモナよ!」バッ
彡 ○
<_プー゚)フ「それ今宙に浮いてなかったかー?」
(;´∀`)「いやー、モナのヨーヨー釣り捌きが凄すぎて浮いてるように見えたモナね!!! すごーい!!!」
(;・∀・)『お前誤魔化しヘッッッタクソじゃねぇか!!!』
<_フ*゚ー゚)フ「おー、なるほど! すげーなお前!」
(;・∀・)『店主がアホで助かった!!』
( ´∀`)+ ドヤァ
(;・∀・)『断じてお前の功績ではないからな!?』
(*#゚( ∵)っ(取れた……)ホクホク
|
○"
97
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:52:30 ID:6kA0Vn8k0
(,,゚Д゚)「よーし、しぃ、何色が欲しい?」
(*゚ー゚)「鮮血の赤色」
(,,゚Д゚)「やだ物騒……」
(*゚ー゚)「冗談よ。ピンクで」
(,,゚Д゚)っし「よっしゃ任せろ!」
(,,゚Д゚)っし 「取れたぞ」
|
○"
(*゚ー゚)「期待はしてnはっや!?」
(,,゚Д゚)っし「はっはっは、どうせ無理だと思っただろう?」
(*゚ー゚)「ギコくんは大層なこと言っといて成し遂げられない的なキャラだと思ってたわ……」
(,,゚Д゚)っし「普通に酷い」
98
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:53:16 ID:6kA0Vn8k0
(*゚ー゚)っし「じゃあ次は私が取るわ。ギコくん何色がいい?」
(,,*゚Д゚)「青!」
(*゚ー゚)ミっし"「オッケー青ね」バッシャアアア
(,,゚Д゚)「力加減気をつけて」
(*゚ー゚)っ「あっ」ポトッ
(;,゚Д゚)「あーあー、勢いよく水につっこむから……」
(*゚ー゚)っ「……」
(;,゚Д゚)っし「ほら、俺のまだ残ってるから使えよ」
(*゚ー゚)「……いいの?」
(,,゚Д゚)「いいからいいから。次は力加減気をつけろよ?」
(*゚ー゚)「……ありがとう」
99
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:54:03 ID:6kA0Vn8k0
(*゚ヮ゚)っし「取れた! 取れたわ!」
|
○"
(,,*゚Д゚)「やったな、しぃ!」
(*゚ー゚)っし「はい、ギコくん。あげるわ」
|
○"
(,,*゚Д゚)っ「サンキュ! ほら、しぃも! 俺が取ったやつ!」
|
○"
(*^ー^)っ「ふふふ」
|
○"
(,,*゚Д゚)っ「へへへ」
|
○"
( ´∀`)、「あーーまったるーーーいモナねええええ!!!」ペッ
(;・∀・)『うーわ、台無し』
(;#゚( ∵)『モナーさん少女漫画とか好きって言ってませんでしたっけ……』
( ´∀`)「少女漫画って結構ドロドロしてるじゃん。モナは少女漫画のそこが好き」
(;・∀・)『楽しみ方が歪んでる……』
100
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:54:53 ID:6kA0Vn8k0
( ´∀`)っ「さ、モナもチャレンジモn」ポトッ
( ´∀`)っ
( ・∀・)『僕と同じパターンじゃねぇか』
(#゚( ∵)『しかもモララーより早い……』
( ´∀`)「あの、あれだし、モナが本気出すとヨーヨー全部釣っちゃうからさ、それは申し訳ないからわざとミスったモナ」
(,,゚Д゚)っ「はい三百円」
<_プー゚)フ「まいどー!」
( ´∀`)
(,,゚Д゚)っし「ほら、本気出してみろよ」
( ´∀`)「ごめんなさい。気持ちは嬉しいけど、モナは君の気持ちに応えられないモナ」
(,,゚Д゚)「俺が失恋した風の断り方やめてくんね?」
101
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:55:36 ID:6kA0Vn8k0
⊂(*´∀`)っ バムバム
| |
○" ○"
( ・∀・)っ『最後の三百円でギコが取りまくったね』バムバム
|
○"
(,,゚Д゚)っ「このAA行数取りすぎな」バムバム
|
○"
(#゚( ∵)っ『それに位置の調整が面倒だし……』バムバム
|
○"
( ・∀・)っ『今回メタ発言多くない?』バムバム
|
○"
(*゚ー゚)っ パァン!!
