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海のひつじを忘れないようです
291
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 22:15:45 ID:vG2lH35Y0
「どっちがいっぱい運べるか、競争な!」
言うなりハインが駆け出した。
ミセリではとうてい持ち運ぶことのできない、大きな桶を片手に担いで。
ミセリは呆気にとられながらも、涙を拭い、
転んだ時に手放してし桶を手にハインの後を追った。
水汲みはあっという間に終わった。まだ日も明けきっていない。
深夜に起きて一人で汲んできたときと比べても早くに終わった。
そでをまくり満足げな笑顔を浮かべているハインの、
彼女のおかげであるのは明白だった。
けれどミセリは、素直に喜ぶことができなかった。
彼女が何を考えているのか、ぜんぜんわからなかったから。
いきなり怒られるんじゃないかとか、石投げの的にされるんじゃないかとか、
そんな疑いしか思い浮かばなかった。
「あの、ごめんなさい、あたし、その……」
だからとにかく、謝った。
謝れば多少の手心が加えられることもあると、ミセリは経験として知っていたから。
けれどハインは、他の家族とは違った
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