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海のひつじを忘れないようです

82名無しさん:2017/08/19(土) 22:39:03 ID:rN6ohdMg0
それにしても、彼女は思ったよりも背が高かった。
ぼくよりも頭半分ほどは大きい。ほわっとした雰囲気のせいで
なんとなく幼い気がしたけれど、実際はぼくよりもいくつか歳上なのかもしれない。
そんなふうにぼくが勝手に彼女を検分していると、やがて何かを得心したのか、
彼女は両手を合わせて打ち鳴らした。

「モララーちゃんから聞いてるよ〜。今日ここにきたばっかりの子だよね?
 私はワタナベっていうの、よろしくね〜」

彼女――ワタナベが自身の紹介を終えるやいなや、
ぼくの全身がやわらかい感触に包まれた。ワタナベの身体が、ぼくの身体と重なっていた。
どういうわけか、彼女に抱きしめられていた。

彼女はぼくから離れると、一本の針のように
硬直していたぼくに向かって微笑んだ。

「ぎゅってされるのは嫌い〜?」

「いや、あの……」

「私は、好きだよ〜」

好きとか嫌い以前に、あまりに突然だったのでなにより驚きが勝った。
いまも、いや、何をされたか理解の追いついたいまの方が心拍は高まって、
頭も混乱した。「あの」だの「えと」だの、意味を成さない言葉ばかりが出てくる。


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