(;・∀・)『破裂音!!』
(*゚ー゚)っ「ヨーヨーをバムバムしようと思ったら……」
(;・∀・)『一撃でトドメ刺すあたり流石だわ……』
102
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:56:16 ID:6kA0Vn8k0
(,,゚Д゚)「ポテト買ってきた」
( ´∀`)「わざわざ悪いモナね」
(;,゚Д゚)「あげねぇよ。俺が自分のために買ったんだから」
(*゚ー゚)a" ヒョイパクヒョイパク
(;,゚Д゚)「ポテト買うと当然のように勝手に食う奴いるよな!」
( ・∀・)a"『なぜかシェア扱いされるよね、ポテトって。分かる分かる』ヒョイパク
(;,゚Д゚)「とか言いつつ食うな!!」
103
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:57:11 ID:6kA0Vn8k0
(*#゚( ∵)a"『お祭り楽しい……』ヒョイパク
(;,゚Д゚)「すげえさりげなく食われた……」
( ´∀`)a" ヒョイパクヒョイパク
(;,゚Д゚)「ああもう……もういいや……」
( ´∀`)「よっしゃー、許しが出たモナよ!!」
( ・∀・)『堂々と食えるぞ!!』
(*゚ー゚)「食らい尽くすわよ!!」
(;,゚Д゚)「意地汚い奴らめ!!」
ギャーギャー
(*#゚( ∵)「……」
(*#゚( ∵)(楽しいなあ)
(*#゚( ∵)「皆で来れて良かった……」ポソッ
(;‘_L’)「……あれは」
104
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:58:04 ID:6kA0Vn8k0
*
(;‘_L’)「あ、荒巻殿!」
/ ,' 3「なんだ、騒がしいな」
(;‘_L’)「で、でぃ殿が……でぃ殿がいたのです! 祭りに!」
/ ,' 3「はぁ? 何を言う。でぃはもう死んだだろう」
(;‘_L’)「しかし、いたのです! お面をつけてはいましたが、あの背丈といい傷といい、間違いありません!」
(;‘_L’)「謝りましょう、でぃ殿にもモララー様にも! きっと、でぃ殿は恨みを持って化けて出て……」
/ ,' 3「黙れ」
(;‘_L’)「……っ」
/ ,' 3「これ以上、儂に貴様の妄想を聞かせる気か?」
(;‘_L’)「い、いえ……。失礼しました……」
105
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 13:59:05 ID:6kA0Vn8k0
/ ,' 3「……」
/ ,' 3(でぃがいた……か)
フィレンクトは臆病な男だ。権力に屈し、波風を立てないことを常に考えている。
そして、正直な男でもある。彼は嘘をつけない。嘘をついてバレるのが怖いからだ。
そんなフィレンクトが顔を真っ青にして、死者を扱った嘘をつくとは到底思えない。
嘘だとしか思えない内容だったが、フィレンクトの発言となれば信憑性が纏う。
/ ,' 3(まさか、まさかな……)
あり得ないとは思いつつ、胸騒ぎは治まらなかった。
其の参 了
106
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 14:02:07 ID:6kA0Vn8k0
残り二話です
>>74
はミスです。なんで書き込む度に酉外れるの
107
:
名無しさん
:2017/08/26(土) 18:12:13 ID:jCY.2agI0
乙、すごい続きが気になる
108
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:50:42 ID:.Uw5vVOg0
人( 、 *川『こうやって、手を合わせてお祈りするのよ。ほら、貴方もやってみて』
/ 3『……儂はいい』
人( 、 *川『つれないこと言わないでよ。ほらほら』
/ 3『……』
( 、 *川『もう、貴方ったら……』
彼女は、呆れたように小さく笑う。なんとなくバツが悪くて目を逸らした。
儂のそんな姿を見て、彼女はクスクスと笑う。恥ずかしさから、眉根を寄せた不機嫌な顔をしてみる。
それを見て彼女は更に笑い続けた。
109
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:51:16 ID:.Uw5vVOg0
/ ,' 3「……」
目を開けると、そこには見慣れた天井。鳥の鳴き声が微かに聞こえてくる。
ゆっくりと体を起こす。汗が寝間着に張り付いて気持ちが悪い。ねちっこい夏の暑さと共に肌に纏わりつく。
/ ,' 3「ペニサス……」
懐かしい夢を見た。幸せだった頃の夢だ。
.
110
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:51:54 ID:.Uw5vVOg0
( ・∀・)神様と(#゚;;-゚)生贄のようです
其の肆
.
