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海のひつじを忘れないようです

452名無しさん:2017/08/22(火) 18:38:49 ID:AKaoAE960



その日シナーに選ばれたのは、ぼくだった。
いつ終わるとも知れない苦痛の夜が、間断なく襲い掛かってくる。
皮膚の外も、内も、肉の外も、内も、骨の外も、内も、
痛みの下では隔てなく、平等に、蹂躙される弱者であった。

拘束され動くこと叶わぬぼくは、そのままの格好で思う。
このまま気を失うことができれば――いや、このまま死んでしまえれば、
この苦しみから解放される。助かりたい。なくなりたい。死にたい。
何度も、何度もそう思いかけた。

けれどその度に、てのひらが熱くなった。
熱く、何か、忘れてはいけない感触がよみがえってきた。
何かを奪った感触。何かを奪ってまでも、生き延びた感触。罪の実感。



放棄するわけにはいかない。
生命を。

そう、思った。


.


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