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海のひつじを忘れないようです
438
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 18:32:21 ID:AKaoAE960
荒れ狂う嵐の下、私達人間風情にできることなど何もなかった。
いずれ訪れる死を待つこと、それ以外には。そしてそれが私の罪に対する罰であるのなら、
甘んじて受け入れなければならない。死を。あの日先延ばしにした、私の死を。
そのことへの躊躇など、いまさら抱こうはずもなかった。
ただ、申し訳なかった。海へ還れてしまうことが。
父があんなにも求めていた海での死を、奪ってしまった私が。
「次はあなたの番。教えてください、あなたが犯した罪を。
あなたが罰せられなければならない、その理由を」
話のバトンを彼へと渡す。私たちにできることは何もなかった。
死を待つこと以外には。だから私たちは残された時間で、この理不尽に訪れる死が、
確かな因果の下に巡ってきた罰であると確認する作業に費やすと決めた。
どちらからともなく……いや、どちらかといえば私が、
そうなるように話を誘導したのかもしれない。私は告解したかったのだろう。
この、少し父に似た声を持つ男性に。父に。顔を合わせぬままに。
「私の罪は……」そう言ったきり、男性は押し黙った。私は待った。
待つ以外のことはできなかったし、言いよどむその気持ちもわかる気がしたから。
だから私は待った。
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