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海のひつじを忘れないようです

252名無しさん:2017/08/21(月) 21:55:47 ID:vG2lH35Y0
「なのに、どうして、あなたは……」

「簡単なことだ」

木々のこすれる音が、すぐそばで響いた。
車椅子を旋回させる余裕もなく、首だけで音の聞こえた方へ振り向く。
そこには、人がいた。気配もなく、音もなく、
まるで初めからそこに存在していたかのように突如として出現した少年。


彼の主。小旦那様。
彼の小旦那様が、さざめく森そのもののように、その深く静謐な声を震わせた。


「それがこいつの望みだからだ」
 

.


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