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海のひつじを忘れないようです

257名無しさん:2017/08/21(月) 21:59:17 ID:vG2lH35Y0
「ちがう!」

と、そう叫ぶ他、私にできることはない。
否定しなければ。これだけは絶対に否定しなければ。
だって私はまだ、諦めてはいないのだから。
彼にノートを持ち帰ってもらわなければならないのだから。
彼に元の世界へもどってもらわなければならないのだから。

だから彼に現実を恐れさせるようなことは
――私が現実を恐れているだなんて事実、明かしては、ならない。

ならないのに、彼の主は、追求を止めない。

「ならば答えられるはずだ。表せるはずだ。
 お前が現実を拒絶していないのならば、
 お前の生まれを、お前の父を、お前の母を、お前の半生を、
 お前の拠り所を、お前の罪を、そして――お前の、名を」

血の気が引く。この男は知っている。明らかに。
私の秘密を。ひた隠しに隠してきた、現実の私を。私の現実を。


瞬間、現実を、想起した。

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