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海のひつじを忘れないようです

445名無しさん:2017/08/22(火) 18:35:46 ID:AKaoAE960



目を覚ますと、私の上で誰かが泣いていた。
少年。おそらくは、私よりもいくつか年下の。
彼の目から止め処もなく溢れる涙が、私の顔に降り注いでいた。

「なぜ泣いているのですか……?」

言葉を発した私に、少年は驚いた様子で目を見開いた。
その目に魅入られる。少年とは思えぬ深い悲しみに彩られた、その目に。
その目が閉じて、切られた涙がこぼれ、そして、開いた。

「だって、死ぬのは、悲しいじゃないか……」

ああ、そうか。
とても当たり前で、だからこそ忘れてしまった部分を、突かれた気がした。
そして、感じ取った。この少年も、罪を知っているのだと。
死の意味を、理解してしまったのだと。

少年が、ぐいっと目元を拭った。


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