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海のひつじを忘れないようです
265
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 22:03:47 ID:vG2lH35Y0
一人にさせるべきではなかった。目を離すべきではなかった。
あの子の異変には気づいていた。あの還泡式の日、あのハーモニカの演奏を聞いて以来、
彼女がギコに惹かれ始めていることには気がついていた。
ギコがハーモニカを手放して以降、
異変が急速に進行していることにもわたしは気がついていた。
それなのにわたしは、何の対策も取らずにいた。
下手に刺激して彼女の記憶をこじ開けてしまうかもしれないと思うと、
怖くて何もできなかった。何もせず、ただ、
あなたはハインだとささやくことしかしなかった。
その結果が、これだ。
レッスンを早くに切り上げ、彼女を探していたわたしの耳に、
鼓膜に、それは轟いた。悲鳴。彼女の。“ミセリ”の。
考える間もなく駆け出していた。悲鳴は森の奥から聞こえた。
どうしてそんなところに。森に入ってはいけないと、あんなに言っておいたのに。
何度も何度も覚えさせたのに。息せき切って走る私は、
自分の失態を棚上げして、彼女を責めた。責めて、そして、
自分にそんな資格がないことにすぐに気づく。
考えるのは、後。
いまはとにかく、ミセリの下へ駆けつけなければ。
あの子が完全に自分を取り戻す、その前に。
森へと飛び込み、枝葉をかき分け、前へと進む。
走って、走って、そして私は、ついに見つけた。
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