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海のひつじを忘れないようです

281名無しさん:2017/08/21(月) 22:10:26 ID:vG2lH35Y0
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「よっ」

声を掛けられ、振り向いた。彼女が、ハインが、そこにいた。
長大な年月を感じさせるしっかりとした樹木に寄りかかった格好で、
気安い感じに掲げた手で挨拶している。そして彼女は、
ちょっとした散歩でもするような歩調で一歩、こちらへと足を踏み出した。

「だ、だめ! 来ちゃダメだ!」

「どうして? ナベに言われたから?」

静止の声にも耳を貸さず、彼女はぴょんぴょん跳ねるように近づいてくる。
その身体が、大きく傾いだ。以前にも見た光景。
手に持っていたノートを放り投げ、慌てて彼女へと駆け寄る。
間一髪、彼女が地面と激突する前に受け止めることができた。

腕の中の小柄な体躯が、もぞっと動いた。彼女の顔が、真上を向く。
すなわち彼女を見下ろすぼくの顔と、正対する。
彼女は目を凝らすようにぼくの顔を眺め回した後、大きく、大きく胸を膨らませた。


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