したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

海のひつじを忘れないようです

272名無しさん:2017/08/21(月) 22:06:39 ID:vG2lH35Y0
「おはよう、ハイン」

目を覚ましたら、ナベの顔があった。いつもと同じように。
そしてこれもまたいつもと同じように、ナベの指があたしの目元をぬぐった。
その指先に、水滴が付着している。その水滴の曲面に、
丸く歪曲したあたしの顔が映っていた。目元を腫らした、あたしの顔。

あたしの、幼い顔。

「ハイン……?」

ナベの顔が不安に曇る。あたしがいつまでも答えないでいるから。
ごめんね、ナベ。あなたを心配させるなんて、あたし、悪い子だ。
あたしが目覚めるまで心細い思いをさせてしまったであろう彼女に、
あたしはあたしに可能な限りの微笑みを演じて返す。

「おはよう、ナベ」

彼女の安心が、肌を通して伝わった。

「ところでナベ」

「あ、ハイン、だめ〜。まだ、寝てなくちゃ〜」

「ううん、だいじょうぶ。それよりも、何かあったのか? ずいぶん静かだけど」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板