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海のひつじを忘れないようです

44名無しさん:2017/08/19(土) 22:20:53 ID:rN6ohdMg0
身を起こしたきり、ぼくは硬直した。
意味のないうめきのような音をこぼす以外、何もできなくなった。
ぐるぐると言葉だけは巡るものの、具体的なことは何も、思い浮かんではこなかった。
小旦那様が、そんなぼくから、顔を背けた。

胸が痛んだ。

「ジョルジュだよ!!」

壁が崩れるような振動とともに、その少年はやってきた。
叩きつけた扉の轟音に負けない大音量の挨拶と、
その声の大きさに見合った満面の笑みを備えながら。

「おはようジョルジュ。扉は静かに開けようね」

「うん!!」

言ったきり、ジョルジュと名乗った少年は、
開いた時と同じかそれ以上の勢いで扉を締めた。
部屋の中の壁がまたもぎちぎちと振動する。
モララーは微笑を浮かべたまま、やれやれといった様子で首を振っていた。
慣れているのかもしれない。

そんな諦めとも呆れともつかないモララーの態度を余所に、
ジョルジュは楽しげな笑い声を上げながら、
その小柄な身体を目一杯屈伸させて跳ね回り始めた。
跳ね回りながら、動き出した。


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