したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

海のひつじを忘れないようです

267名無しさん:2017/08/21(月) 22:04:31 ID:vG2lH35Y0
「返してよ……」

ミセリへと、歩み寄る。
その小さく華奢な矮躯に、その小さく華奢な矮躯を抱える男の下に、歩み寄る。

「“ハイン”を、返してよ……!」

奪い取り、抱きしめた。軽い。とても、軽い。なのに重い。
いっさいの力が失われた人の身体は、例えそれが小さなこどものそれであっても、
支えきろうとするには、とても、重い。

ミセリにはまだ息があった。
衰弱して、いまにも途切れそうなか弱い呼吸ではあったけれど、
とにかく彼女は、生きていた。

帰らなきゃ、教会に。
だって、ここは、場所が悪い。

彼女を抱えて立ち上がろうとする。けれど、やはり、重かった。
わたしが抱えるには重くて重くて、それにどうしてか、
力を込めようとしてもまったく身体が言うことを聞かなかった。
腕にも腰にも頭にも、まるで血が通っていないみたいだった。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板