111
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:52:35 ID:.Uw5vVOg0
(#゚;;-゚)「モララーもいつかはモナーさんみたいにお爺ちゃんになるの?」
( ・∀・)「僕はずっとこの姿だよ。神は基本的に姿は変わらないんだ」
(#゚;;-゚)「そうなの?」
( ・∀・)「うん。僕もしぃもギコもモナーもずっと姿は変わってないよ」
(#゚;;-゚)「……モララーとしぃさんとギコさんは若い見た目なのに、どうしてモナーさんだけお爺ちゃんの見た目なの?」
( ・∀・)「えっとね……僕たち神はね、人間の信仰が具現化した存在なんだよ」
(#゚;;-゚)「信仰が具現化……」
( ・∀・)「うん。こんな神様がいて、こんな見た目でーっていう人間たちの想像が擬人化ならぬ擬神化してるの」
(#゚;;-゚)「信仰が具現化してるから、元となる信仰が無くなると神様は消えちゃうの?」
( ・∀・)「そういうこと。神は人間に依存しまくってる存在なんだよね」
( ・∀・)「で、モナーの見た目が老けてるのは、人間が老けた外見を想像したからじゃないかな」
(#゚;;-゚)「その想像が具現化したってこと?」
( ・∀・)「そうそう」
壁|´∀`)"「はいざんねーん!!」ニュッ
(;・∀・)「うわっ!? いたのかよお前!」
( ´∀`)「壁に耳くっつけて聞いてたモナ。体ごとベターって」
(;・∀・)「うわあ」
( ´∀`)「人間干渉モードを切り忘れてて、通りがかった村人に不審な顔されたモナ」
(;・∀・)「何やってんだお前……」
( ´∀`)「『モララー様の本殿ハァハァ』って言ってごまかしたモナ」
(;・∀・)「何やってんだお前!!」
112
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:53:06 ID:.Uw5vVOg0
( ´∀`)「で、モナの見た目がイケオジだっていう話モナね?」
( ・∀・)「イケオジじゃねーよ単なるジジイだよ」
( ´∀`)「モナはね、人神なんだモナ」
(;・∀・)「……そうだったの!?」
(#゚;;-゚)「人神って?」
( ´∀`)ロ「人神とは、人が没した後にその人物を神として祀る信仰形態。
大きく分けると二つあり、生前にこの世に恨みを残して没したものが祟りを引き起こすことを恐れてこれを鎮めるために祀るものと、生前に優れた業績を残したものを死後に神として祀ることでその業績を後世に伝えようとするものである」
(;・∀・)「露骨にスマホを見るな」
( ´∀`)「Wikipedia便利モナ」
113
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:53:39 ID:.Uw5vVOg0
( ´∀`)「モナは元々人間だったモナ。で、生前のモナがすごかったから死んだ後に神として祀られたモナ」
(;・∀・)「お前生前なにしたの……」
( ´∀`)「うふふ」
(;・∀・)「うふふじゃねぇ」
( ´∀`)「んで、人神ってのは死んだ時の姿に依存するモナ。モナは長生きしたからこういう見た目モナ」
(;・∀・)「……お前、神様歴からして、人間だった頃って随分昔の話だろ? その頃って人間の平均寿命は短かったんじゃないか?」
( ´∀`)「そうモナね。長生きできる時代じゃないのにモナは長生きしたモナ。それも人神として祀られた理由の一つかもしれないモナ」
(#゚;;-゚)「コイツめっちゃ生きるじゃんヤベェ祀ろう!みたいな……?」
( ´∀`)「そんな感じモナ」
(;・∀・)「でぃ、そんな言葉遣いやめなさい!」
114
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:54:05 ID:.Uw5vVOg0
(#゚;;-゚)「普通の神様と人神ってどう違うんですか?」
( ´∀`)「人神の方が強いモナ」
(;・∀・)「うわムカつく」
( ´∀`)「元が人間か、人間の想像かってのが大きいモナね」
( ´∀`)「なんて言うか、人神の方が確固たる存在? てーきーなー?」
(;・∀・)「とても腹が立つ」
115
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:54:32 ID:.Uw5vVOg0
( ´∀`)「さーて、モララーを煽ったところでモナは帰るモナ」
(;・∀・)「煽り逃げかよお前」
壁|´∀`)ノシ「じゃーねモナ」
(#゚;;-゚)ノシ「さようなら」
(;・∀・)「何しに来たのアイツ……」
116
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:55:02 ID:.Uw5vVOg0
壁|´∀`)" ニュッ
(;・∀・)「うわ、また来た」
(#゚;;-゚)「忘れ物か何かですか?」
( ´∀`)「モララー、まずいモナ」
(;・∀・)「へっ?」
( ´∀`)「とにかく、来るモナ」
壁|彡 スッ
(;・∀・)「な、なんなんだ……」
(;#゚;;-゚)「とにかく行ってみよう?」
(;・∀・)「うん……」
117
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:55:34 ID:.Uw5vVOg0
ξ ⊿ )ξ
(;・∀・)「あ……あれは……!」
(;#゚;;-゚)「内藤さんのところの……!」
(;・∀・)「なんで倒れて……」
( ´∀`)「そんなことはどうでもいいモナ。さっさと助けるモナよ」
(;・∀・)「……」
( ´∀`)「……モララー?」
(;・∀・)「……俺は、行かない」
(;#゚;;-゚)「モララー!? なんで……」
(;-∀-)「僕は人間には干渉しない」
(;#゚;;-゚)「……」
( ´∀`)「……目の前で人が死にそうなのにまだそんなこと言ってるモナ?」
(;・∀・)「……これは譲れないんだ」
( ´∀`)「……もういいモナ。モナは助けに行くモナ」
(;#゚;;-゚)「モララー……」
(;-∀-)「……でぃ、本殿に戻るよ」
(;#゚;;-゚)「……うん」
118
