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海のひつじを忘れないようです
289
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 22:14:43 ID:vG2lH35Y0
ミセリは両親から複数の仕事を課せられていたが、
その中のひとつに家族が目覚める前に井戸から
水を汲んでこなければならないというものがあった。
井戸は家から一キロ近く離れている上に、
ミセリが運べる量では何度も往復しなければならない。
いつもはミミズクが鳴く頃には目を覚ますのに、
今日はすでに、地平線から日が差していた。
涙目になって井戸へと走った。
桶いっぱいに水を汲んで、また走って家までもどる。
息なんて、とっくの昔に切れていた。それでもミセリは走った。走るしかなかった。
いやだ、いやだ、いやだ。
怒られるのは、いやだ。
捨てられるのは、いやだ。
踏み潰されるのは、いやだ。
いらない子になるのは、やっぱり、いやだ。
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