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海のひつじを忘れないようです

282名無しさん:2017/08/21(月) 22:10:50 ID:vG2lH35Y0
「あたし、ミセリだった!」

振動で、森の木々がさざめいた。木々だけではない。
至近距離で彼女の叫びを受け止めたぼくの身体も、内側から波打っている。
少しだけ、頭もくらっとする。しかし当の本人は悪びれる様子もまるでなく、
にいっと、いたずらっ子の笑みを浮かべていた。

「だから、平気でしょ?」

幼い身体に、幼い声。幼い顔。
なのに彼女の表情は妙に大人びていて、その歪さがなんだか妙に、胸を苦しくさせた。

彼女はハインで、ミセリだった。

「ごめん……」

「どうして謝るのさ」

「だってきみは、ぼくのせいで……」

口に指を当てられた。強制的に話を止められる。
彼女がにこっと笑った。口に当てられていた指が移動を始め、別の場所を差す。
その先には先程ぼくが放り投げたノートが、
地面に根を這った木々のふしくれに引っかかっていた。

魔女が記した、魔法のノート。


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