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海のひつじを忘れないようです

443名無しさん:2017/08/22(火) 18:34:58 ID:AKaoAE960
リズミカルに叩かれていた音に、異音が交じる。
ぎちぎちと、耳障りな音。木の板が軋む、悲鳴。

「罪を知ったあなただからこそ、何が善きことで、
 何が悪しきことかの判断がつくはずです。無論、
 一方にとっての善が他方にとっての悪という場合も多々あるでしょう。
 善いと信じた行動が、とてつもない被害を及ぼしてしまうこともあるでしょう」

板の軋む音が、いよいよ極限を迎えていた。
さらに傾いていく船の影響を受け、積み重なった荷が揺れ動いて散らばった。

「それでも私たちは、何を伝え、何を残さないか選択し続けるべきだと私は思います。
 でなければ、世界は不変のままだから。小さな、けれど重大な一歩の積み重ねが、
 世界を善くするものだと私は信じているから。

 遠き過去より連綿とつづいてきた無数の選択に、
 無駄なものなどなかったと私は信じたいから。
 そしていつか。すべての選択が真の実りを迎えたその福音の時こそ、私たちは――」

彼の顔が、一瞬、ほんの一瞬、目に入った。



この世界こそが楽園であったと、気付けるはずだから。


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