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:56:12 ID:.Uw5vVOg0
(;・∀・)「……」
(;#゚;;-゚)「……ねぇ、モララー」
(;・∀・)「……なに?」
(;#゚;;-゚)「モララーは、どうして人間に干渉しないって決めてるの?」
(;・∀・)「……それ、訊いちゃう?」
(;#゚;;-゚)「は、話したくないならいいけど……」
(;・∀・)「……いや、話すよ」
119
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:56:49 ID:.Uw5vVOg0
( ・∀・)「ずっと前、僕が神になりたての頃。僕は人間と共に生きていた」
(;#゚;;-゚)「それって、人間に干渉してたってこと?」
( ・∀・)「そう。昔は神として人間と助け合っていたんだ」
( ・∀・)「僕は人を手伝い、人もまた僕を手伝い……って感じで」
( ・∀・)「でもね、だんだん均衡は崩れていった」
( ・∀・)「人間が、神の力を過信し始めた。神だって万能じゃないのにね」
120
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:57:20 ID:.Uw5vVOg0
『モララー様、妻が危篤なんです! 助けてください!』
(;・∀・)『いや、僕に助ける力は無くて……』
『そんな、神様なんだからそれくらいできるでしょう!?』
『モララー様、お願いします! どうか、うちの子を助けてください!』
(;・∀・)『それは僕にはできないことなんだ……』
『嘘を言わないでください! 神様でしょう!? うちの子を見捨てるんですか!?』
『モララー様』
(;・∀・)
『モララー様』
(;-∀-)
『モララー様』
(; ∀ )
.
121
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:57:57 ID:.Uw5vVOg0
( ・∀・)「それから、僕は人間に干渉するのはやめた」
( ・∀・)「人間が神に依存するのは良くない。人間は人間だけで生きていけるんだから」
( ・∀・)「神の存在が人間の秩序を乱してしまうんだ」
( ・∀・)「人間に干渉をやめてから、本殿に籠ってた」
( ・∀・)「そしたらね、信仰を失って消えかけたんだ」
(;#゚;;-゚)「えっ……」
( ・∀・)「そのときはモナーが助けてくれたおかげで消えずに済んだんだけどね」
(;#゚;;-゚)「……」
( ・∀・)「まあ、こんな感じだね。僕が人間に干渉しない理由は」
122
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:58:24 ID:.Uw5vVOg0
壁|´∀`)"「……モララー」
(;・∀・)「あ、モナー……」
( ´∀`)「……ダメだったモナ。さっきの人」
(;-∀-)「……」
(;#゚;;-゚)「内藤さん……」
( ´∀`)「お葬式は今夜行うらしいモナ。身内だけでひっそりと」
(;-∀-)「……そっか」
123
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 22:59:11 ID:.Uw5vVOg0
*
内藤家の若妻が死んだ。
神社の境内で、心臓発作を起こして倒れた。
設楽葉村の者ではない老人が担いで村の診療所へと運んだが、すぐに命を落とした。
無理もない。設楽葉村の医療機関は小さな診療所だけである。医者も設備も不十分だ。
( ;ω;)「ツン……どうして……!!」
/ ,' 3「……今日は一緒に神社に行かなかったのか?」
( ;ω;)「今日は朝早くから仕事があったので、一緒に神社には行ってないですお」
/ ,' 3「……兆候はあったのか?」
( ;ω;)「いいえ、全く。昨日も今日も元気でしたお」
/ ,' 3「……そうか。ご愁傷様」
124
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:00:11 ID:.Uw5vVOg0
( ;ω;)「毎日、ツンと一緒に健康をお祈りしたのに……」
( ;ω;)「どうして……どうして……」
/ ,' 3「……」
内藤家の亭主は、涙を流し続ける。みっともないくらいにボロボロと、顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
あいつが死んだとき、儂は涙を流さなかった。いや、流れなかったのだ。
悲しいはずなのに、悔しいはずなのに、頬から涙が落ちることは一滴すらなかった。
/ ,' 3(……そういえば、アレも、泣かなかったな)
幼い少女の、光のない目を思い出していた。
125
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:00:51 ID:.Uw5vVOg0
*
でぃの両親は信心深く、毎日神社へと来ていた。
(*゚∀゚)「あ! 村長とペニサスさん! おはよーございまーす!」
ミ,,゚Д゚彡「おはようございます」
('、`*川「あら、お早いですね」
/ ,' 3「……おはよう」
天真爛漫な妻と、落ち着いた夫。
妻のペニサスは、同じく信心深かったため、この夫婦とすぐに仲良くなった。
126
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:02:25 ID:.Uw5vVOg0
('、`*川「ふふ、今日もフサさんとつーさんとお話しするのが楽しみだわ」
/ ,' 3「良かったな」
('、`*川「ええ。でぃちゃんもすくすく大きくなって……。羨ましいわ」
/ ,' 3「……」
あの夫婦は、毎日神社に子どもを連れてきている。まだ幼く、妻の背中で眠る姿しか見たことはないのだが。
儂ら夫婦には子どもがいない。
ペニサスの体は弱いため、出産に耐えることができないらしい。
ペニサスは子どもを欲しがっていたので、その事実を知った時はひどく落ち込んでいた。
儂は、子どもを欲しいとは思わなかった。ペニサスさえいれば充分だから。
ペニサスさえいれば、充分だったのだ。
.
