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海のひつじを忘れないようです

91名無しさん:2017/08/19(土) 22:42:53 ID:rN6ohdMg0
壇上の彼が、勢い良く杯を傾けた。
それと同時に、ぼくの前後左右のこどもたちが
――いや、ここにいる全員が、一斉に杯へと口をつけ、その中身を飲みだした。

ぼくも彼らに倣い、杯の中身を飲み干そうとする
――振りをして、周りの目を盗み、杯の中身をそっと捨てた。

小旦那様に予め言われていたのだ。
もし何かを飲み食いするよう勧められても、絶対に口をつけるなと。
なぜかは問わなかった。遵守することは決まっていたから。
けれどその時のぼくは、本当にこのような事態になるとは思っていなかった。
小旦那様は予想していたのだろうか。


おめでとーう!


広間の各所から、祝を謳う声が鬨のように上がり出した。
大きな音の波と化したそれは、そのすべてが壇上の彼へと注がれていく。
それを受けた彼は、満を持して、被り続けていたローブをついにめくった。

そこには、モララーがいた。
メガネを外したモララーがいた。

モララーが、宣言した。
さあ、『還泡式』の始まりだ、と。


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