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海のひつじを忘れないようです

60名無しさん:2017/08/19(土) 22:28:12 ID:rN6ohdMg0
妙なのは、小旦那様だった。小旦那様は慎重な人だ。
不確定要素があればそれをひとつずつ潰してから行動するし、
危険は可能な限り排除しようとする。

だから小旦那様が牧師様という人物に危惧を抱き、
その正体を明らかにさせようと情報を収集するのは
何もおかしいことではない。おかしいことではない、はずだ。

だけど、どこか違和感があった。
牧師様のことを尋ねる小旦那様の態度には、常とは違う、
執着のようなものが見え隠れてしていた。先程の部屋での一件。
力任せに壁を叩くなんて真似も、冷静な小旦那様らしくない。

いったい、どうしたのだろう。
ぼくには感じ取れなかった何らかの脅威を、
小旦那様の五感がキャッチしたのだろうか。

あるいは、何かを、焦っている?

「さみしくなんて、ないよ」

「なぜだ。お前は……ママのことが、好きなんだろう?」

「だって、わかるから」

ジョルジュが笑った。
いままでのような元気を爆発させたかのような笑みと違う。
妙に安らいだ、ジョルジュであって、ジョルジュでないもののような笑み。
その笑みを浮かべたまま、ジョルジュは目を閉じ、両手を組んだ。

「ママはジョルジュのことを、いつも見守ってくれているって」


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