127
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:03:10 ID:.Uw5vVOg0
ある朝、ペニサスは布団の中で冷たくなっていた。
常に体調は良くなかったのだが、ここ数日は特に具合が悪そうだった。
それでもペニサスは神社に通うことをやめなかった。
何度止めても彼女は毎日モララー様のもとに赴いた。儂が止めても、あの夫婦が止めても。
そして自身の健康を願ったはずだ。
しかし、結果はどうだ。
彼女はあっさりと、赤子の手をひねるかのように、逝ってしまった。
ペニサスは、お祈りを欠かさなかった。体調が悪かろうとお構いなしに、来る日も来る日も祈り続けた。
/ ,' 3(どうして死んだんだ)
毎日、祈っていたのに、どうして。
ああ、そうか。
/ ,' 3「神様なんて、いないのか」
.
128
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:03:48 ID:.Uw5vVOg0
ペニサスの死から数年が経ったある日、あの夫婦は事故で死んだ。
まだ若いのに、幼い子どもがいるのに、あっけなく二人の命は散った。
あの夫婦に親戚はいなかったため、村長である儂が子どもを引き取ることになった。
(#゚;;-゚)「……」
両親の死を知らないはずはないのに、少しも泣きはしない。
子どもだというのに我慢しているのか。もっと子どもらしく大泣きすればいいのだ。
/ ,' 3「……」
まったく、可愛げがない。
どうしてか、ペニサスが死んだ日を思い出す。
愛する妻の死に、涙を流せなかった自分が、この幼子と重なってしまう。
/ ,' 3(……ああ、腹が立つ)
まるで自分自身を見ているような気分だ。
129
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:04:34 ID:.Uw5vVOg0
それからしばらく、でぃとの暮らしをするも、距離が縮まることなどなかった。
話しかけてもろくに言葉を返さない。ニコリとも笑わない。
/ ,' 3(本当に可愛げがないな)
苛立ちが募り、次第にでぃに対してキツく当たるようになる。時には暴力を振るってしまうこともあった。
それでも顔色ひとつ変えることはなかった。空虚な瞳は、怒りも悲しみも映さない。
どこか自分自身に似ていると感じてしまう。それが腹立たしくて仕方がなかった。
.
