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海のひつじを忘れないようです
36
:
名無しさん
:2017/08/19(土) 22:17:12 ID:rN6ohdMg0
2
走っていた、逃げるために。
何から? それは、わからない。
けれど自分を狙う何かが、暗闇の陰で追いかけてきているのは間違いない。
確実に、それはぼくへと向かって移動している。
『――しかしそれは、いくらなんでも』
『――なら、どうやって食べていくというの?』
だからぼくは走る。走る。走る。
この一切の視界が閉ざされた暗闇を走る。
重たく身体に張り付いてくる空気を振り切って、走る。
『――それは、ぼくときみでもっと働けば』
『――それじゃ足りないから、私たちはその日食べるものにも事欠いてるんじゃない』
呼吸ができず、苦しかった。
けれど立ち止まる訳にはいかない。
追いつかれてしまうから。追いつかれるわけにはいかないから。
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