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海のひつじを忘れないようです

448名無しさん:2017/08/22(火) 18:37:05 ID:AKaoAE960
            外章 あなたのひつじ


               1

ぼくは農場へ売られた。シナーという男が経営する農場へ。
海を越え、遠く言葉も異なる国――ヴィップで拓かれたその大農場では、
奴隷はただの消耗品として扱われていた。

ただ労働が過酷なだけではない。
ここの農場主シナーは、毎夜奴隷を私室へと連れ込み、
豊富に取り揃えた数々の器具を用いて奴隷に苦痛を与えることを日課としていた。

拷問そのものが目的に行われるその狂事は、
明け方よりも前に終わることは決してなかった。

拷問を受けた奴隷は一睡もすることなく、
抉られ、焼かれ、潰された身体のまま労働に駆り出された。
少しでも身体を休めようとすれば、監督官の鞭が容赦なく唸りを上げた。


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