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海のひつじを忘れないようです

48名無しさん:2017/08/19(土) 22:22:34 ID:rN6ohdMg0
小旦那様は目を見開き、ジョルジュを見た――いや、見ようとした。
しかしジョルジュはその瞬間にはもう、小旦那様の側から離れ、
別の場所へと飛び跳ねていた。飛び跳ねた彼がどこへ行ったのかというと、
それは、ぼくのすぐ隣。並べられたベッドの上で仰向けになっていた。

上半身がベッドからずり落ちたひどく器用で不器用な格好をしたジョルジュは、
ぼくを見てにまりと笑い、言った。

「ジョルジュだよ! ね、きみは? きみは?」

ジョルジュは、ぼくがいままで出会ったことのないタイプの子だった。
元気で、楽しげで、いつも笑っているような子。
たぶん、とても性格の良い子なんだろう。それくらいのことはわかる。

でも、どんなふうに接すればいいのか、ぼくにはよくわからなかった。
だからぼくには、無愛想かもしれないけれど、
端的にその名を教えるくらいのことしかできなかった。

「ギコ? ギコっていうの? 変な名前!
 それにしゃべり方も変! 変変変! あはは、変なの! おもしろーい!」

ぼくの口癖を拾ったジョルジュは、何がそんなにおもしろいのか、
手を叩きながら大笑いし始めた。そんなジョルジュを見ていると、
あれこれ考えていた自分がひどく滑稽に思えた。
きっと彼には、悩みなんてないんだろうな。そんなことまで考えてしまった。
なんだか自分まで、釣られて笑ってしまいそうだった。

むろん、そんなことは、許されない。


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