130
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:05:06 ID:.Uw5vVOg0
*
/ ,' 3「……なあ、内藤」
( ´ω`)「なんですかお……」
内藤ツンの葬儀は終わった。内藤家の亭主は泣き止みはしたものの、見るからに意気消沈してしまっている。
腫れたまぶたが痛々しい。
/ ,' 3「モララー様に、毎日祈りを捧げていたのだろう?」
( ´ω`)「はい……ツンと一緒に長生きできますようにって……」
/ ,' 3「しかし、その祈りは届かなかった。何故だと思う?」
( ´ω`)「……僕の祈りが足りなかったんですお」
/ ,' 3「そんなことはない。お主は充分に祈っていた」
( ´ω`)「……そう言っていただけると嬉しいですお」
/ ,' 3「お主も、お主の妻も充分すぎるほどに祈りを捧げた。
ならば、どうしてお主の妻は助からなかったのだと思う?」
( ´ω`)「……分かりませんお」
/ ,' 3「神様など、モララー様などいないからだ」
( ^ω^)「……!」
131
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:05:43 ID:.Uw5vVOg0
/ ,' 3「モララー様は優しい神様だと、そういう風に言われているな?」
( ^ω^)「……はいですお」
/ ,' 3「優しい神様であるならば、お主の妻を助けてくださったはずだ」
( ^ω^)「それは……確かに……」
/ ,' 3「儂の妻が生きていた頃、妻は毎日神社で祈りを捧げた。にも関わらず、あっさりと逝ってしまった」
( ^ω^)「……!」
/ ,' 3「信心深い夫婦が、子どもを遺して亡くなったこともあった」
( ^ω^)「……」
/ ,' 3「信じたところで救われなどしないのだ」
( ^ω^)「……モララー様なんて、いないから……」
/ ,' 3「そうだ」
(;^ω^)「じゃあ、ずっと、ずっと無駄なことを……」
(#;ω;)「そんな……こんなことって……」
132
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:06:17 ID:.Uw5vVOg0
/ ,' 3「泣くな、内藤」
(#;ω;)「……」
/ ,' 3「これ以上、神に騙されるような事態があってはならない」
(#;ω;)「僕も、そう思いますお……!」
/ ,' 3「儂はもう、同じ悲しみを繰り返したくないんだ。
内藤、協力してもらえないか?」
(#;ω;)「はい! 僕にできることなら、なんでも!」
/ ,' 3「他の村人たちにも協力を仰ぎたい。まずは各家をまわり、事情を話そう。
そして……」
「明日には神社を取り壊してしまおう」
其の肆 了
133
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:06:48 ID:.Uw5vVOg0
続けて最終話を投下します
134
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:07:47 ID:.Uw5vVOg0
(;・∀・)(……?)
一言で言い表すなら、違和感。
いつもは無い何かがあるというよりは、いつもはあるものが無いような、そんな不安を覚えた。
(;・∀・)(……なんだろう。何かが足りないような気がする)
漠然としたもので、原因はまるで分からない。まるで湿気を帯びた熱気のように、不安が肌に纏わりつく。
(;・∀・)(それに……なんか、前にもこんな感覚があったような……)
(#゚;;-゚)「モララー? どうかしたの?」
(;・∀・)「……いや、なんか体がおかしいような……」
(#゚;;-゚)「確かにモララー、顔が青白い。風邪?」
(;・∀・)「神は病気にならないよ」
(#゚;;-゚)「じゃあ、なんで……?」
(;・∀・)「な、なんでだろう……でもなんとなく、覚えがあるような……」
(;#゚;;-゚)「……誰か呼んだ方がいいんじゃないかな。モナーさんとか」
(;・∀・)「う、うん。そうする……」
135
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:08:21 ID:.Uw5vVOg0
( ´∀`)「来たモナよ。どうしたモナ?」
(;・∀・)「なんか、体の調子がおかしいんだよ」
( ´∀`)「……どう、おかしいモナ?」
(;・∀・)「なんか……力が入らないっていうか……」
( ´∀`)「ギコとしぃを呼んでくるモナ。でぃ、モララーの傍にいて」
(;#゚;;-゚)「え? は、はい」
(;・∀・)「おい、モナー? 行っちゃった……なんなんだよ……」
136
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:08:59 ID:.Uw5vVOg0
( ´∀`)「連れて来たモナ」
(,,゚Д゚)「なんだー? どうしたんだ、モララー」
(*゚ー゚)「何かあったの?」
( ´∀`)「モララー、訊きたいことがあるモナ」
(;・∀・)「なんだ?」
( ´∀`)「今日、参拝しに来た人はどれくらいいたモナ?」
(;・∀・)「参拝しに来た人……あっ!」
(;#゚;;-゚)「……!」
(;・∀・)「……誰も、来ていない」
(;,゚Д゚)「……おい、それってまさか」
(;*゚-゚)「……そのまさかのようね」
( ´∀`)「モララー」
( ´∀`)「どうやら、信仰が失われているようモナ」
137
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:09:26 ID:.Uw5vVOg0
( ・∀・)神様と(#゚;;-゚)生贄のようです
其の伍
.
