[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
海のひつじを忘れないようです
164
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 21:55:28 ID:sRmmAC9s0
話し終えるのと同時、魔女がぼくの頭から手を離した。
ついさっきまで彼女の手が置かれていた場所に触れる。
そこには仄かに残った人が発する熱と、ざらついた感触の、布製の何かが巻かれていた。
何重にも巻かれたそれは、じくじくと痛む額の傷をすっぽりと覆っていた。
道を塞いだ時と同様に、彼女の車輪が器用に旋回する。
そして彼女はそのまま背を向け、その肢体に比して大きめな車椅子を動かし始めた。
まるでいまここで行われたやりとりなど、初めからなかったかのような様子で。
車輪が回る。彼女の背が、ゆっくりと遠ざかる。
「……ここは」
ぼくはつぶやいた。独り言のように、まったく独り言ではない言葉を。
彼女を引き止めたいという、卑劣な下心を込めながら。その目的は果たされた。
彼女はその背を晒したまま、車輪を止めた。
しかしぼくは、その背に視線を預けつつ、言葉を続けることができずにいた。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板