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海のひつじを忘れないようです

250名無しさん:2017/08/21(月) 21:54:50 ID:vG2lH35Y0
「ここにいる限り、誰もが同じ末路を辿る。いずれはみんな、泡になる」

ノートを持ったまま静止した彼に声をかける。
彼。彼であって、彼でない少年。幼さを残した顔も、
ほんのりと丸みを帯びた輪郭も、人の良さそうなその目元も、私は全部、知っている。
ずっと、ずうっと見てきたその顔を、私はいまも覚えている。
その声も、その名も、全部、全部。

だから、どうしようもなく、腹が立つ。
あの日交わした約束を、思い出してしまって。

「あなたはハーモニカを吹きたいと言った」

彼と交わした、あの日の約束。

「あの時の覚悟を、うそだとは言わせない」

理解している。この子が彼でないことくらい。
それでも私には許せなかったのだ。この子がこの世界へ来ているという、その事実が。
この子は帰らなければならない。彼のためにも。私にためにも。
……でなければ、私のこれまでが余りにも、余りにも無為になってしまうから。

だというのに、この子は。


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