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海のひつじを忘れないようです

186名無しさん:2017/08/20(日) 22:05:05 ID:sRmmAC9s0
「みんなキュートでかわいいじゃんか!
 よーし、お姉ちゃんも負けないぞー!」

言ったきり、ハインは頭の上で幾本も造花を咲かせ始めた。
色も種類も関係なくめちゃくちゃに並べるものだから、調和も何もあったものじゃない。
完成した花畑を見せびらかすように「どうだ!」と言わんばかりの
ポーズを決めていたハインも、周囲の無反応に自信が揺らいだ様子で笑顔をひきつらせる。

「だ、だめ?」

「ハイン……」

いつの間にかハインのそばまで来ていた女――ワタナベといったか――が、
ハインの肩に手をおいて残念そうに首を振っている。
「がーん」とショックを口に出して、ハインが肩を落とした。

「あなたの望みはひつじが知っている」

車椅子の魔女はハインの戯けも意に介した様子なく、
その魔女の風格を保ったまま話しかけてきた。

「私が言えるのは、それだけよ」

俺の返答を待たず、魔女は器用に車輪を旋回させ、
もと来た道を静かにもどっていった。頭に挿した花飾りは、そのままに。


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