[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
海のひつじを忘れないようです
363
:
名無しさん
:2017/08/22(火) 17:51:13 ID:AKaoAE960
もはや何を考えても手遅れだ。私は諦めてしまった。
いままで私が観察してきたこどもたちと同じように。その証拠が、この身体。
燐光放つ、粒子の崩壊。泡へと還元されるための、最終行程。
ベルが鳴る。手に持たされた、小さなベル。無数に分かれし生命の波の、その象徴。
かすかに震える大気の波動。私とは、何か。私とは、これだ。
私とは結局、この三次元空間を刹那に揺らすベルの音に等しいのだ。
もう、それで、いいじゃないか。
「ジョルジュは、ジョルジュだ……ジョルジュは、ジョルジュだ……
ジョルジュは、ジョルジュだ……ジョルジュは――」
車椅子の背後から、変わらぬ言葉がつぶやかれ続けている。
うつろな目をしたジョルジュ。その目は前を行くひつじを捉えているようで、
どこか虚空を見つめている。
「そうよ、あなたはジョルジュ。ジョルジュでいいの」
彼に変化はない。変わらず彼が彼で居続けるための呪文を唱え、
自己の崩壊を防ぐことに必死でいる。私の声など、聞こえてはいないだろう。
それでも私は、言わずにはいられなかった。あなたはジョルジュだ、と。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板