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海のひつじを忘れないようです

434名無しさん:2017/08/22(火) 18:29:42 ID:AKaoAE960
恰幅のいい男性が、何事か話しかけてきた。私には馴染みのない言語。
けれど数ヶ月の滞在によって、なんとか意味を読み取るくらいのことはできた。

男は言っていた。うちで働かないか、と。
こんなところで通行人を相手にせずとも、食うには困らないようにしてやる、と。

降って湧いた幸運に、私は混乱しつつすぐにも飛びつこうとした。
男は私に、もう飢える必要はないと言っていたのだ。それは天の恵みにも等しかった。
けれど私は、素直にうんとは返せなかった。男の言葉に、続きがあったから。
男が、いった。


『お前は孤児か?』


孤児でなかったら、どうだというのか。
孤児でなかったら、連れて行かないというのか。
孤児でなかったら、置き去りにされてしまうのだろうか。
私が、孤児でなかったら。

男は旅の行商人だった。もう間もなくしたらこの街を離れ、
次の街へと向かうらしい。準備はすでに整っている。
だから返事は、この場でもらいたい。そう、いわれた。


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