[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
海のひつじを忘れないようです
242
:
名無しさん
:2017/08/21(月) 21:49:40 ID:vG2lH35Y0
「……よっ」
軽く手を上げて挨拶したあたしに、ギコが会釈を返す。
あたしはベッドに腰掛けているギコのすぐ隣に、自分も腰を下ろした。
ふたりぶんの重みで沈んだベッドが、中央付近でくの字に曲がる。
「転んだか? ぶつけたか? おねえちゃんが手当しようか?」
覗き込んで、話しかける。ギコは反応しなかった。
うつむいて、どこかここではない虚空に視線を漂わせている。
その胸には、なにもない。本来彼が身につけているはずの楽器は、そこにない。
おかしいといえば、ギコの様子もおかしかった。
元々おとなしい子ではあったけれど、
ちっちゃなこどもたちには好かれていたし、他の子とも普通に交流をしていた。
でも、いまは。彼は自分から孤立しようとしていた。
少なくともあたしには、そう見えた。人を遠ざけて、誰とも触れ合おうとしなかった。
まるで、そう。あの、車椅子の魔女、みたいに。
いったい彼に、何があったのだろう。
存在するべきものの存在しない胸の前を、あたしは見つめる。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板