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海のひつじを忘れないようです

167名無しさん:2017/08/20(日) 21:56:46 ID:sRmmAC9s0
初めてここへ来た時に彼女から投げかけられた呪いの言葉。
奇妙に明るく悩みのないこどもたち。そして、そしてなにより
――あの歌うひつじを見ても、動揺しなくなりつつある自分。

違和感はずいぶん前から抱いていた。初めて還泡式に出席したあの日、
突如として出現したひつじを前にしたぼくは、
自分が再び正気を失ってしまうのではないかと危惧した。

けれど結局心配していたような事態にはならず、
冷静とはいえないまでも気を狂わせるような失態を演じる羽目には陥らないで済んだ。

慣れたのかもしれない。ぼくはその時、そう思おうとした。
初めて遭った時の衝撃が強すぎたために、却って耐性ができたのかもしれないと。
それにあの時ひつじは、歌わなかったから。だから平気だったのかもしれない、と。

けれど二回、三回と還泡式を迎え、その度ひつじと再会したぼくは、
ひつじを見ても妙に平然としている自分に疑いを強めていった。
慣れの一言では説明のつかない心の平衡。なんで。どうして。
問いかけても得られない答え。

ぼくは、何かに焦っていたのだろう。
ジョルジュがぼくに怒りをぶつけた時に笑ったのも、きっとそのせいだ。
自分が罰せられるべき存在であると確認できた安心感が、口元を緩めさせた。
すべては正体不明の違和感に振り回されて。

けれど魔女の語りし物語群が、それらの疑問に答えを示した。


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