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海のひつじを忘れないようです

98名無しさん:2017/08/19(土) 22:45:52 ID:rN6ohdMg0
「いーぃえぇーいっ!」

「べふっ!」

何かがぼくの首に組み付いてきた。
ぼくは情けのない声を上げて前のめりに倒れかける。
が、そのまま地面にぶつかることはなかった。

ぼくにぶつかってきた何かはそのままぼくの首を支点にして、
器用にも空中で旋回し目の前へと着地した。
そして倒れ掛かるぼくの身体を絶妙なバランスで支え、
大して力を込めているとも思えないのに余裕の様子で転倒を防いでいた。

「あんたが今日来た新人だね!」

ぼくは答えることができない。

「どうしたどうした、そんな変な顔して」

勝ち気な顔が目の前でにかっと笑う。

「悩みがあるならなんでも聞くぞ。ほらほら遠慮しなさんな。
 お姉ちゃんになんでもどーんと任せなさい!」

そういって胸を叩いた――様子の彼女に、
ぼくはやはり何も答えることができなかった。
彼女が胸を叩くところも見えなかったし、なんというか、近すぎた。

額と額が触れ合っていたし、彼女がまばたきする度その長いまつげが、
ぼくのそれをくすぐっていた。彼女の顔は、目の前と言うには
あまりにも近すぎる眼前に位置していた。


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