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海のひつじを忘れないようです

31名無しさん:2017/08/19(土) 22:14:57 ID:rN6ohdMg0
「こいつが……」

小旦那様のつぶやき声。
彼はこのひつじを見て、何を思っただろうか。何を感じただろうか。
何を導きだし、何を示してくれるだろうか。
ぼくをどこへ、連れて行ってくれるのだろうか。

そんな言葉の羅列が、瞬時に頭のなかで交錯した。
思考の連鎖が脳を焼き、止め処もなく新たな意味を生み出そうとした。
けれどこれらの言葉の本流は、結局のところ、何の意味も価値も持ちはしなかった。

ぼくは、その場に、崩れ落ちた。

「――!」

ぼくを呼ぶ小旦那様の声。
けれどぼくには返事が出来ない。
呼吸がうまくできなかった。視界がぼやけた。

その中でひつじだけが、ただひつじだけが、
くっきりとその存在を確立していた。



ひつじ。歌うひつじ。
思い出すのは、あの子のこと。
思い出すのは、あの頃の記憶。
思い出すのは、思い出すのは――


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