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海のひつじを忘れないようです
400
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 18:10:40 ID:AKaoAE960
その言葉は、ヒッキーの口から吐き出されたものではなかった。
私も、彼も、ヒッキーですらも、声のした場所に視線を向けていた。
彼の主が、立ち上がっていた。視線は変わらず彼方へ送っていたものの、
その顔は真剣で険しく、感情的だった。
「お前も、お前の母も、ここに在る」
彼の主が振り向き、そして、空を仰いだ。
「ここに」
天より、光が降り注いできた。
それは、無数の泡。それは、無数の輝き。それは、無数の生命。
泡へと還元されたこの世界のすべてがその一点へと凝縮され、やがて人の形を象る。
波打つ鐘のその鼓動に合わせて、世界そのものが形を成す。
生命の根源。顔のない光。牧師。
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