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海のひつじを忘れないようです
86
:
名無しさん
:2017/08/19(土) 22:40:38 ID:rN6ohdMg0
「カンポウシキはね〜、あのね〜、カンポウシキでね〜」
「う、うん」
「とってもおめでたいことでね〜、ハッピーハッピーでね〜」
「そ、それで?」
「わいわいして、ごくごくして、ぎゅっぎゅなの〜」
「そ、そうなんだ……?」
「そう、そうなんだよ〜!」
まったくもって何一つわからなかった。
彼女の言葉の何もかもが理解不能だった。
けれどこの妙に間延びした話し方をする少女は同時に多弁であり、
おそらくは一生懸命カンポウシキについて話してくれていた。
曰くすったったんであり、くるりららんらんであり、わおわおうーであると。
その意味するところは不明だったが、
しかしこうして話してくれている以上無下に断ることもできず、
ぼくはしばらくの間、この彼女が織りなす擬音まみれなワタナベワールドを堪能した。
首をうなだらせながら。
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