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海のひつじを忘れないようです

439名無しさん:2017/08/22(火) 18:33:14 ID:AKaoAE960
……けれど彼からの告白は、いつまで経っても続かなかった。
次第に不安になる。聞こえるのは波が船を叩き、しなりすぎた木板が悲鳴を上げる音ばかり。
まさか、いなくなってしまったのではないか。傾く船の傾斜に流されて。
あるいは、私からは見えない逃げ道を見つけて。

私は彼を呼ぼうとした。その矢先だった。彼
の声が聞こえてきたのは。彼は短く、こういった。
「あった」、と。

積み重なった貨物の壁を越え、何かが飛んできた。
それは私の足元へ、正確に落着する。折りたたまれたそれを、私は広げた。
木綿とコルクで組み合わせれたライフ・ジャケット。救命胴衣。

「これは……」

手に取り、瞬時に思う。絶対ではない。でも、もしかしたら。
あるいはこれを身に着けていれば、助かるかもしれない。
生命をつなぎとめることができるかもしれない。

……けれど、助かったとして私はどこへ?


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