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海のひつじを忘れないようです

453名無しさん:2017/08/22(火) 18:39:35 ID:AKaoAE960
「お前はなぜ、生きている」

彼方で昇りかける朝日が、窓から差し込んできていた。
今日の拷問を乗り切れたことに安堵する。そこに、声を掛けられた。

はじめは、自分に向かって放たれた言葉だとは思わなかった。
シナーが奴隷に話しかける場面など、一度も見たことはなかったから。
けれどいまこの部屋には、ぼくとシナーしかいなかった。

「なぜだ」

いまやシナーがぼくへ話しかけていることは明らかだった。
シナーの声は案外とやわらかで、ただ、感情に乏しい印象を受けた。

彼は奴隷を拷問している時も、何か機械的に義務を遂行しているような態度で、
楽しいとか、愉快だとかの感情を表に表すことはなかった。
彼が笑っているところを、ぼくは見たことがなかった。

無表情、無感動な彼の顔。その顔に向かって、ぼくは質問の答えを返す。
ぼくの答えは、決まっていた。明確な、ただひとつの答え。


「ハーモニカを、吹くんです」

.


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