138
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:10:07 ID:.Uw5vVOg0
(;#゚;;-゚)「そ、それって……モララーは消えちゃうの!?」
( ´∀`)「神社もあって、神体もあるからまだ大丈夫モナ。信仰が失われたっていってもゼロではないだろうし」
( ´∀`)「信仰と神社と神体は、柱みたいなものモナ」
(;#゚;;-゚)「柱?」
( ´∀`)「そう、柱。今のモララーは大量の柱を失って崩れた建物と同じモナ」
( ´∀`)「神社の柱と神体の柱、そしてわずかに残った信仰の柱。これが今、モララーを支えているものモナ」
( ´∀`)「でも、それもいつ崩れるかは分からない。だから、急いで柱を直さないといけないモナ」
(;#゚;;-゚)「ど、どうやって……」
( ´∀`)「それはモナがやるモナ。でぃ、ギコ、しぃには残りの柱を守ってもらうモナ」
( ´∀`)「まず、ギコとしぃは神社。村民が取り壊しにかかるからそれを防ぐモナ」
(;#゚;;-゚)「と、取り壊し……!?」
( ´∀`)「二人を呼びに行く時、村人の会話で分かったモナ」
(;,゚Д゚)「何考えてんだよ、村人は……」
(;*゚-゚)「ねぇ、ここの宮司は!? 何をしてるの!?」
(;・∀・)「……うち、兼務神社なんだよ。基本的に宮司はここにいない」
(;#゚;;-゚)「兼務神社……?」
(;・∀・)「複数の神社で同じ宮司が働くことがあるんだよ。
その宮司がいつもいる神社が本務神社、普段いない神社を兼務神社っていうんだ」
(;#゚;;-゚)「そ、そんな……」
( ´∀`)「だからこそ、ギコとしぃに守ってもらいたいモナ」
(,,゚Д゚)「分かった」
(*゚ー゚)「任せて!」
139
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:10:38 ID:.Uw5vVOg0
( ´∀`)「それから、でぃ。神体の刀を守るモナ」
(;#゚;;-゚)「わ、わたしが?」
( ´∀`)「モララーと一緒に守るモナ。大丈夫、でぃならできる」
(;#゚;;-゚)「は、はい……」
( ´∀`)「それと、モララーの傍にいてあげるモナ。でぃがいることでモララーの支えになるモナ」
(;#゚;;-゚)「! はい!」
140
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:11:07 ID:.Uw5vVOg0
( ´∀`)「それじゃ、各自移動モナ。ギコ、しぃ、本殿には近づかせたら駄目モナよ」
(,,゚Д゚)「ああ!」
(*゚ー゚)「守り抜いてみせるわ」
( ´∀`)「モララーとでぃは本殿の中にいるモナよ」
(;・∀・)「おう……」
(;#゚;;-゚)「はい!」
141
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:11:56 ID:.Uw5vVOg0
(;-∀-)「……」
本殿の中で、御神体の刀を抱えてモララーは座り込む。丸まった背中が小刻みに震えているのが痛々しい。
(;#゚;;-゚)「モララー……大丈夫……?」
(;-∀-)「ちょっと……まずいかな。昔、信仰を失ったときよりも、残った信仰が少ない……」
(;#゚;;-゚)「そんな……」
(;-∀-)「……」
(;#゚;;-゚)「わ、わたしはモララーのこと信じてる。だから、だから、お願い」
(#;;;-;)「モララー……消えないで……。わたしが、わたしがモララーのこと、信じるから……」
(;-∀-)「……ありがとう、でぃ。でもね、でぃはもう人間じゃないんだ」
(;-∀-)「でぃがどれだけ信じてくれても『人間からの信仰』にはならないんだ」
(#;;;-;)(わたしじゃ……モララーを助けられない……)
残酷な事実が重くのし掛かる。涙が後から後から流れていった。
両親が死んだときでさえ、堪えられた涙が今は止めることができない。
142
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:12:33 ID:.Uw5vVOg0
(;-∀-)「でぃ、もっと近くに来て……」
(#;;;-;)「……!」
(;-∀-)っ「手、繋いでいてくれる?」
(#;;;-;)
(#∩;;-∩)
(#゚;;-゚)っ「うん!」
そうだ、モナーさんに「支えになってあげてほしい」と言われたんだ。
泣いてちゃ駄目だ。
わたしが、モララーを支えるんだ。
143
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:13:11 ID:.Uw5vVOg0
拝殿の扉を閉め、賽銭箱の前に立つ。
俺は槍を構え、素振りをする。準備は万端だ。
(*゚ー゚)「……ねえ」
(,,゚Д゚)「なんだ?」
(*゚ー゚)「拝殿よりも、鳥居の前で待っていた方がいいんじゃない?」
(,,゚Д゚)「いや、ここでいいだろう」
(*゚ー゚)「でも、鳥居から壊される可能性だって……」
(,,゚Д゚)「鳥居は石段の近くにあるからな。鳥居を壊してしまうと、石段が通れなくなるかもしれない。
奴らだって逃げ道が無くなるのは困るだろうよ」
(*゚ー゚)「……なるほど」
