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海のひつじを忘れないようです

355名無しさん:2017/08/22(火) 17:47:20 ID:AKaoAE960
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兄が父と母を殺した。ぼくのために。
そう、彼は言った。

彼は続けて言った。
ぼくという存在はその連鎖性を欠いた。もはやぼくは、以前のぼくにはもどれない。
かつてぼくと自称していた己とは、異なる自己へと変貌してしまった、と。

更に彼は語る。
きっと一人は一人でできているわけじゃない。
一人は大勢によって構成されている。一人の背後には無量の亡霊が顔を覗かせている。
親、兄弟、親類。友人、仲間、教師。それに……敵。
それら背後に立つ者たちが、一人の意識在る者を組み立てていく。

それだけじゃない。軸は横だけでなく、縦にも積み重なる。
時の重みが、十年、百年と堆積したものが、千年、万年と凝縮されたものが、
そしておそらく、生命というものが芽生えて以降に起こったありとあらゆる現象が、
いまこの時代に生きるただ一人に受け継がれている。


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