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海のひつじを忘れないようです

323名無しさん:2017/08/21(月) 22:33:03 ID:vG2lH35Y0
「ギコ、今度はあなたの番。あなたの罪を、あたしに教えて」

ぼくの罪。

告白するならば。
ぼくはミセリの話を聞いて、彼女に罪があるとは思わなかった。
悪いのは環境や、時代や、あるいは運程度なもので、彼女には非などなにひとつない。
彼女は被害者だ。彼女は愛され、幸せになるべき良き人だ。

けれど、ぼくは、違う。

ぼくは、ぼくの意志で、罪を犯した。
彼女とは、違う。ぼくは、罪人だ。
ぼくは、焼かれ、叩かれ、引き裂かれるべき罪人だ。ぼくは――

「言葉にしなきゃ、ダメだよ」

頭を、つかまれた。
強制的に、振り向かされた。

「言葉にしないと、きっとあなたは前にも後ろにも進めない」

目の前に、ミセリの顔があった。額が、まつげが、鼻が触れ合う真正面に。
彼女の目が、ぼくの目をじっと見つめていた。
視力の失せた薄濁りの瞳が、それでもぼくを見つめていた。


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