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海のひつじを忘れないようです

180名無しさん:2017/08/20(日) 22:02:40 ID:sRmmAC9s0
廊下と隣接する一室から、こどもが一人、飛び出してきた。
間もなく開かれる還泡式の、その準備をしていたのだろう。
ちょっと無理のある量の荷物を何段も抱えて
ふらふらとバランス悪く、さらには前も見えていない。

このまま行けば衝突する。だが止まれば、ジョルジュを逃す。
すでに俺とジョルジュの間には、埋めがたい距離が空いている。
のんびり立ち止まっている猶予はない。

――ならば。

俺は跳んだ。勢いを殺すことなく、前方へと加速したまま跳躍する。
そして空中できりもみ状に回転し、こどもの抱えていた荷物を無造作につかみ、
それをそのまま、回転する勢いに任せて投げつけた。

苦し紛れのこの方策が、予想以上の結果をもたらしてくれた。
慣性に乗って真っ直ぐ正確に飛翔した物体――
実際は飾り付けの造花が詰まったただの箱だった
――を背中に受けたジョルジュは、くぐもった声を上げて前倒しに床へ倒れた。

造花まみれの床でうつぶせに倒れているジョルジュの下へ近づいていく。
ジョルジュは立ち上がりはしなかった。
が、その代わりに最後の抵抗をしていた。
両の腕を再び胸の内に匿い、亀のように身体を丸めた。
う〜う〜と、何事かうなっている。


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