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海のひつじを忘れないようです

151名無しさん:2017/08/20(日) 21:49:03 ID:sRmmAC9s0
ジョルジュが飛びかかってきた。
ぼくの胸元、首からかけられたハーモニカに向かっての直進。
まともに受けたぼくの肺から、酸素が一気に吐き出された。けほけほと咳き込む。
ジョルジュはそんなぼくの様子など一顧だにせず、
宙空で揺れるハーモニカを強引に奪い去ろうとしていた。

ジョルジュが引っ張るごとに、ハーモニカから首へと掛かった紐も引っ張られ、
ぼくはバランスを崩してよろめいた。反射的な行動だった。
その時ぼくは息苦しさに喘いで周りをよく見れていなかったし、
それが何か確かめるより先に身体が倒れないよう
支えとなりそうな手近なものへと手を伸ばしていた。

あっと思う間もなく、ぼくに押されたジョルジュが、石畳の上に転がった。
代わりに転倒を免れたぼくは、駆け寄ることもなく、
無様にもどうしていいかわからずに硬直したままになっていた。

ジョルジュがむくりと、起き上がった。
何が起こったのかわからない。そんな様子で、呆けた顔をしながら、
地面に擦れたのであろう顔面をさすっている。

その手と、鼻から垂れ落ちてきた液体とが、ぶつかった。
ジョルジュは自分の手に触れたものが
何であるのか確かめるため、それを眼前へと導いた。

真っ赤な血が、ジョルジュの瞳に映された。


絶叫が、木霊した。


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