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海のひつじを忘れないようです

181名無しさん:2017/08/20(日) 22:03:04 ID:sRmmAC9s0
遠慮はしなかった。
馬乗りの格好で、力と技術を用い甲羅を引き剥がす。
簡単なことだ。そんな仕事には慣れている。
あえなくジョルジュはその抵抗むなしく、頑なに隠そうとしたそれを露わにされた。
やはりそれは、あいつのハーモニカだった。

「盗ったのか?」

ジョルジュは目を合わせようとしなかった。
あらぬ方向を向いて、ぶつぶつと何事かつぶやいている。

「盗ったのか!」

胸ぐらをつかみ、引き寄せる。
ジョルジュが小さく悲鳴を上げた。
目尻からたまった水滴がこぼれ落ちていく。のどを震わせ、しゃくり上げ始める。

「ち、ちがう……」

「違う? 何が違う」

「……」

「答えろ!」

「そこまでになさい」


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