[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
海のひつじを忘れないようです
473
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 18:49:31 ID:AKaoAE960
彼女は父王に幽閉されていたが、
しかし仮に自由の身であっても行動範囲に変化はなかっただろう。
彼女は身体が弱かった。わずかに動いただけで、心臓が悲鳴を上げた。
それだけでなく、ただじっとしているだけでも脂汗を流し、
痛みに耐えていなければならなかった。
欠損は、外側だけではなかった。身体の内側。
臓器のいくつかにも異常が有り、必要なものの多くが欠けていた。
ただ生きることが、彼女には大変な難行だった。
彼女にとっての生とは、そのまま苦痛を意味した。
十まで生きることはないだろう。それが医師の見解だった。
彼女は一日の大半を寝て過ごした。
身体にかかる疲労が、睡眠を要求した。
時には数ヶ月間も覚醒することなく、そのまま死を
迎えるのではないかと危ぶまれる時もあった。それも、一度や二度ではなかった。
だが、眠っていようとも彼女の苦痛が収まることはなかった。
彼女の寝顔は、とても安らかと言えるようなものではなかった。
夢の中でも彼女は苦しんでいた。寝ていようと、起きていようと、
彼女が苦しみから逃れる術はなかった。
ただ待つことしか、彼女にはできなかった。
死を、待つことしか。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板