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海のひつじを忘れないようです

26名無しさん:2017/08/19(土) 22:12:27 ID:rN6ohdMg0
「小旦那様……?」

疑問の声を上げたぼくに向かって、
小旦那様は指を立てて静かにするよう合図を送ってきた。
口をつぐみ、わずかに身をかがめる。
深く濃い緑の隙間に、ぼくの身体が隠れた。
小旦那様は明らかに、何かを察知している様子だった。
ぼくも彼に倣い、耳を済ませる。

音、が、聞こえた。
音……いや、声、だろうか。
声。しかし、話し声ではない。

一人だ。誰かが一人で、声を発している。
音を発している。

単音ではない。連なった、メロディ。
規則性を持つ音節――その調べを、追っていく。

連なりと連なりがつなぎ合わさった、音流の物語。

意味を持つ世界。

――ぼくはそうして、歌声を知る。


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