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海のひつじを忘れないようです

247名無しさん:2017/08/21(月) 21:52:49 ID:vG2lH35Y0
隣を見た。そこにはすでに、ギコの姿はなかった。
ギコの姿はなかったが、ギコの座っていた場所に、何かが置かれていた。
それを手に持つ。それは、短刀だった。鞘を抜くと、
奇妙な波模様の浮かぶ刀身が目に映った。
吸い込まれそうなその紋様から目を離し、鞘に収める。

届けなくちゃ。
――届けなくちゃ。

額を抑える。鈍痛が、再び顔を覗かせている。
けれどだいじょうぶ、さっきほどじゃない。立ち上がり、医務室から出る。
ギコがどこへ行ったのか。それはわからなかったけれど、
なぜだか足が勝手に動いていた。進むべき方向を予め、
あたし自身が知っているかのようだった。

あたしは裏庭へと出ていた。
揃えられた石畳の上を歩き、そこで止まらず、ついには下生えへと足を踏み入れる。
先にはもう、森しかなかった。


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