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海のひつじを忘れないようです

24名無しさん:2017/08/19(土) 22:11:16 ID:rN6ohdMg0
けれど、そんなことを考える必要はないのだ。
ぼくはただ黙って、彼についていけばいいのだ。
なぜならぼくは――彼のひつじ、なのだから。

首から掛けたハーモニカを、握りしめた。

無言の行軍が続く。
ぼくはもちろん、小旦那様もなにも、一言も発することはなかった。
ただ歩いた。無限のような時間にも思えたが、
痛みにうめくぼくの心が錯覚を生み出している可能性もある。
木々に覆われた空は常に薄暗いだけで、時間の正確な経過を教えてはくれない。

痛みは引かず、むしろ時とともに熱を増して、
その存在を強く主張している。無視することはできない。
かといって、歩みを止めることもできない。
小旦那様との距離が離れぬよう、なるべく左足の歩を大きく広げ、右足の負荷を減らそうとする。

が、それが裏目に出た。
大きく広げた左足では知覚できなかった小石か、あるいは折れた小枝か、
とにかくそこに転がっていた障害物と、すり足移動をしていた右足とが、
勢い良く衝突した。

肉を裂くような痛みがつま先からももの付根まで、瞬時に駆け上る。
あまりの激痛に、思わずうめき声が漏れた。


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