(,,゚Д゚)「まあ、絶対とは言い切れないがな。でも、村人たちからすれば拝殿や本殿を狙いたいところじゃねぇかな」
(*゚ー゚)「それもそうね」
(,,゚Д゚)「ま、想定外の事態が起きても俺らなら大丈夫だ。俺らは強いから」
(,,゚Д゚)「だからそんなに不安になるな。大丈夫、モララーは絶対助かるから」
(*゚ー゚)「……うん」
(*゚ー゚)(いざって時にすごく頼りになるのよね、ギコくんは)
(*゚ー゚)(……そういうところが好きなのよ)
144
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:14:08 ID:.Uw5vVOg0
(,,゚Д゚)「……来たな」
複数の足音がこちらへと向かっている。一際殺気立っている足音が先頭に聞こえた。
俺は槍を構え直し、しぃは拳を握りしめた。
先頭の村人が石段を登りきった。後ろに続いていた村人も続々と到着する。
(#^ω^)「……なんだお、お前らは」
(,,゚Д゚)「何をしに来た」
(#^ω^)「質問してるのはこっちだお!」
(,,゚Д゚)「答えろ」
(#^ω^)「……こんな神社、取り壊してやるんだお!」
(,,゚Д゚)「何故だ」
(#^ω^)「神なんていないからだお! 皆を騙すこの神社が存在し続けるわけにはいかないお!」
(,,゚Д゚)「どうして、神がいないと言い切れる?」
(#^ω^)「ツンを救ってくれなかったからだお! 毎日毎日、祈りに来てたのに……!」
(,,゚Д゚)「……もういい。黙れ」
(*゚ー゚)「どうする? 気絶でもさせる?」
(,,゚Д゚)「いや、危害は加えるな。しぃがやると死人が出かねないし」
(*゚ー゚)「当然手加減はするわよ」
(,,゚Д゚)「人間は殴るな。ただ、武器は破壊してやれ」
(*゚ー゚)「分かったわ」
村人たちが武器を構え、こちらへと駆けてくる。
しぃと背中を預け合う。
敵を見据え、牽制のために槍を突き出した。後ろのしぃが拳を握ったのが分かった。
突き出してくる武器を槍でいなし、破壊していく。
(,,゚Д゚)(壊させるものか)
大事な友達なんだ。絶対に奪わせてなんかやらない。
145
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:14:50 ID:.Uw5vVOg0
/ ,' 3「……始まったか」
拝殿の前から、武器のかち合う音が聞こえてくる。
目を凝らすと、槍を持った軽装の甲冑を着た男と、十二単を着た綺麗な女が村人と戦っている。
/ ,' 3(なんだ、あいつらは……?)
妙な二人組だが、的確に村人が持つ武器を落とし、破壊している。
/ ,' 3(……とんだ邪魔が入ったようだな)
舌打ちし、歩みを進める。
拝殿は内藤たちに任せて、儂は本殿を破壊するよう決めていた。
拝殿前の二人組に気づかれないよう、本殿へと向かっていく。
ようやくペニサスの仇を討てる。悲願を達成する時が来たのだ。
/ ,' 3(待っていろ、ペニサス)
/ ,' 3(お前を騙した神を、この儂が殺してやる)
146
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:15:26 ID:.Uw5vVOg0
(;-_L-)「……」
異常な事態が起こっている。
村人が一丸となって、神社を取り壊そうと躍起になっている。
首謀者は、村長の荒巻。昨日、妻を亡くした内藤も中心で動いているらしい。
神社を取り壊すなんて、そんな罰当たりなことはしたくない。それに、自分はモララー様のことを信じている。
だからと言って、村人たちを止める勇気もない。
(;-_L-)人「モララー様……でぃ殿……」
ただ、歪な祠の前で祈り続けることしかできない。
147
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:16:43 ID:.Uw5vVOg0
外から足音が聞こえる。
一瞬、モナーが戻ってきたのかと考えて、すぐに首を振った。
足音に殺気が宿っている。それも、強烈な殺気が。
(;#゚;;-゚)「モララー……だ、誰かが外に……」
(;-∀-)「……どうやらそうみたい」
(;#゚;;-゚)「だ……誰だろ……モナーさんかな……」
(;-∀-)「……」
でぃが僕の手を強く握りしめた。足音の主がモナーではないことはでぃも分かっているだろう。それでもモナーの名を口に出したのは、そうであってほしいという希望でしかない。
本当はもう、分かっている。僕もでぃも。
本殿の前に誰がいるのかなど。
/ ,' 3「……」
148
:
◆MiP3CC60hw
:2017/08/26(土) 23:18:00 ID:.Uw5vVOg0
/ ,' 3「……ようやく、ようやくこの時が来た」
/ ,' 3「散々、騙し続けてくれたな。存在もしないくせに、ずっと」
/ ,' 3「なあ、どんな気持ちだ? モララー様。貴様を恨み続けた儂の手で逝く気持ちは?」
/ ,' 3「儂は今、とても清々しい気分だ。長年の悲願をようやく果たせる」
ハンマーを握った右手を振り上げる。標的はもちろん、目の前の忌々しき本殿だ。
/ ,' 3「もう、終わりにしよう」
⊂(#;;;-;)っ「ダメ!!!」
.
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