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海のひつじを忘れないようです

475名無しさん:2017/08/22(火) 18:50:33 ID:AKaoAE960
ソウサクで起こった市民革命は、他国に比しても過激なものだった。
結託した市民は、王政に与する者に対していかなる暴力も厭わなかった。

王は断頭台にて処刑された。王の血を継ぐ者も、残らず殺された。
ただ、彼女を除いて。幸か不幸かいかなる書からもその存在を抹消されていた彼女は、
生贄を求める革命派の目に留まることなく、その生を永らえることができた。
父王が亡くなったその時も、彼女は眠り続けていた。

彼女は死ななかった。眠りながらも、生きていた。
シラヒーゲは彼女の身柄を預かり、『シラナイワ』という仮の名を与え、
孫という扱いの下で眠る彼女の世話をすることに決めた。
彼女の死、あるいは目覚めのその時まで。

時代は移り変わっていった。
王政打倒の功労者たるメンバーによって組織された臨時政権は、
政治を知らない素人の集団に過ぎなかった。やること成すことが裏目に出た。
周辺諸国との連携も途絶え、国家の血となる金や物資が
心臓部で留まったままになったソウサクでは、国という体制の機能が完全にマヒしていた。

飢えと貧困に苦しむ市民は政府に不満を抱き、
その中には王政時代を懐かしむ者まで現れ始めた。
臨時政権の瓦解は、もはや秒読み段階であった。

しかし、彼らも後には引けなかった。
引けば、今度は自分たちが処刑されるかもしれないからだ。
かつて、王を殺した時のように。


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