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海のひつじを忘れないようです

71名無しさん:2017/08/19(土) 22:32:41 ID:rN6ohdMg0
「あ、あの!」

ジョルジュを連れて準備へと向かおうとしていたアニジャとオトジャが、
いい加減呼び止められることにうんざりしていたのだろう、
ひどく不機嫌な様子で振り返った。その態度に、ぼくはたじろぎそうになる。
迷惑をかけているかもしれない。いや、明確に二人はいやがっている。
その事実に、ぼくはぼくを、罰したくなる。

けれど、ぼくは止まらなかった。ぼくはそのことが気になって仕方なかった。
ぼくを糾弾したあの少女のことが、気になって仕方なかった。
あの、ぼくが正気を失っていた時、そばにいた少女のことが。
アイスブルーの瞳。車椅子の、少女のことが。

彼女がぼくに何をいっていたのか、そのほとんどは記憶にない。
彼女はぼくを知っている様子だったけれど、ぼくには見覚えがなかった。
だからもしかしたら、あの痛罵はただ、彼女がぼくを
別の誰かと勘違いしただけなのかもしれない。その可能性は、決して低くないと思う。

それでも、ぼくには気になった。
唯一、彼女が放った言葉で唯一、明確に覚えているその言葉を。
ぼくに向けたとしか思えなかった、その言葉を。


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