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海のひつじを忘れないようです

397名無しさん:2017/08/22(火) 18:09:16 ID:AKaoAE960
ぎちぎちと互いに擦れて悲鳴を上げる無辺の世界群から、
痛みと苦しみの証たる朱き生命の粘液がこぼれ落ちる。

時代、生命、界、目、種、国、街、村、集落、家、
兄弟、男、女、『私』。『私』の内の肉と、魂と、霊。

「どこへ行く必要もない」

連鎖性を切り離した空疎から、それは流れでる。
止め処もなく流れ出していく。そして光の熱を失った世界は、冷え固まって膠着する。
もはやそこに、輝きはない。昏く薄汚れ、荒廃した“成れの果て”だけが蠢いている。
寸断された『私』が、蠢いている。


――それは、すなわち、『私』の死。



「お前はすでに、“ここに在る”」


.


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